坂田将吾&阿座上洋平、“新しいジョジョ”に挑む――『スティール・ボール・ラン』が刻む奇跡の瞬間

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2025年10月16日 14:10  クランクイン!

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アニメ『スティール・ボール・ラン ジョジョの奇妙な冒険』インタビューより(左から)坂田将吾、阿座上洋平  クランクイン! 写真:吉野庫之介
 果てしない大陸を舞台に、命を懸けたレースが幕を開ける――。『ジョジョの奇妙な冒険』の歴史に新たな1ページを刻む、第7部『スティール・ボール・ラン』がついにアニメ化される。主人公・ジョニィ・ジョースター役を演じる坂田将吾、そして彼と共に旅をするジャイロ・ツェペリ役の阿座上洋平。シリーズを愛し、少年時代から“ジョジョ”に心を震わせてきた二人が、今度はその世界の中心に立つ。ファンとしての憧れと、声優としての覚悟。作品に込められた熱をどう受け止め、どう表現しようとしているのか。“新しいジョジョの幕開け”を告げるこの瞬間に、二人の声に耳を傾けてほしい。

【動画】坂田将吾&阿座上洋平が語る『スティール・ボール・ラン』の魅力

■“新しいジョジョ”の幕開け――レースが生む熱狂

――お二人の『ジョジョ』との出会いは?

坂田:中学生の頃、友達に勧められてアニメを見始めました。『ファントムブラッド』(原作第1部)から夢中になりましたが、特に印象に残っているのは『戦闘潮流』(原作第2部)のジョセフ。「逃げるんだよォ!」という名シーンが象徴するように、型破りでユーモラスな主人公像に強く惹かれ、そこから完全に作品の世界にのめり込みました。

阿座上:僕も中学か高校の頃に、友達の家で単行本を手に取ったのが最初でした。独特な劇画調に最初は驚きましたが、読み進めるうちに主人公たちの熱意や、世代を超えて受け継がれていく意志のテーマに胸を打たれました。当時はちょうど第7部が連載中で、第1部から一気に読み進めるほど夢中に。最初に触れたのは第5部『黄金の風』でしたが、「こんな作品があるんだ」と衝撃を受けましたね。

――アニメ『スティール・ボール・ラン ジョジョの奇妙な冒険』に出演が決まったときのお気持ちは?

坂田:最初はまったく信じられませんでした。オーディションを受ける段階から「自分が挑戦していいのだろうか」と思っていたので、全力でぶつかるしかないと駆け抜けました。その結果、役をいただけたことは本当に想像もしていなかったことで……。周囲から「おめでとう」と声をかけていただいても、まだ夢のような感覚です。きっと最終話を迎えるその瞬間まで、信じ切れない気持ちは残るのかもしれません。

阿座上:これまで多くの作品に携わってきましたが、『スティール・ボール・ラン』は特別です。声優を夢見る以前、ただ一人のファンとして読んでいた連載中の作品に、今こうして声優として参加できるのは奇跡のようなタイミングだと思います。役との相性やさまざまな条件が重なった結果だと受け止めつつ、この機会は声優人生の中でもかけがえのない喜びです。

――お二人が感じる本作ならではの魅力は?

坂田:すべてのキャラクターが“譲れない目的”を抱えてレースに挑んでいる点です。勝敗が予測できない緊張感や、生死をかけた戦いの中で新たな目的が生まれる展開に、強く惹きつけられます。登場人物がどう試練に立ち向かっていくのか、その姿は大きな魅力だと思います。

阿座上:第6部『ストーンオーシャン』で一度区切りを迎え、新たに始まったのが『スティール・ボール・ラン』でした。他の部と違うのは、やはり“レース”という舞台設定。横一線に並んだキャラクターたちがどんな結末に向かうのか、まったく予想できず、読み進めるたびにワクワクしました。さらに過去作へのオマージュも多く、懐かしさと新鮮さが同居しているのも特徴です。まさに“新しいジョジョの始まり”を実感させてくれる作品だと思います。


■先輩と後輩――現場で深まるリアルなバディ感

――それぞれのキャラクターを表現する上で特に大切にしたポイントは?

坂田:まず意識したのは、『ジョジョ』シリーズならではの独特な言い回しや節回しです。長くアニメを見てきたからこそ、作品特有のリズムを体に馴染ませることから始めました。実際、好きすぎてセリフのモノマネをしていた時期もあるくらいなんです(笑)。そのおかげで感覚的には馴染んでいたのですが、演じるとなるとやはり難しくて。悩みながらも、思い切って現場でぶつけてみる。そんな試行錯誤を繰り返しています。

ジョニィというキャラクター自体は、最初から芯が強いわけではなく、弱さや情けなさといった脆さを抱えています。だからこそ、その面を隠さずに出しつつ、それでも一歩を踏み出そうとする姿を大事にしました。

阿座上:荒木飛呂彦先生の作品特有の言葉は、どこか歌舞伎的な響きがあって、リアリティとして落とし込むのか、外連味として表に出すのか……そのバランスは本当に難しい。僕自身も現場ごとに「これで正解なのか」と探りながら挑んでいます。加えてジャイロは、掴みどころのない一方で強い意志を秘め、演じるたびに新しい顔を見せる人物。だからこそ一度「掴んだ」と思ってもすり抜けていくような難しさがあります。

さらに、この物語はジョニィとの二人旅。ジャイロだけを見ていては分からない部分も、ジョニィとの対比の中で見えてくるんです。ある意味、ジョニィがジャイロを理解するためのヒントをくれているような感覚ですね。現場ではリテイクを何度も重ねるより、“ライブ感”を大切に一回一回に集中する空気があって、その緊張感がキャラクターの熱を生み出していると感じます。

――そんな旅の中で深まる“バディ感”も本作の魅力ですが、お二人は互いの存在をどのように感じながらアフレコに臨まれていますか?

阿座上:(坂田さんは)青二プロダクションでいま勢いのある若手エースなので、その姿から学ぶことも多いですし、彼が迷ったときには、自分がしっかりしなければと思う瞬間があります。先輩としてかっこ悪い姿は見せたくないですし、逆に僕のほうが彼に助けられていると感じることも少なくありません。言葉にするより、背中で示す。そういう意識を強く持ちながら臨んでいます。

坂田:僕からすると、阿座上さんは常に背中を見せてくださる存在です。ジョニィとしても「この人についていかなければ!」という気持ちがすごく強くて、必死に追いかけ続けている感覚があります。現場では演技のことや役について相談させていただくのですが、どんな問いにも真摯に向き合って答えてくださるんです。そうした姿勢に触れるたびに、本当に尊敬できる先輩だと感じています。

――本作をこれからご覧になる方に向けて、メッセージをお願いします。

坂田:『スティール・ボール・ラン』は、長く険しい旅を描いた作品です。その中でジョニィとジャイロがどのように成長していくのか、そして個性豊かなキャラクターたちとどう関わり合い、歩みを進めていくのか……。そこにぜひ注目していただきたいです。先の読めない展開を、皆さんと一緒に楽しんでいけたらと思っています。

阿座上:ファンとして読んでいた当時から、「あのシーンはどうなるんだろう」と楽しみにしていた作品です。声優として参加する今も、その期待とプレッシャーを強く感じています。ただ、アニメの魅力は芝居や音楽、映像が一体となって生まれる“躍動”にあると思います。本作もスタッフ・キャストが全力で取り組んでいますので、ぜひ大きな期待を持って、作品全体の息遣いを感じながら楽しんでいただけたら嬉しいです。

(取材・文・写真:吉野庫之介)

 アニメ『スティール・ボール・ラン ジョジョの奇妙な冒険』は、2026年にNetflixにて世界配信。

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