NASCARカップシリーズのスターであるオースティン・シンドリックと、言わずと知れた“SVG”ことシェーン-ヴァン・ギスバーゲンがラリークロス車両をテストした 過去10年間でベテランと新進気鋭の才能があらゆるクラスで競い合う、ダイナミックなシリーズへと進化を遂げた欧州発祥の『RallyX(ラリークロス)』が、今季初開催となる『ラリーXアメリカズ』を正式ラウンチ。先週3月27日にノースカロライナ州のシャーロット・モーター・スピードウェイで開催された2回目の公式オープンテストでは、NASCARカップシリーズのスターであるオースティン・シンドリックと、言わずと知れた“SVG”ことシェーン-ヴァン・ギスバーゲンがラリークロス車両をテストした。
ヨーロッパの各国シリーズやノルディックなどを筆頭に、ヨハン・クリストファーソンやオリバー・ソルベルグ、ケビン&オリバーのエリクソン兄弟といったドライバーたちが腕を磨いたラリーXが、改めてアメリカにも独立したチャンピオンシップを創設。この6月にクランドン・インターナショナル・レースウェイで開幕し、エルドラ・スピードウェイとトロワ・リヴィエールで3戦6ラウンドの選手権を実施し、そのレギュラー上位陣は10月にポルトガルのモンタリグレで開催される『ラリーXグローバル』への優先招待を受けられる。
その初年度シーズンを前に、今月初旬にオーランド・スピードワールドで行われた最初のテストが成功裏に終わったことを受け、シリーズはシャーロットにて再度のテストセッションを実施。現在は廃止された旧ナイトロクロス用に開発され、今回ラリーXアメリカズの最高峰クラスとなるフル電動ワンメイクEV『FC1-X』をベースとしたFC1と、同じくこれまで実施されてきた“スーパーカー・ライツ”クラスの発展版となる“FC2 NEXTevo”を下敷きとしたFC2が用意された。
意外にもSVGにとって、ラリークロス車両を本格的に体験するのは今回が初。ニュージーランド出身の元RSCレプコ・スーパーカー・チャンピオンシップ“3冠”の彼はCOVID-19パンデミック中にWorldRX世界ラリークロス選手権のeスポーツ招待大会に参加していた。
「ラリーXアメリカズでシャーロット・モーター・スピードウェイに招待され、今回はFC1とFC2をドライブした。ちょっと順番が逆になってしまったけどね」と、今季2026年もトラックハウス・レーシングでシボレー・カマロZL1の97号車に乗るSVG。
「このFC1は本当に素晴らしかった。スピードと加速力に圧倒されたよ。電気自動車をドライブするのは初めてだったけど、まさに最高だった。思いどおりに操るのが本当に楽しいし、友達と競り合ってレースをするのもすごく楽しみだ。きっと楽しいだろうね……近いうちにまたドライブする機会があればいいな」
この水素燃料電池スタック搭載のFC1は、ラリークロス界の名門ビルダーとして活動する北欧のオルスバーグMSEと、スペインの電動モビリティ企業であるQEVテクノロジーズが共同開発しており、ピークパワーは800kW(約1080PS)を誇る。同じく1100Nmという途方もない最大トルクと、最大350mmのホイールトラベル量により抜群のトラクション性能も発揮し、これにより0-100km/h加速はわずか1.4秒、さらに適切な路面条件下では1秒切りも達成可能だという。
その規格外の出力をフロント1速、リヤ3速のサデフ製トランスミッションを介して伝達し、電動レースカーとして初めてプロペラシャフトに接続されたハンドブレーキを搭載。リヤの駆動をロックさせる方法として、後輪へのモーター出力を単にカットする従来型EVでの既存の方法より、多くの情報と感触をドライバーにもたらす。
一方、NASCARカップシリーズに加えて昨季最終戦では豪州スーパーカーへの“越境参戦”を果たしたシンドリックにとって、これは馴染み深い環境への回帰だった。かつてGRCグローバル・ラリークロスのGRCライツに参戦し、2015年には4勝を挙げランキング2位を獲得したシンドリックは、その2年後にはGRCの最高峰のスーパーカー・クラスにも2度出場。2022年にはフェニックスで開催されたナイトロクロスにも参戦し、チェイス・エリオットと同じくFC1-Xをドライブした。
だが今回のテストでは、以前乗っていたスーパーカー・ライツの進化版であるFC2と、エントリーレベルで150PS程度の出力に留まるFC5クロスカーをサンプリングした。
「10代の頃はRXライツのクルマを何度もドライブしたんだけど、基本的にはターボチャージャーが付いているだけで、それとほとんど同じなんだ」と語ったカップ通算3勝のシンドリック。「だから、あの頃の感覚を少しだけ……しかもより良く再現できてうれしいよ」
シンドリックとエリオットの前述の挑戦に加え、当時カイル・ブッシュもナイトロクロスに参戦し、ジョーイ・ロガーノも以前にテスト走行を行ったことがある。また元F1ドライバーのスコット・スピードはGRCのメインコンテンダーとして活躍し、通算4度のGRCチャンピオンに輝いている。
ごく初期のGRCイベントはNASCARのレースウイークエンドの一環として併催されることもあっただけに、これが北米大陸に於けるラリークロス復興の道筋となるかに注目が集まる。
[オートスポーツweb 2026年03月30日]