アイドル人生を終え、新たな人生の大海原へ”出航”する!「アイドルじゃない自分が想像できなくて」――9年半、瀬戸内を拠点にSTU48のエースとしてグループを牽引してきた石田千穂。5月31日、東京・Kanadevia Hallで開催された卒業コンサートで、彼女は最後のステージも涙ではなく笑顔で駆け抜けた。
オープニング曲「Seventeen」。客席後方から現れた石田は、ファンたちがお金を出し合って製作したという白と淡いパープルの煌びやかなドレスに身を包んでいた。コンサート中盤、石田が長年の夢だったという元NMB48・渡辺美優紀のソロ曲「わるきー」をオマージュした「わるちー」を披露。マッチョなダンサー陣とともに、セクシーなミニスカに悪魔の角としっぽをつけた攻めの衣装で現れると歓声が上がった。
会場が最高潮に沸いたのは、16曲目の「出航」だった。スクリーンに映し出されたのは、STU48初代キャプテンを務めた岡田奈々の姿。鮮やかなブルーのドレスをまとった岡田が現れて、初代と現役、二人のキャプテンが肩を並べると会場はどよめきと喝采に包まれた。
この曲のMVには、今はなきSTU48の船上劇場「STU48号」と初対面したときの映像が収録されている。STU48の歴史が凝縮された瞬間だった。
岡田に続いて、岩田陽菜、石田みなみ、田中皓子、土路生優里、門脇実優菜、藤原あずさ、薮下楓、磯貝花音、そして2期生の吉崎凜子、ドラフト3期生の沖侑果と、次々にOGメンバーが登場。アンコールでは、オリジナルメンバーでSTU48のデビューシングル「暗闇」を披露した。終演後の会見で石田は、「久しぶりにオリジナルメンバーでやる曲がたくさんあって、あの頃を思い出しながら『こんなこともあったな』とか、いろんな記憶が蘇って、どの時代のSTU48も大好きだなと改めて感じました」と振り返った。
9年半の活動には、苦しいこともあった。STU48の6thシングル「独り言で語るくらいなら」で初めてシングル表題曲のセンターに選出された直後に、活動休止した時期もあった。「休業していたときは、自分的にすごく落ちてしまって、たくさん悩みました。でも、ここでアイドルをやめちゃったら、かなえられていない夢もたくさんあるし、悔いが残るなと思って」。そんな経験が「自分にとって一番乗り越えたなと感じる瞬間」だったとも語った。
アンコール2曲目では、卒業ソング「未来へ続く者よ」を披露。卒業ドレスはペンライトカラーの白・水色、そして、ソロライブで愛用していたピンクの3色。彼女のアイドル人生そのものが形になったデザインだ。スクリーンには、メンバー一人ひとりへ宛てたメッセージ映像が映し出された。残される後輩たちへの思いが詰まった演出に、会場は温かな空気に包まれた。
最後に披露したのは、自身がセンターを務める曲「息をする心」。昨年8月に加入した4期研究生18名を含む現在48名体制のSTU48メンバー全員に囲まれながら、石田は幸せそうに歌い上げた。「たくさんの皆さまに支えられて、私はアイドルでいられることができました。3348日間、本当にありがとうございました! 待たねー!」。一人ステージに残った石田は元気よく手を振り、笑顔で卒業コンサートを締めくくった。
会見で恒例の「恋愛解禁」について聞かれると、「これ聞かれてみたかったんです!(笑)。この9年半でたくさんの方を見てきて、やっぱり一途な方が一番素敵だなと思うようになりました。あとは何でも受け止めてくれるような人。いい出会いがあれば、流れに任せて探していきたいです」と笑顔を見せた。
6月7日、石田は地元・広島で最後の卒業公演に臨む。新しい航海に船出する彼女の未来に期待したい。
取材・文/吉岡 俊 撮影/後藤 巧