「予選は重要視していない。レースペースは速い」と可夢偉。トヨタのル・マン逆転制覇の分岐点は“クセ強”新タイヤの攻略か

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2026年06月12日 21:30  AUTOSPORT web

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7号車トヨタTR010ハイブリッド(トヨタ・レーシング) 2026ル・マン24時間レース
 6月12日、フランスのサルトで2026WEC世界耐久選手権第3戦として開催される『第94回ル・マン24時間レース』へ向け、最高峰ハイパーカークラスに参戦しているトヨタ・レーシングのチーム代表兼7号車TR010ハイブリッドのドライバーである小林可夢偉と、8号車ドライバーの平川亮が日本メディア向けのオンライン会見に出席し、13日にスタートが切られる決勝レースへ向けた見通しと意気込みを語った。


■可夢偉が語る新タイヤの特性と「めちゃめちゃ厳しい」新システムのトラックリミット

 トヨタの2台は11日の予選を通過したものの、12日のハイパーポール1では可夢偉がドライブした7号車がトラックリミット違反でベストタイム抹消となり14番手。平川の8号車もトラフィックに阻まれ15番手に沈んだ。

 それでも可夢偉は「今年はFPの段階から予選をそこまで重要視しておらず、アタックシミュレーションもしていませんでした。その分、24時間を見据えて決勝に振り切って取り組んでいます」と強調。平川も「レースで戦えるクルマは準備できていると思います」と語り、決勝に向けたプログラム消化には手応えを感じている様子だ。

 24時間レースでは、各時間帯で安定して速いペースを刻めるかが勝負の鍵となる。可夢偉は「現状、レースペースでは我々は速い方の部類に入っていると思っています。このTR010ハイブリッドの狙いも24時間を通して速いペースを発揮するところにありますし、ストレートスピードは想定外にもうひとつな部分もありますが、決勝ペースで言えば昨年より確実に進化しています」と語り、決勝仕様に振ったランプランの成果を示した。

 そのうえで可夢偉が話題に挙げたのが、2026年から新スペックが投入されているミシュランタイヤの“クセ”だ。昨年のトヨタは夜間の低温でソフトでのペースが強く、気温が上がると苦戦するなどコンパウンドごとの明確な差が見られた。しかし今年は状況が大きく異なるという。

「今のところは温度が低いセッションが多いのですが、明日以降、とくに日曜日にかけてはかなり温度が上がりそうです。ただ今年のミシュランタイヤはかなり特殊で、ハード、ミディアム、ソフト、どのコンパウンドをどの温度で履いてもあまり変わらない感じがしています」

「昨年は明確に差があったのですが、今年はかなりクロスオーバーしていてコンパウンドのジャッジが難しい。温度が高かろうが低かろうが、どのタイヤでも大外れは今のところないというのが本音です」

 その特殊さの理由について、可夢偉は素材の変化を挙げる。

「おそらくカーボンニュートラル素材のようなものを入れた関係で、ゴムの量が増えているのだと思います。ゴムを盛った分、走った時に動く部分が大きくなっているのではないかと」

「その結果、ニュータイヤの一瞬の性能はいいけど、そこからコンパウンドが動く影響で徐々に性能が下がる。ただ摩耗して減ってくると動きが収まってタイヤが生き返ってくる現象が起きています」

 この特性から、タイヤは3スティントは使用できるという見通しのようだが、場合によっては4スティントも視野に入るという。可夢偉は「レース中に理解が進み、流れが変わっていくと思います」と語り、決勝中のタイヤの理解度と選択が勝負を左右する可能性を示した。

 さらに可夢偉はもうひとつの懸念材料としてトラックリミット検知システムをあげた。ハイパーポールで自身も苦しめられた可夢偉だが、今年はシステムが新調されたことで、より厳しくなっているのだという。

「システム自体が今までと変わりまして、AIを活用したシステムになったようです。自動的にラインをトリガーして、情報を管理しているスイスにデータが送られ、AIがジャッジした結果をもとにトラックリミットの判断がされるようになったんです」

「その結果、今まで以上にめちゃめちゃ厳しくなっています。決勝ではそれぞれのドライバーが10回以上検知されるとペナルティが課せられるはずなので、もしかしたらトラックリミットがかなり増えるかもしれません」

「ドライバーらも、システムが厳しくなった分かなり気をつけているのですが、それでもなかなかうまくいかないレベルで厳しい。それでもなんとか抑えて、最後の最後のゴール前までにトラックリミットの貯金を作って、最後にオールインで使えるようにしようかなと思っています」

 さらに平川も決勝が近づく中で「昨日ぐらいから各選手が熱くなっている」とコース上の雰囲気を話し、「アクシデントも多発している印象なので、レースでは最初と最後、あと明け方も用心して走れればと思っています。テストデーの時のように、他車からの接触でレースが終わってしまうことも考えられるので」と気の持ちようを言葉にして意気込みを締めくくった。

 LMDh勢が予選で速さを見せる一方、LMH勢は決勝に照準を合わせた動きが見られる。今年はBoP(性能調整)が非公開のため各車の本当の強みはふたを開けるまで分からないが、トヨタは決勝ペースに自信を持っている様子だ。新生トヨタ・レーシングが指揮するTR010ハイブリッド初年度のル・マンで、必勝を期した24時間の戦いがいよいよ幕を開ける。

[オートスポーツweb 2026年06月12日]

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