序盤はタイヤテスト?/新ハイパーカークラスは3〜6台で幕開けか/獲得急いだフォードetc.【ル・マン金曜Topics】

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2026年06月13日 13:20  AUTOSPORT web

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水鉄砲を構えるニック・デ・フリース(トヨタ・レーシングス/7号車トヨタTR010ハイブリッド) 2026ル・マン24時間レース
 6月10日からフランスのサルト・サーキットで開催されているWEC世界耐久選手権のシーズンハイライト・イベントは、長丁場となる決勝レースを前に静かな一日を迎えた。ここでは12日金曜のパドックやサーキット周辺の各種トピックスをお届けする。

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■「バランスが良くなった」とルキアンCEO

 今年の『第94回ル・マン24時間レース』に参加するマシンにとって、金曜日は走行セッションがない一日だったが、2027年のWECカレンダー、2030年のトップクラス・プロトタイプ規則の概要、フォード・レーシングのハイパーカー・ドライバーラインアップ、そしてジェネシス・マグマGT3コンセプトの初公開など、多くの発表が相次いだ。

 広く予想されていたとおり、シルバーストンが来年、9つ目のイベントとしてシーズンカレンダーに加わった。イギリスでの同イベントは4月23日から25日にかけて6時間レースとして開催される予定だ。

 WECの最高経営責任者(CEO)であるフレデリック・ルキアンは、「もしヨーロッパで(追加するために)ひとつのイベントを選ばなければならないとしたら、それはもちろんシルバーストンだ」とSportscar365に語った。

「モータースポーツ、そしてとくに耐久レースにとって素晴らしい場所だ。イギリスには非常に強力なファンベースがあることを知っているし、イギリスのファンはWECを観戦する権利がある。今、ヨーロッパでのイベントがもう一戦追加されることで、カレンダーのバランスが非常に良くなったと考えている」

カタールとバーレーンの両方が2027年のカレンダーに含まれている一方、ACOフランス西部自動車クラブのピエール・フィヨン会長は、今年の中東でのレースを続行するかどうかの決定は7月中旬までに行われることを確認し、2026-2027年のAsLMSアジアン・ル・マン・シリーズのカレンダーも同時に公式発表される予定だ。

 なお、公式にアナウンスされたものではないものの、中東情勢の影響でカタールとバーレーンでのレース開催が不可能な場合は、バルセロナとモンツァの両方が今年のWECシーズン最終2戦となる可能性がある。


■アジアン・ル・マン・カップ・シリーズが誕生

 ルキアンによれば、2030年から2032年のWECシーズンにおけるハイパーカーのタイヤサプライヤーは、次回のFIA世界モータースポーツ評議会での電子投票を経て、来月初めに発表される予定だ。この契約に関するニュースは金曜日に発表される予定だったが、フィヨンはSportscar365に対し「予想していたよりも時間がかかっている」と語った。

 一方、バーレーン・インターナショナル・サーキットは、少なくとも2036年までカレンダーに留まるというWECとの長期延長契約を締結した。この中東の国は、現在までに14回のWECレースを開催している。

 AsLMSのLMP3マシンは、新たに発表されたアジアン・ル・マン・カップ・シリーズに移される。このシリーズはLMP3、LMP3プロ・アマ、GT3の3クラス構成で、ミシュラン・ル・マン・カップのフォーマットにほぼ準拠する。トップクラスはFIA国際自動車連盟が定めるドライバーレーティングのゴールドおよびシルバーランクのドライバーを対象とし、LMP3プロ・アマとGT3の各ラインアップには少なくとも1名のブロンズドライバーを必要とする。プラチナドライバーはこのシリーズに出場できない。

 ACOはまた、AsLMSの新しいハイパーカークラスでは、3名で構成されるひとつのラインアップにつきゴールドまたはプラチナドライバーは1名のみとし、義務付けられたブロンズドライバー1名と、ブロンズまたはシルバードライバーのいずれかを加えることを確認した。

 フィヨンは記者団に対し、2026-2027年シーズンには3台から6台のハイパーカーのエントリーを期待していると述べた。LMP2およびGT3カテゴリーは、アジアのフラッグシップ・シリーズで継続される。

 今年で第6回となるDHLによる“サステナブル・エンデュランス・アワード”が記者会見中に授与され、ハイパーカーではキャデラック、LMP2ではTDSレーシング、LMGT3ではチームWRTが受賞した。また、フェラーリが“パブリック・アワード”を獲得している。

 ジェネシスは金曜日の午後、ル・マン市街地で行われたドライバーズ・パレード中に、2025年のソウル・モビリティショーで初公開された『Xグラン・コンバーチブル・コンセプト』の進化版となるふたつのモデルを披露した。これらの車両は、ジェネシスのブランド・アンバサダー兼レース・アドバイザーのジャッキー・イクスと、リザーブ・ドライバー兼ジェネシス・マグマ・レーシングの軌道ドライバーであるジェイミー・チャドウィックによって運転された。

 この韓国のメーカーはまた、WECチーム向けに水素を燃料に使用するトランスポーターを導入する計画も明らかにした。これはヨーロッパ・ラウンドで使用される予定だ。


■当初はひとりだけ発表予定だった

 フォード・レーシングのグローバル・ディレクターであるマーク・ラシュブルックは、今年のこの時期までに2027年のハイパーカー・ドライバー6人全員と契約し、発表できるとは思っていなかったと認めた。Sportscar365が入手した情報によると、当初は今週のル・マンでマット・キャンベルのみを発表する計画だったが、フォードは、アキュラIMSA GTPのフリーエージェントであるトム・ブロンクビストとニック・イェロリーに対して迅速に動いた。

 ラシュブルックは記者団に次のように語った。「いつものことだが、正直に言うと、(今日この場で)6人のドライバー全員を発表する予定はなかった。しかし、ドライバー市場が少し揺れ動いたことでチャンスが訪れ、明らかに我々はそのチャンスを活かして契約をまとめ、ここで発表することができた」

 キャンベル、ブロンクビスト、イェロリー以外の3名は、すでに起用が発表されていたローガン・サージェント、セブ・プリオール、マイク・ロッケンフェラーだ。

 フォードWECハイパーカー・プログラム・マネージャーのダン・セイヤーズは、まだ名前が決まっていないLMDhベースのプロトタイプが、8月5日にル・カステレ(ポール・リカール)でロールアウトされる予定であることを明らかにした。テストカーに搭載される5.4リッター・コヨーテV8エンジンは13日にシャシー・パートナーであるオレカ社のヘッドクォーターに到着する予定で、その後すでに製造中の最初のシャシーと組み合わさられるという。

 セイヤーズは次のように付け加えた。「ディアボーン(ミシガン州)ではエンジンのハードウェアとパワートレインのソフトウェアの開発に全力で取り組んでおり、それは今後もプログラムを通じて継続される。シャーロット(ノースカロライナ州)のスタッフは現在、アップデートの開発を行っている。ロールアウト用のマシンの設計は完了しているが、彼らはすでにトラックテスト用のアップデートを設計しているんだ」


■NMC真田社長がル・マンに

 同じく2027年のハイパーカー・デビューチームであるマクラーレンは、すでにイタリアでロールアウトと最初のテストを完了している。マクラーレン・エンデュランスのエグゼクティブ・ディレクターであるジェームス・バークレーによれば、彼らはテストの「忙しい1カ月」を迎える予定だという。彼は6人のドライバーのうち4人と契約したことを認めた。この英国ブランドでは今のところ、ミケル・イェンセンとローレンス・ファントールのみが発表されている。

 バークレーは、「いくつかのシートは空いているが、最後のふたつのシートについては時間をかけている。最初の4人には本当に満足している」とSportscar365に語った。マクラーレンと契約を結んだ可能性が高いふたりのドライバーは、アレックス・リンとマイク・コンウェイであると推測されている。

 日産のモータースポーツ部門であるニッサン・モータースポーツ&カスタマイズ(NMS)の真田裕社長が金曜日にパドックで目撃された。ニッサンは現在、FIA ABBフォーミュラE世界選手権、スーパーGT、およびGT3とGT4レベルのカスタマー・レーシングに関わっているが、トップレベルのスポーツカー・レースへの復帰への復帰が度々うわさされている。

 メルセデスAMG・カスタマー・レーシングの責任者であるステファン・ウェンドルは、ドイツのメーカーのWECにおけるLMGT3エントリーの将来についてACOと「着実な意見交換」を行ってきたと述べた。同氏によると、来年はハイパーカーが最大6台増加し、トップクラスの枠が拡大すると予想されているものの、それによって自社が受ける影響について「現時点では懸念していない」と語った。

 ウェンドルはSportscar365に対し次のように語った。「我々は彼らと非常に良い話し合いをしており、建設的な会議を行っている。結局のところ、台数など、それらの決定に影響を与える可能性のあるいくつかの異なる要因がある」


■ヤン・ラマースらと並ぶ歴代5位タイに

 アルピーヌ・エンデュランス・チームのアントニオ・フェリックス・ダ・コスタ(35号車アルピーヌA424)は、ハイパーカーチームが新しい『ミシュラン・パイロット・エンデュランス』タイヤを把握するために、決勝レースの序盤部分は事実上のテスト・セッションになる可能性があると考えている。レース当日の気温はテストデー、練習、予選セッションよりも大幅に高くなる予想されるため、これまでに収集されたデータの有用性は限られる見込みだ。

 ダ・コスタはSportscar365に対し、「我々が今学んでいることのすべてが、ほとんど無意味になってしまうかもしれない。どれだけうまく物事を予測できるか、それが大きな部分を占めることになると思う」と語った。

 レースの最初の部分をより多くのデータを収集するために利用することは可能であると示唆する一方で、彼は次のように付け加えた。「しかし、そうは言っても、昨年のレースではセーフティカーが1回しかなかったので、ここでは物事がそれほどニュートラルになるわけではない。もし、これがIMSAレースなら、最初の10時間をまだテストに使うこともできるが、ル・マンではそうではないんだ。最初の数時間で少し時間を失ったとしてもストレスを感じるべきではないと思うが、もしかすると、それを最後まで取り戻すことができないかもしれない」

 ロマン・デュマは、今大会で24回目のスタートを切る予定だ。これにより、このフランス人ドライバーは、エマニュエル・コラール、ヤン・ラマース、フランソワ・ミゴーと並んで歴代5位タイとなる。元アウディおよびポルシェのワークス・ドライバーである彼は、2001年から2024年まで驚異の22回連続スタートを記録しており、2010年と2016年に総合優勝を達成。2013年にはLMGTEプロクラス優勝も果たしている。

 IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権のフルシーズンGTPドライバー22名のうち、15名が今年のハイパーカーまたはLMP2のグリッドに名を連ねている。さらに4名のGTDプロドライバー(ジャック・ホークスワース、ニッキー・キャツバーグ、ハリー・キング、ベン・バーニコート)と、GTDのフルタイムドライバー6名(トム・ギャンブル、エドゥアルド・バリチェロ、マット・ベル、オリー・フィダーニ、バレンティン・ハッセ・クロット)も参戦している。

 ポルシェがWECハイパーカーへの関与を縮小したことで、今年のレースは、ポルシェ356 SLクーペがル・マン・デビュー戦でクラス優勝を果たした1951年の大会以来、最小のエントリー数となった。

 ポルシェ・モータースポーツの75周年記念の一環として、オリジナルの356 SLが今週末に会場に持ち込まれ、マンタイ・レーシングが走らせる2台のポルシェ911 GT3 Rエボとのフォトセッションに参加した。マンタイは、2024年と2025年の両年で勝利を収めており、ル・マンのLMGT3コンペティションにおいて無敗を誇っている。

 今週末、サーキットなどで展示されている数多くの市販車の中には、最近発表されたフェラーリ・ルーチェや、中国のEV大手BYDの車両が含まれている。BYDは、2026年からの新たなパートナーシップの一環として、FFSAフランスGT選手権の公式先導車であるBYDシールU DM-iも展示している。

 土曜日は正午(日本時間19時)から15分間のウォームアップ・セッションが行われ、その後16時(日本時間23時)にレースのスタートが切られる。決勝レースの模様はFIAWEC+やJ SPORTSおよびJ SPORTSオンデマンドでライブ中継され、さらに今年はABEMAでも無料生配信が行われる予定だ。

[オートスポーツweb 2026年06月13日]

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