東京都議の議員バッジ 3月、神奈川県鎌倉市議会で歴代議長や現職議員のネームプレートに387万円もの公金が費やされ、「議員の見え」「税金のムダ遣い」と批判を呼んでいる。だが、全国の地方議会ではもっとムダな支出を繰り返しているところも。野放図な公金のムダ支出を一挙暴露する!
◆税金で支える「議員の見え」、公金のムダ支出を大公開!
今や国会や地方議会でも、議員がお茶や水を飲みたいならセルフサービスが当たり前。ところが、千葉県議会ではいまだに議会事務局の職員がお茶を出しているのだ。驚くことに、議会控室の食器棚に並んだ茶筒には「プリティ議員」(編注・プリティ長嶋県議)などと、持ち主のメモが貼られ、西尾憲一県議の茶筒には「濃いめに。」との“注文”まで書いてある。年4回の定例会の本会議中、お茶汲みをする職員は実に8人。日当1万円で、非常勤職員まで雇っているのだ。
千葉県議会事務局は、
「お茶を出しているだけでなく、コピー取りや発送準備などの事務補助もしています」
と言うが、議員が自分でやればいいだけの話だ。非常勤職員の人件費は年288万円。委員会でもお茶を出しており、総額は300万円を優に超える。原資は税金だ。
東京都議会も会派控室職員という名の“受付嬢”を18人も抱える。うち11人が非常勤職員。人件費の総額は、6000万円を上回る。上田令子都議が、内情を明かす。
「自民や都ファなど大きな会派は、職員を秘書のように使っている一方、一人会派や少数会派に職員はつきません。政治活動を禁じられている公務員が、特定の会派に事実上、勤労奉仕しているのです」
◆名誉の証・議員バッジは返却しないのが常識!?
議員の証・議員バッジは金をふんだんに使い、豪華な装飾のものが多い。議員でいる間は貸与され、任期が満了すれば返却するのが原則だ。
ところが、石川県議会では過去10年の落選・引退議員のほぼ全員が返却していないことが発覚。にもかかわらず、議会事務局は返却を断念している。また、福井県議会では、過去に返却されたバッジに、4000円程度の金メッキのレプリカが紛れ込んでいた。福井県議の議員バッジは、金の高騰を受けて実勢価格は約7万1500円。差額を考えれば、泥棒に等しい。
さらにひどいのが、東京都議会だ。規定で貸与となっている議員バッジの返却を長らく求めておらず、借りパク放題を黙認しているのだ。東京都議会事務局は、こう話した。
「1973年頃、返還を要さないという運用が決まり、過去に回収したバッジで手元にあるのは5個。原資は税金であり、問題意識を持っていますが、各議員に関わることでもあり、対応として決まっていることは現状ありません」
都議のバッジの製作費用は、金の値上がりで5年前の3.6倍と、一個4万7355円に跳ね上がっている。総額625万円に及ぶ公金が、改選の4年ごとにムダになるが、都は公然と放置しているのだ。小遣い稼ぎを目論んだのか、昨年にはバッジがネットオークションに出品され、3万4100円で落札された。
◆2000万円の車を公用車に
地方議会のムダな支出は、まだまだある。議長の公用車に国産最高級で2000万円もするトヨタ・センチュリーを運用している地方議会がいくつもあるのだ。徳島県では、知事の公用車が約644万円のトヨタ・アルファードなのに対して、県議会議長の公用車は2130万円のセンチュリー。価格は、知事公用車の3倍を超える。
徳島県議会事務局が話す。
「安全性、耐久性、頑強性、それに先代の議長車もセンチュリーで、賓客が来賓したときにセンチュリーで送迎していた経緯もあり購入しました。賓客の数? 年に何件もなく、過去に数件ほどです。確かにハイヤーで対応できるかもしれませんが、センチュリーでなければいけないというより、今までセンチュリーだったのが選定理由です」
議長公用車は、未来永劫、センチュリーということか。
一方、議長公用車を安価なリースに変更する地方議会も増えている。ところが、車両の費用を軽減したのはいいが、運転手の人件費で議長公用車の経費がかえってかさむ、本末転倒な地方議会もある。
神奈川県湯河原町議会では、’21年より町長車・議長車をリースに変更。2台で年190万円と車両のコストを圧縮したが、運転手の人件費が年1324万円もかかっている。室伏寿美夫・町議会議長は、こう説明した。
「以前は職員が運転していましたが、委託した場合、年間100万〜200万円人件費を圧縮しており、特段高いとは思ってません」
かねてより問題が多いのが、議員の海外視察だ。飛行機はビジネスクラス、ホテルはハイグレード、帰国後に提出する報告書の中身はウィキペディアのコピペレベル……。公費負担の観光旅行と批判されるゆえんだ。
◆一人300万円超の豪華海外視察が常態化
東京都世田谷区議会では、昨年、カナダの姉妹都市ウィニペグ市を海外視察。6日間で一人204万円、総額2250万円の豪華旅行に、議会14会派中6会派が反対するなか、視察は強行された。莫大な支出に妥当性はあるのか、議会事務局に聞いた。
「視察が区政にフィードバックされて、区民に還元されているのか、成果を公表しているものはありません」
福岡県議会の“観光旅行”は3泊4日で一人300万円超と、さらに豪華だ。直近3年間で3億円超と、全国の自治体でも額が突出し、本年度予算でも5100万円を計上。手口も悪質で、旅行会社と約99万円の少額で随意契約を結び、出発直前に1025万円の豪華旅行にグレードアップする脱法的手法が状態化。蔵内勇夫議長(自民)らが背任容疑で刑事告発され、県警が受理している。
市民感覚と大きくズレた地方議員の振る舞いの背景には、「厚遇されて当然」という特権意識が潜む。東京・市民オンブズマン代表の清水勉弁護士は、こう説明した。
「議員は上から国会議員、都道府県議、市区町村議と思われがちだが、実際は逆。国政選挙で票を集めるのは地方議員で、彼らが選んだ候補者が永田町に送り出される。『国会議員にしてやった』という感覚だから、地方議員はオレ様なんです。国会議員も自分たちも同じ議員だと考えており、国会議員並みの“待遇”があって当然と思っている」
地方議員のムダな公金支出は、なくなりそうもない。
東京都議会議員
上田令子氏
江戸川区議2期を経て都議4期。地域政党・自由を守る会代表。税金のムダや行政の不正を監視し、行財政改革、議会改革に尽力
東京・市民オンブズマン代表
清水勉氏
弁護士。東京都や都内自治体の公金不正支出に対して、多くの住民訴訟で勝訴。公金返還を実現し、官官接待是正の先鞭をつける
◆全国地方議会の税金ムダ遣い一覧
【お茶出し・受付などムダな接遇】
千葉県議会
非常勤職員8人 人件費300万円超
東京都議会
非常勤職員11人 人件費6000万円超
【議員バッジの未返却】
東京都議会
単価4万7355円 総額625万円
規程では「貸与」だが、議会事務局が長年「回収しない」運用を続けている。4年の改選ごとに、税金で新調した議員バッジが事実上タダで議員に配られる
石川県議会
単価4万7190円(直近選挙時)
台座に18金、菊の紋に14金を使用した豪華な仕様。過去10年間に引退・落選した議員のほぼ全員が返却していなかったことが発覚している
熊本県議会
単価3万2450円(’22年購入時)
1979年以降に貸与された578個のうち、400個以上が未返却。議会が「貸与」から「交付」へ規程を変更したことで、借りパクした議員のヤリ得に!?
【議長公用車】
徳島県議会
センチュリー 2130万円
’20年、「品位と安全性を確保するため」と議会の要望で購入。知事公用車(トヨタ・アルファード)は3分の1以下の644万円。知事の品位も3分の1以下?
山口県議会
センチュリー 2090万円
正副議長公用車として2台購入の大盤振る舞い。批判を受け、副議長用の1台は約700万円のミニバンへ泣く泣くの変更も、議長車はセンチュリーを死守
広島県議会
センチュリー 1830万円
’20年に新調。知事公用車は地元企業のマツダCX-8を導入したのに対し、議長公用車は「同等の車種がマツダにないから」との謎理由でセンチュリーのまま
【海外視察】
福岡県議会
’26年度予算 5100万円
直近3年間で22回行われ、なかには最多の18回も無料ツアーに参加した強者も。刑事告発された蔵内議長(自民)は12回参加と、惜しくも次点に
大分県議会
’26年度予算 3400万円
県議22人と人数が多く、3組に分かれて独、仏、スイスを視察と、パックツアーの趣き。政策の先進事例調査のためと言い張るが、信じる県民はいるのか
東京都世田谷区議会(東京都)
’26年度予算 1020万円
基礎自治体としては金額が突出し、これまで賛成していた会派も反対に回るほど。世田谷区は40年以上、多額の税金で海外視察を続けてきた地方議員天国!
取材・撮影/山本和幸 取材・文/齊藤武宏