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東京ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランドの2025年度の売上高は、前期比3.7%増の7045億円で、過去最高を更新した。近年の値上げで1人当たりの客単価が上がり、増収につながった。
だが、株価は低迷している。2023年度に5500円超えのピークを2度迎えたものの、2024年度から減少し続け、現在はピーク時から半分以下の2500円前後を推移している。人件費などのコスト増による減益が、投資家の懸念材料となっているようだ。
近年の来園者数を振り返ると、値上げの影響で「ある属性」の来園者数が減少している。この属性は将来のディズニーリゾートを支える存在だ。その減少は、株価が示唆するように将来の業績悪化をもたらすかもしれない。
●「客単価」重視にかじを切ったオリエンタルランド
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近年、売上高は過去最高を更新し続けている。2019年3月期に5256億円を記録した後、コロナ禍では営業日の減少や消費者の自粛により2021年3月期は2000億円を下回った。だが、V字回復を遂げ、2026年3月期は7000億円を突破した。
増収の要因は、来園者数ではなく客単価の上昇だ。ランドとシーを合わせた来園者数は、東京ディズニーリゾートが35周年を迎えた2019年3月期(3256万人)がピークで、直近の3年間は約2700万人を推移している。オリエンタルランドは2019年3月期まで来園者数を重視していたが、コロナ禍以降、1人当たりの客単価を重視する戦略へと切り替えた。
チケットは価格変動制を導入し、最大料金を段階的に値上げしている。大人の1デーパスポートは2019年の7500円から、現在は最高1万900円まで引き上げられた。この他、年間パスポートや無料のファストパスを廃止し、有料で特定のアトラクションに優先的に乗れる「ディズニー・プレミアアクセス」を導入した。
端的に言えば、オリエンタルランドは客の選別を進めてきた。一般的に、高い価格を受け入れられる客ほど物販や飲食への支出も大きい。そのためディズニーの客単価は、2019年3月期の1万1815円から1万8403円へと増加し、チケット単価以上の伸びを示している。
また、年間パスポート保有者の中にはパレードだけを見て帰る客も一定数おり、値上げは混雑による顧客満足度の低下を防止する目的もあった。
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●売上好調でも株価は低迷、なぜ?
売り上げは好調な一方、株価は下落し続けている。その主な要因が、コスト増による減益だ。
オリエンタルランドが2024年7月に公表した、2025年3月期の第1四半期の業績はコストアップにより減益となった。2025年3月期の通期は増益となったものの、減益基調は続いている。2026年3月期のテーマパーク事業単体の営業利益は、前期の1404億円から1304億円に減少した。背景には、人件費が112億円、メンテナンスやシステム関連などの諸経費が112億円増加したことがある。
オリエンタルランド(単体)では、従業員の約7割をアルバイトの「準社員」が占めている。準社員の時給は2019年の1000円台前半から、現在は1500円前後に上昇し、この間に正社員の給料も増えた。
時給がそれほど高くなくても夢の仕事とされ、アルバイトの希望者も多かったが、労働市場全体で賃金が上昇するにつれ、同社も賃上げを余儀なくされた。減益のほかにも1%に満たない配当利回りや、長年の高PER・PBRも株価下落の一因とされる。
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●ディズニーで広がる「若者離れ」
回復しない入園者数も株価の下落につながった。ディズニーリゾートの来園者は男女比が約3:7で、年齢別では18歳以上が7割以上を占める。つまり、「大人の女性」が中心の業態だ。値上げによって入園者数が減少しており、前述の通り年間2700万人を推移している。
特に、筆者が冒頭で「ある属性」と表現した18歳未満の客数減少は懸念材料だ。オリエンタルランドが公表する来園者数と年代別来園比率のデータをもとに計算すると、18歳未満の客は2019年3月期に900万人以上が来園し、翌年度は772万人が訪れた。しかし、直近の3年間は減少し続け、2025年度は672万人となった。少子高齢化という理由だけでは片付けられないペースで減少している。
中人(12〜17歳)の1デーパスポートは、2019年は6400円だったが、現在は6600円以上で販売されている。最低価格はあまり変化していないが、最高価格は9000円まで引き上げられ、以前より気軽に訪れにくくなった。
オリエンタルランドが2012年にテレビCMで宣伝していたように、若い頃の体験や感動が大人になった際の来園動機につながる。子どもの頃に家族と訪れた少女が、学生になって制服でディズニーを楽しみ、成人して友人やパートナーと訪れるといったパターンだ。若年層の来園者数の減少は、10年後の「大人の女性」の客数に悪影響を与えるかもしれない。
●ディズニークルーズ事業の参入も
オリエンタルランドは2028年から日本初のディズニークルーズ事業に参入する。クルーズ船の規模は約1250室で乗客は約4000人。2025年に造船を開始し、2026年4月に事業子会社を設立した。
首都圏の港を拠点とする短期航路が中心になるという。直接的な売上高や利益への寄与よりも、ブランド力の向上やインバウンド需要の取り込みといった効果を発揮しそうだ。
近年はディズニーリゾートでも、インバウンドの来園者が増加している。クルーズ事業の導入といった戦略からも、富裕層など客単価の高い顧客を重視するオリエンタルランドの姿勢がうかがえる。
値上げによって売り上げや利益を確保し、パーク内の混雑を改善するのは正しい施策だ。だが、長期スパンでは若年層の減少が将来の入園者数減少をもたらしかねない。
若年層は全体に占める割合が小さいため、コロナ禍以前の水準まで回復しても、混雑や収益への影響は小さいと考えられる。10年後を見据えて、子連れや学生客のチケットを値下げすべきではないだろうか。
●著者プロフィール:山口伸
経済・テクノロジー・不動産分野のライター。企業分析や都市開発の記事を執筆する。取得した資格は簿記、ファイナンシャルプランナー。趣味は経済関係の本や決算書を読むこと。
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