記者会見で笑顔を見せる芥川賞の小砂川チトさん(右)と直木賞の朝倉かすみさん=15日午後、東京都内 第175回芥川・直木賞(日本文学振興会主催)の選考会が15日、東京・築地の新喜楽で開かれ、芥川賞は小砂川チトさん(36)の「ゾンビ回収婦」(群像5月号)に決まった。直木賞には朝倉かすみさん(65)の「けんぐゎい」(光文社)が選ばれた。
贈呈式は8月下旬に都内で行われ、正賞の時計と副賞100万円がそれぞれ贈られる。
小砂川さんは候補3度目で受賞。受賞作は、人工知能(AI)の台頭により仕事を失った女性が、ゾンビの遺体を回収する仮想現実(VR)空間のゲームに没頭し、自らの役割と存在を見詰め直す物語だ。
芥川賞選考委員の奥泉光さんは「現実とバーチャルの描写がない交ぜになった、第3の新しい虚構世界をスピード感のある文体で立ち上げた」と評価した。
朝倉さんも候補3度目で受賞。江戸時代に恋心を抱く手習い所の師匠から過酷な性暴力を受けた女性が、産科医として自立し、自己の尊厳を取り戻していく姿を描いた。
直木賞選考委員の辻村深月さんは「技巧を超えて衝動で描かれた作品。パワーがあり伸びやかで、江戸時代をベースにしながらいろいろな世界に連れていかれる」とたたえた。
直木賞候補となったお笑いコンビ「オードリー」若林正恭さん(47)の「青天」は受賞を逃した。