坂本美雨の歌唱テクニックをカリスマボイストレーナー・しらスタが絶賛「小指だけで懸垂しているみたい」

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2026年09月30日 11:30  TOKYO FM +

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坂本美雨の歌唱テクニックをカリスマボイストレーナー・しらスタが絶賛「小指だけで懸垂しているみたい」
チャンネル登録者数200万人を超えるカリスマボイストレーナー「しらスタ」と、シンガーソングライターのYOSUKEがお届けするTOKYO FMのラジオ番組「シアーミュージック presents しらスタのボイトレディオ」(毎週火曜21:00〜21:30)。

今回の放送は、歌手の坂本美雨(さかもと・みう)さんがゲストに登場。番組の名物企画「明日カラオケで歌いたくなる! しらスタのソングコメンタリー!!」では、坂本さんのニューアルバム『Something True』に収録された楽曲「If I must die」をピックアップ。しらスタのボイストレーナー目線で解剖される超高度な歌唱テクニックから、ガザの詩人が遺した言葉に込められた深い祈りまで、音楽とボーカルの魅力を熱く語り合いました。



(写真左から)YOSUKE、坂本美雨さん、しらスタ



◆坂本美雨を迎えて贈る「If I must die」徹底解説

しらスタ:本日お越しいただいたゲストはこの方です!

坂本:こんばんは、坂本美雨です。よろしくお願いします。

YOSUKE:よろしくお願いいたします! さあ、改めまして坂本さんのプロフィールをご紹介させていただきます。坂本美雨さんは1997年に歌手デビューされ、来年でデビュー30周年を迎えます!

しらスタ:おめでとうございます!

坂本:ありがとうございます。

YOSUKE:音楽活動に加え、テレビの司会、ナレーション、執筆活動、演劇など幅広くご活躍中です。昨年大ヒットした映画「国宝」の主題歌「Luminance」の作詞を手がけたことでも話題になりました。そして、2011年10月からはTOKYO FM全国ネット「坂本美雨のディア・フレンズ」のパーソナリティを担当されております!

坂本:ありがとうございます(笑)。

YOSUKE:そんな坂本さんを迎えての放送ですが、おしらさん、早速行っちゃいましょうか!

しらスタ:行っちゃいましょう!「明日カラオケで歌いたくなる! しらスタのソングコメンタリー!!」。ボイストレーナーとしてYouTubeなどでヒット曲の解説をしてきた私しらスタが、ご本人様の前で曲の魅力を語る企画です。本日は「If I must die」の魅力をたっぷりと語りたいと思います。



YOSUKE:こちらの楽曲は6月24日にリリースされた坂本さんのニューアルバム『Something True』に収録されており、昨年11月にはデジタルシングルとしてもリリースされていました。美雨さん、この楽曲はどんな曲でしょうか?

坂本:はい。ちょっとシリアスなお話になりますけれども、「If I must die」は日本語に訳すと「私が死ななければならないのなら」というタイトルです。これは、イスラエルの空爆で殺されてしまったガザの詩人であり文学教授でもある、リフアト・アルアライールさんという方が遺された詩なんです。2023年12月に亡くなられる前、インスタグラムに残してくれた詩がこちらで。ご自身が狙われていると分かっていた中で、娘さんに向けて残したメッセージなんです。

「自分がそういう運命であっても、それをプラスに変えて生きていってほしい」という娘への思いであり、私たちへのメッセージでもあります。私たちが抑圧されてきた人たちの生き方や文化を受け取り、どう前向きに変えて生きていくかということを優しく包み込んでくれている歌詞だなと感じて、原摩利彦(はら・まりひこ)さんと一緒にメロディをつけて1つの楽曲に仕立てました。

しらスタ:なるほど。私は曲の背景を知らずにアルバムを聴いていて、「どの曲をソングコメンタリーさせていただこうかな」と考えた時に、この曲がすごく耳に残ったんです。よし、この曲にしよう!と思ってから背景を勉強させていただいて。ちょっと挑戦してみたいという気持ちで選ばせていただきました。

坂本:ありがとうございます。選んでくださるのがすごく意外だったんです。歌い上げている楽曲ではないですし、解説するのが難しいんじゃないかなと思って(笑)。

しらスタ:そうですね、本当に難しくて(笑)!

YOSUKE:では早速、楽曲を聴きながら気になるポイントで曲を止めて解説していただきましょう!

◆「f」の音に滲む恐怖と覚悟、そして震えるビブラート

しらスタ:ソングコメンタリー、スタート! ……と曲を流す前に! 聴いてくださっている皆様に注目してほしいポイントがあります。歌詞の冒頭「If I must die, you must live(私が死ななければならないのなら、あなたは生きなくてはならない)」という英語詩があるのですが、「If」の「f」の音がめちゃくちゃ長いんですよ。「If......must die」って。そして「you must live」の「must......live......」のところにビブラートが入っています。「If」の「f」の長さとビブラートを感じてお聴きください。

――音源再生:「If I must die, you must live」〜

しらスタ:ストップ!

坂本:緊張感があります(笑)。

しらスタ:「If I must die」……言葉にすると安っぽくなってしまうかもしれないのですが、覚悟というか、それが「If」の「f」に聴こえるわけです。「If I must die」と溜める。そして逆に「you must live」は真っ直ぐではなく、「you......must......live......」と震えている、泣いているように聴こえる。リフアトさんがどういう気持ちで詩にして、それを美雨さんがどう歌に昇華させたんだろうと思うと、このビブラートと「If」の長さがエグすぎて!

坂本:すごい想像力! そんなふうに聴いてくださっているなんて。「f」という音には、やはり恐れ……自分が死ななければならないという想像絶する恐怖の中で、「もし」という言葉を娘に向けて「生きのびてほしい」と願う。でも、情勢を見ると、その愛しい子も生きられるか分からない。実際、娘さんも数ヶ月後に亡くなってしまったのですが……希望だけではいられない葛藤が、歌う時にもありました。

しらスタ:「もし」というニュアンスがすごすぎて。歌唱技術と呼ぶのか、感情を込めた結果なのか分からない域ですが、より見えてくる世界を伝えたくて解説を続けさせていただきます!

◆「小指だけで懸垂しているみたい」驚異のピュア・ファルセット

しらスタ:続いては、美雨さんの息混じりの歌声について堪能していただきましょう!

――音源再生:「to tell my story, to sell my things, to buy a piece of cloth and some strings」

YOSUKE:素晴らしい……!

坂本:(拍手)

しらスタ:この声! 高いファルセット(裏声)ですが、これボイトレ的にめちゃくちゃ重要なんです! ボイトレには「ピュアなファルセット」という概念がありまして。「はぁ〜」と無理やり息を逃がすウィスパーボイスとは違い、美雨さんの声は純粋なピュアファルセット、いわゆるヘッドボイスなんです。

YOSUKE:ほう!

しらスタ:美雨さんのこのピュアファルセットって、“小指だけで懸垂している”みたいな感じなんですよ。

坂本:そのイメージ分かります! すごい(笑)!!

しらスタ:本当は両手を使って「ふー」と歌ったほうが楽なんですけど、小指だけで行けちゃう。力の入れどころと全体のバランスが整っている証拠です。

坂本:私の声自体はすごく小さくて、マイクを通さないと成り立たないくらいの歌声かもしれないです。でも、お腹というか、腰やお尻の筋肉が歌った後にすごく凝るんですよ。基盤となる下半身にすごく力を入れて踏ん張っている感じですね。

しらスタ:なので、喉はただの“土管”みたいに息が通り抜けていくだけ。これがなかなか出来ないんですよ! 美雨さんならではの魅力だなと思います。

坂本:詩を書いた人の消え入るような気持ちを表現したくて。計算し尽くしているわけではないのですが、イメージとしてそう歌っていました。

◆不安定さを表現に変えるチェンジボイスの境地

しらスタ:歌詞では「私の物語を語り、私の物を売り、一切れの布と糸を買ってください」と続きます。なぜ美雨さんがこのピュアファルセットを選択されているのか、その理由が分かる続きを聴いてみましょう。

――音源再生:「make it white with a long tail〜」

しらスタ:今、裏声の中で裏返しているというか、ピュアな部分と地声の力を借りた音を行ったり来たりされていますよね?

坂本:私は地声と裏声の間の切り替え(チェンジボイス)のところが昔からずっと苦手で、今もハラハラする不安定な領域なんです。でもこの曲に関しては、その「上手くチェンジしきれない不安定さ」や「どちらにも行き切れない気持ち」が逆に必要なんじゃないかと思って歌いました。

しらスタ:リスナーとしてはハラハラというよりも、楽曲の感情がそのまま伝わってくる素晴らしい次元の表現として聴こえております!

◆ガザの空に上がる「凧」――平和への祈りとエンジェル

しらスタ:そして、先ほどの布と糸が何になるのか、歌詞の続きに出てきます。

――音源再生:「sees the kite, my kite you made, flying up above and thinks for a moment an angel is there bringing back love〜」

しらスタ:「エンジェル」というフレーズを美雨さんのように歌えるようになったら、音域も広がるし声も枯れなくなります! そして「sees the kite, my kite you made(あなたが作った私の凧を見る)」という歌詞の通り、布と糸は「凧」を作るためのものでした。ガザという地域は高い壁に囲まれて身動きが取れない場所ですが、空へ飛ぶ凧は非常に象徴的な存在なんですよね。

坂本:イスラエルが作った高い壁に囲まれていて、反対側は海。ガザの人々にとって海辺はとても綺麗で、遊具がない中で子どもたちはテントの切れ端などで凧を揚げて遊ぶんです。3.11の後に福島へ来てくれたガザの子どもたちも、福島で凧を揚げてくれました。まさに平和や解放の象徴なんですよね。

しらスタ:1万人以上の子どもたちが一斉に凧を揚げるギネス記録があったりと、ガザの人々にとって特別な意味を持つ凧。それが子どもたちの目には「天使」に見えて、愛が戻ってくる……そういった背景を知ると、より深く楽曲が響いてきますよね。

坂本:ありがとうございます。

YOSUKE:おしらさんに「If I must die」のソングコメンタリーをしていただきましたが、美雨さん、いかがでしたか?

坂本:自分にとっても詩や曲に対する解像度がものすごく上がりました。ここまで深く説明できていなかったので(笑)、本当に嬉しかったです。

しらスタ:自分にとってもチャレンジだったので、そう言っていただけて光栄です!

YOSUKE:坂本美雨さん、本日は素晴らしいお話をありがとうございました!

<番組概要>
番組名:シアーミュージック presents しらスタのボイトレディオ
パーソナリティ:しらスタ、YOSUKE
放送日時:毎週火曜 21:00〜21:30
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/f/voitradio/message
番組公式X:@voitradio_tfm

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