前回からの続き。私はヒトミ。兄と妹がいて、3人きょうだいの真ん中です。ひとり暮らしの父は介護が必要な状態ではなかったものの、家事を手伝うためによく実家へ通っていました。しかし病気が原因で入院してから数か月ほどで亡くなってしまった父。葬儀後に父の荷物を整理していると、私が死亡保険金の受取人になっている生命保険の保険証券が出てきたのです。あわてて兄と妹に話したところ、2人は怒り出します。妹は「私が父を騙して保険金の受取人にさせた」と騒ぎ出し、さすがの私も大声を出してしまいました。
妹の発言をたしなめましたが、妹は謝ることもせず「姉さんのために用意されたお金なんていらない!」と叫びながら家を飛び出し、帰ってしまいました。父の保険金をきっかけに、きょうだい間に亀裂が入ってしまったのです。
冷静な話し合いはできませんでしたが、兄の気迫に押されながら、私たち夫婦は家を出ました。帰り道、私の心には大きな寂しさが押し寄せてきました。夫が心配そうに私のことを見つめるので、胸の内を話すことにしました。
結局父の遺志どおり、保険金は私が受取ることになりました。兄は家と土地を受継ぐそうです。
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父の気持ちはありがたいのですが「父が元気でいてくれたらそれだけで良かったのに」とも思ってしまいます。
兄と妹が、父だけでなく私のことも疎ましく感じていたなんて知りたくありませんでした。こんな結末だなんてすごく悲しいです。
私たち3人は、もう元の関係に戻ることはないのでしょうか。
【第5話】へ続く。
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