1月10日、スーパー耐久シリーズを運営するスーパー耐久未来機構(STMO)は千葉県の幕張メッセで開催されている東京オートサロン2025のTOYOTA GAZOO Racingブースで、『公開理事会』と題したトークショーを開催した。2025年に向けて、スーパー耐久への門戸を広げる新レースの開催に向けた議決が行われた。
2024年も非常に多くの台数で盛り上がりをみせたスーパー耐久シリーズ。6月からは新たな一般社団法人スーパー耐久未来機構に事業が継承されており、新体制のもとさまざまな取り組みを行っているが、そんな新組織の『理事会』が東京オートサロンの初日、TGRブースで開催された。
この公開理事会は、豊田章男理事長(総支配人)のアイデアで生まれたもの。ただ、この日はTOYOTA GAZOO Racingの発表会でも明らかにされたとおり、理事長はアメリカ帰りの疲れが祟り欠席。桑山晴美副理事長(女将)、加藤俊行専務理事/事務局長(支配人)、高谷克実スーパーバイザー、そしてエントラント代表としてTEAM NOPROを率いる野上敏彦、そして2025年はTKRIから参戦することになった片岡龍也のふたりが登壇して理事会がスタートした。
公開理事会の序盤は、来場しているファンのためにスーパー耐久の魅力の紹介からスタートしたが、2025年に向けては「過去最高のエントリーを集めています」と桑山副理事長は語った。
その後、理事会の議論がスタートすることになったが、加藤専務理事が議長を務め、ふたつの議題を話し合った。まずひとつめは、2024年を振り返るというもの。エントラントのふたりからは2024年のタイトル獲得、そして桑山副理事長からは「S耐横丁を開催し、一年目ではまずまずの結果を残すことができました。また7大会の地方それぞれの特色あるイベントを作っていきたいと思っていましたが、最終戦の富士で良い大会になったことが嬉しかったです」と振り返った。
また高谷スーパーバイザーは「65チームが年間エントリーしましたが、接触が減り、ペナルティが減りました。これは参加者の理解と協力がないとできないものです」と安全性の向上についての収穫を語った。
そして、ふたつめの議題として挙げられたのが、スーパー耐久の新たなレースの企画だ。スーパー耐久は年々盛り上がりをみせているが、経済面や競技面で、参戦に向けてはハードルが上がっているのも事実。「大会のとき、夜な夜な居酒屋などでこの話をしています」と桑山副理事長が語ったとおり、シリーズのレベルと規模が拡大するのに反した悩みとなっていた。
そこでスーパー耐久に出るにはまだ早いかもしれないが、いつかはモータースポーツに参加してみたい、スーパー耐久に出てみたいと考える人たちのために『S耐チャレンジ』というレースを創出したいと桑山副理事長は提案した。
「調べてみると、国内Aや国内Bといったライセンスをもっている方はすごく多いのですが、そういった方でレースに出たことがない方も非常に多いんです。レースを観る、応援する立場から『出てみる』立場になるような仕組みを作ってみたいと思います」と桑山副理事長。将来は、その下にさらに初心者に向けた『ファーストS耐』というレースも企画したいという。
この『S耐チャレンジ』については、高谷スーパーバイザーから具体的な説明がなされた。「STMOとしてやりたいことはたくさんありますが、最初のステップとしてこの『S耐チャレンジ』を検討しました」と高谷スーパーバイザー。形式としては2名1組での参戦で、タイヤ交換、給油なしで60分程度のセミ耐久を開催したいという。またST-Qクラスに参戦するメーカーからのレンタカーの提供など、ハードルを下げる取り組みをしたいと語った。
車両としては、改造範囲をなるべく少なくしたいとのことで、JAFのNゼロ規定あたりを想定しているという。また、S耐チャレンジのST-Qクラスとして、ハイブリッドやEVなども採り入れたいと語った。
これについては、片岡からも賛成の声が飛んだほか、チャットで発言した豊田章男理事長からも賛成という声が。また会場からも拍手が湧き、『S耐チャレンジ』は開催に向けてGOサインが出された。具体的には、第3戦富士で詳細を発表、2025年最終戦富士で第1回開催を目指していく。また2026年からは3戦ほどをスーパー耐久の併催として開催したいとした。
これまでにない『公開理事会』は、まずはひとつの議決を残し幕を閉じた。2025年もスーパー耐久はさらに意欲的な取り組みを進めていくことになりそうだ。スーパー耐久シリーズはこの後、幕張で2024年のシリーズ表彰式を行う。こちらもS耐TVで中継される予定だ。