「男性客が名字を連呼」「SNSに書こうか?」スーパー店員の名札、名字やめました 首都圏チェーンの取り組みに「他社も続いて」

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2025年03月15日 07:20  まいどなニュース

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スーパーマーケット「ベルク」は首都圏を中心に140店舗以上を展開(ベルク提供)

 スーパーマーケットの「ベルク」は2月から、店頭で働く従業員の名札について、名字の表記をやめました。新しい名札は「STAFF」に統一。過去には、男性客が従業員の名札を見て名字を連呼したり、接客ぶりについて「SNSに書こうか?」と脅してきたりといったケースも。首都圏を中心に140店舗以上を展開する「株式会社ベルク」(本社・埼玉県鶴ヶ島市)の担当者に話を聞きました。

【写真】ベルクの新しい名札に「いい試み」「他社も続いて」(実際の写真)

「名前覚えたからな」「SNSに書こうか?」に恐怖

 同社担当者よると、名字を非表示にした理由は「従業員のプライバシーを守り、安心して働ける環境を整備するため」。

 同社が2024年に行った社内アンケートでは、カスハラ被害について従業員の36.2%が「ある」と回答。客に名字を知られたことで、精神的な負担を感じた従業員も複数いることがわかりました。具体例としては「レジ業務が不慣れな時期に男性客から何度も名字を連呼された」「SNSに書こうか?と脅されて恐怖心が消えない」「名札をじっと見られて、『名前覚えたからな』と言われた」「名前を呼ばれて個人的なことを聞かれる」など。

 従業員の新しい名札は両面タイプ。店頭で表示する面には、これまでの名字に代わり、「STAFF」の文字が。余白には「笑顔で接客します!」「丁寧な接客を心がけます」など、来店客に向けたメッセージも盛り込み、同社が目指しているという「フレンドリーな接客」をアピールしています。店舗責任者の名札は、首から下げるストラップ(ひも)の部分に「店長」「副店長」「チーフ」などの印字があり、立場が分かる工夫も。

 一方、裏面にはこれまで通り名字が書かれており、バックヤードでの作業時や休憩室では「名札を反転して使用しています」(同社担当者)。一つの店に約150人が勤務する大所帯の店舗もあり、従業員同士がお互いの名字を把握することで、コミュニケーションを取りやすくするためなのだとか。

 居場所によって名札を裏表にする動作。従業員の中には面倒に感じる人もいるのでは。

 「生鮮部門などバックヤードでの作業が中心の従業員は、売場への移動頻度が少ないため、大きな負担になっていないようです。ただ、売場への移動頻度が多い従業員には一定の手間はかかるため、また導入後で不慣れということもあり、一部の方で手間を感じる意見はございます。ですが、従業員は今回の取組みに理解をいただいているので、まずはその動作に慣れてもらい、クリップの留め方や反転の仕方等をていねいに伝えていきます。また、状況によってはクリップの形状を見直す等の対応を考えていきたいです」(同社担当者)

名字非表示、97%が支持 社内アンケート

 同社の名札から名字をなくす取り組みは、2024年11月から10店舗で試験的に導入しました。今年2月に行った社内アンケートでは、10店舗の従業員973人のうち、97%が取り組みを支持。レジ部門担当者の67%が「精神的負担の軽減を実感した」と回答しました。客からの批判的な指摘は2%にとどまり、同社では「多くのお客さまに受け入れられていることがうかがえる」と手応えを感じています。

 同社ではこれまでも「従業員が自分らしく、より安心して接客に集中できる環境づくり」を進めており、2023年9月から従業員の髪色やアクセサリーのルールを緩和し、金髪などの派手な髪色でも勤務可能に。また2023年4月からは一部店舗において、座りながらレジ業務ができる「レジ専用椅子」を設置。全店への拡大を図っている最中です。

 「細かい数値は申し上げられませんが、身だしなみの大幅緩和の対応以降、求人応募の人数は増えており、求人コストも減少しています。特に学生アルバイトや新卒採用で、当社の働き方や従業員のことを考えた取り組みに共感し、応募する学生が増えたと実感しています」(同社担当者)

 今後についても「お客様へのサービス向上と働きやすい職場づくりを両立し、快適なお店づくりに取り組んでまいります」としています。

     ◇

 同社は公式X(@belc_jp)でも告知。ネットユーザーらは好反応を示し、「いい取り組み」「最近名札がSTAFFになってるから、カスハラ対策かなと思ってました」「これでいい」「他社も続いて」などの声が寄せられています。

     ◇

 働く人たちの名札をめぐっては、カスハラ対策のため、廃止や変更の動きが広がっています。

 国土交通省は2023年8月、バスやタクシーの乗務員を対象に、車内での氏名などの掲示義務を廃止。JR九州でも2024年1月から、在来線車内での運転士や車掌の名札の提示をやめました。コンビニ大手のファミリーマートは2024年5月下旬から仮名での名札を認め、ローソンは同年6月から、アルファベットやイニシャルなどでの表記を可能に。セブン‐イレブン・ジャパンも同年10月から、イニシャルや役職名だけの名札を認めています。

(まいどなニュース・金井 かおる)

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  • カスハラする人は昔イジメをした人が多い。そういう人は顔をSNSにさらすしかないんじゃないの。又は警察につきだすとか。
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