


ヒトミは誕生日ケーキを作るつもりだ。世の女性たちは知っているだろうか。「手作りのお菓子が苦手」ということは、なかなか言いにくいということを……。その昔、付き合っていた女性がバレンタインに手作りチョコレートをくれたとき……。

「手作りが苦手」だなんて言うと、「愛情を受け取ってくれない」と勘違いしてしまう人がこの世には存在する。というか「手作りが苦手」と言った時点で相手も感情的になってしまい、その理由をしっかり理解してもらうまでに至らない。

ヒトミのことは大好きだし、ヒトミの作ったご飯ももちろん大好きだ。だけれど俺はどうしても「手作りお菓子」を受け付けられない。正直にヒトミに伝えようと思ったこともあるが、いったん受け入れてしまった以上、今さら言い出しにくく……。
最初のときにしっかり言えていればと何度も悔いたが、ヒトミに嫌われたくない一心で嘘をついてしまった。自分の責任だ。その責任をとるべく、俺は毎年手作りお菓子を必死で食べているのだった。
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【第3話】へ続く。
原案・ママスタ 脚本・渡辺多絵 作画・マメ美 編集・井伊テレ子