日本政府、米中合意に安堵と焦り=「漁夫の利」得られず

9

2025年05月14日 07:31  時事通信社

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

時事通信社

政府・与党連絡会議で発言する石破茂首相(中央)=13日、首相官邸
 米中両国が双方への大幅な関税引き下げで合意したことを受け、日本政府内には「基本的には歓迎したい」(岩屋毅外相)と、貿易戦争の緊張緩和への安堵(あんど)が広がった。一方、最大の焦点だった中国が英国に続き日本に先行して合意に至ったことへの焦りもにじむ。今月中旬以降の次回閣僚協議での進展を目指し、米中合意の分析や交渉準備を急ぐ構えだ。

 日本経済への影響に関し、赤沢亮正経済再生担当相は13日の記者会見で「世界1、2位の経済(大国)間の『事実上の禁輸』と言える関税の打ち合い(の収束で)、影響があるのは間違いない」と指摘した。米中の合意後、日経平均株価が上昇するなど市場の警戒感は緩和し、政府関係者は「行き過ぎたブロック経済化は回避できる」と胸をなで下ろした。

 ただ、米中合意は日本にとって誤算でもある。石破茂首相の周辺は、トランプ政権の関税交渉について「日本が最優先と言われていたのに、最大の競争相手である中国と先に合意した。(対米交渉を担う)赤沢氏のお尻に火が付いた」と指摘。外務省幹部は「(米中対立の下で有利に交渉を運ぶ)『漁夫の利』が得られなかった」と述べ、自民党幹部も「米中が手を結ぶとは衝撃的だ。日本も急がなきゃいけない」と焦燥感をあらわにした。

 日本政府は、6月にカナダで開かれる先進7カ国首脳会議(G7サミット)に合わせた日米首脳会談での合意も視野に、米側と交渉を重ねるが、自動車など分野別の立場の隔たりは埋まっていない。首相は一連の関税撤廃を求める姿勢を堅持。「期限が来るので不合理な妥協もせねばならないという話にはならない」と述べ、合意時期よりも内容を優先する意向だ。

 公明党の斉藤鉄夫代表は13日の政府・与党連絡会議で、「焦りは禁物だ。大事なのは国益に資する中身を勝ち取ることだ」と強調。自民党の森山裕幹事長も「政府には冷静かつ毅然(きぜん)とした姿勢で交渉を進めてほしい」と求めた。 

閣議に臨む石破茂首相=13日、首相官邸
閣議に臨む石破茂首相=13日、首相官邸

このニュースに関するつぶやき

  • トランプは基本的に戦争が嫌いなので 場合によっては戦争になる国に対しては最終的に譲歩してくるが そうでは無い国に対しては違う
    • イイネ!1
    • コメント 0件

つぶやき一覧へ(9件)

ニュース設定