
記録的な猛暑日が続いた2024年夏。少し外に出るだけでもあまりの暑さに危険を感じるほどでしたが、そんな中、工場の空きスペースのような場所で、3匹のワンコが発見されました。一体何があったのでしょうか。
飼い主の施設入所で預かった高齢者が工場の空きスペースに放置
工場の屋外の空きスペースで過ごしていた3匹のワンコはいずれも小型犬で、それぞれ「シェリー」「キキ」「ララ」と名付けられました。しかし、そんな名前とは裏腹に保護当初の3匹はいずれもボロボロ。猛暑の中、満足なお世話も受けずに疲弊しきった様子でした。
どうしてこんな場所にいたのでしょうか。後に発覚したところでは、元々はある飼い主がこの3匹を飼っていたものの高齢で施設に入所することとなり、やむを得ず3匹はその知人が預かることになったのだそうです。
預かった人もまた高齢者。満足な世話ができず、預かってから3カ月間ほとんど放置状態で工場の空きスペースに3匹を入れ、荒れたコンクリートの床に薄いタオルを敷いただけで周囲は糞尿まみれ。「お世話している」とは言えないネグレクトの極みのような状況でした。これを見た近隣の人たちが立ち上がり3匹を保護するに至りました。
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仲良しのキキとララは2匹一緒に第三の犬生へ
心ある人たちの協力要請によって、後に3匹を迎え入れお世話をすることになったのは保護団体・アイドッグ・レスキュー隊でした。
団体のメンバーは保護後、疲弊しボロボロになった3匹にまず治療を施し、3匹ともに日々健康と笑顔を取り戻してくれるようお世話し続けることにしました。3匹のうちのキキとララは特に仲良しです。預かりボランティアさんの家に来てからもいつも2匹一緒に体を寄せ合い、やがてキキもララも元気を取り戻してくれました。
マイペースなキキは、甘えん坊のララに構って攻撃を受けてもいつもおっとり。それでいてキキは人間も大好きで、後に参加した譲渡会では来場者を前に尻尾をフリフリさせながら元気に動き回ります。そして、そんなキキの背中を嬉しそうにララが追いかけます。
後には「仲良しの2匹の様子がたまらなくかわいい」「2匹一緒にちの家族になってほしい」という里親希望者さんが現れ、キキとララは元いた劣悪な場所とはまるで違う温かく愛に溢れたお家で第三の犬生を歩むことになりました。
元気を取り戻したシェリーも「ずっとのお家」を待ち続ける
保護当初から皮膚の状態がひどかったもう1匹のシェリーも、治療を重ねて健康を取り戻し、今では散歩にも出かけるほどになりました。シェリーもまた甘えん坊で、預かりボランティアさんを前にして自らひっくり返ってお腹を見せてなでてアピール。なでてあげると、うっとりうれしそうな表情を浮かべます。
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シェリーにはまだ「うちにおいで」の声がかかっていませんが、ここまで回復してくれたこと、そしてこの人間大好きの甘えん坊ぶりを見ると、そう遠くない時期に「ずっとのお家」が見つかるだろうと思います。
結果的には3匹離ればなれの犬生になるわけですが、それでもあの酷い場所よりはずっと安心して穏やかに過ごせるはず。シェリーに新しいお家が見つかった際には、定期的に3匹の再会の時間があると良いなとも思います。
(まいどなニュース特約・松田 義人)
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