
ウー・ウェンさんの新刊は「ごはん作りのコツ」
シンプルながら素材のおいしさを最大限に引き出すレシピで注目を集め、著書『10品を繰り返し作りましょう』が「第10回料理レシピ本大賞 in Japan 2023」エッセイ部門賞を受賞した人気の料理家、ウー・ウェンさん。そんなウー・ウェンさんの待望の新刊『最小限の材料でおいしく作る9のこつ』が発売されました。
ウー・ウェンさんの料理の特徴は、使う材料が少なく、非常にシンプルであること。新刊の「まえがき」によれば、近年、野菜をはじめとした食材そのものの味がよりおいしくなったため、料理もさらにシンプルになっているとのことです。
シンプルな味付けでありながら、毎日食べても飽きのこない料理に仕上がる秘密は、材料の切り方、火の入れ方、調味料を加える順序など、細かなところまでこだわり抜かれたウー・ウェンさん流の料理術にあります。
本書では、そんなウー・ウェンさんが実践する「料理のコツ」を9つ紹介し、それぞれのコツを生かした家庭料理のレシピを掲載しています。
ウー・ウェン流「料理の意識改革」とは
ウー・ウェンさんは本書の冒頭で、「料理のコツ」を紹介する前に、自身が日頃から実践している料理への意識改革について述べています。
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意識改革というと少し難しく聞こえるかもしれませんが、実際の内容はとてもシンプルで簡単なことばかり。普段の料理の際、ほんの少し意識しておくだけで、ぐっと仕上がりが変わります。
本書では全部で5つのポイントが紹介されていますが、この記事ではその中から特に重要な3つをピックアップしてご紹介します。
料理を「料理名」から考えない
「麻婆豆腐」や「ハンバーグ」など作る料理をメニュー名から考えると、材料や手間が増えがちです。季節の野菜を買ってきたら、それを一番おいしく食べることを考えるようにすると、必然的にシンプルな調理になっていきます。
たとえば、今の時期がおいしい春キャベツなら「蒸して、塩とごま油をかけて食べる」といった食べ方がとてもおいしく、手間も調味料もとても少なくなるんです。
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完璧をやめましょう
同じ食材であっても、ひとつひとつ味も食感も違うもの。レシピ通りに計量して作ればおいしくなるというものではありません。レシピそのままを完璧に作ろうとせずに、自分の目と手と舌の感覚で作ればよいのです。
中火以下で作る
炒め物は強火で鍋をふり、短時間で仕上げるイメージがありますが、それはあくまでプロの話。家庭料理は、中火以下の火加減でゆっくり作るほうがおいしく作れて失敗がありません。
火加減がコツ!「長ねぎと豚肉炒め」
本書から「長ねぎと豚肉炒め」のレシピをご紹介します。
長ねぎと相性のよい豚肉を炒め合わせるだけのシンプルな料理ですが、その手順にはウー・ウェンさんならではの、料理をおいしくするコツが詰まっています。
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メインの材料は豚こま切れ肉と、長ねぎだけ。それでもご飯がすすむおかずが完成するから驚きです!
長ねぎと豚肉炒め
材料
豚こま切れ肉……200g
長ねぎ(青い部分も含めて)……1本
太白ごま油……大さじ1
【下味】
こしょう……少々
酒……大さじ1
粗塩……ひとつまみ
片栗粉……小さじ1/2
【合わせ調味料】
しょうゆ……大さじ2/3
黒酢……小さじ1
はちみつ……小さじ1
作り方
1. 長ねぎは斜め薄切りにする。 豚肉は下味の調味料を順番にひとつずつまぶす。
2.ボウルに合わせ調味料を作っておく。
3. 炒め鍋に太白ごま油、豚肉を入れて中火にかける。豚肉の水分を蒸発させるようにしっかりと炒めたら、合わせ調味料を加える。
4.長ねぎを加えて炒め合わせ、ねぎに火が通ればできあがり。
ポイントは、豚肉を中火で炒めること。
料理の意識改革の項でも触れましたが、家庭の炒め物は「強火でささっと」ではなく、「やさしい火加減でじっくりと」火を通すほうがおいしく作れます。
じっくりと火を通して水分が飛んだ豚肉には、調味料の味が入りやすく、おいしい炒め物ができるそう。ぜひ一度、中火での炒めものを試してみてくださいね。
365日食べたくなるレシピを多数収録!
本書では「長ねぎと豚肉炒め」のほかに牛肉や卵を使った炒め物や、旬の野菜のスープ、料理をおいしくしてくれる「ねぎ油」の作り方など多彩なレシピが収録されています。
そのシンプルな作り方とおいしさで、毎日でも食べたくなること間違いなしのラインナップです。気になった方は、ぜひ本書をお手にとってみてくださいね。
最小限の材料でおいしく作る9のこつ(大和書房)
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(写真:福尾美雪)