築年数が経っていて設備や内装が古いというイメージを持つ人も少なくない団地ですが、リノベーションでスタイリッシュかつムダのない空間に生まれ変わった部屋を案内する「ルームツアー」のYouTube動画が注目を集め、記事執筆時には13万回再生に達していました。
YouTubeチャンネル「リノベる/ Renoveru」はワンストップリノベーション事業者「リノベる」が手掛けた住まいのルームツアーや、中古住宅のリノベーションに関する情報を発信しています。
今回の動画はリノベーションでスタイリッシュに生まれ変わった築49年51平米の団地のワンルームのルームツアーで、その部屋に単身で住む女性とリノベるの砂川さんのやり取りを通して、団地の特徴を生かしたリノベーションや、こだわりやセンスが感じられる内装などについて紹介しています。
まず、注目したのは玄関の広さ。もともと玄関から入ってすぐのところにあった部屋の壁を取り払ったことで、125センチほどの幅の広い土間ができました。女性はそのスペースに木製の靴棚、反対側の壁に傘やバッグなどが掛けられるバーを設置しています。
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砂川さんによると、一般的な団地は細かく部屋が仕切られているので玄関が狭い印象のところが多いのですが、この部屋は家の中に行き止まりがない、回遊性が高い間取りなので、玄関から寝室とLDKに直接入れるところが特徴なのだそうです。2つの部屋との間にドアなどの遮蔽物がないので、日当たりと風通しの良い空間になっています。
また、リノベーションで玄関から入って左に大きな姿見を設置。デザイナーの提案でパナソニックのシンプルでおしゃれな照明を4つ取りつけ、框(かまち)の部分には靴棚と同じ深茶色の木製の木の板を貼っています。砂川さんによると、框はタイル張りにしたり、カーブさせたりなど、個性や遊び心を表現できる箇所となっているそうです。
この物件のリビング(LDK)と寝室の間には仕切りとなっている壁があり、完全なワンルームとは言えない間取りです。砂川さんは、この建物は壁自体で建物を支えている「壁式構造」のため、部屋の中にある壁が壊せず、間取りを変更しにくいと説明します。団地ではよくある事情なのだそうです。壁の断面にはもともとマンションの躯体だったことがわかるボルトやナットの跡が見え、独特の質感が楽しめるようになっています。
女性ももともとは仕切りのない1つの広い部屋が良かったそうなのですが、この部屋の景観が気に入り、また同じ棟にはこの間取りしかなかったので住むことに決めたとのこと。ただ、結果的に寝室と空間を分けることができたため「仕切りがあることで良かったです」と納得して住んでいるといいます。
リビングの空間について「すごくシンプルで洗練された印象持ちますよね」と砂川さん。その理由のひとつに、明るいグレーの床材があると言います。床材は「マーモリウム」(田島ルーフィング)という自然素材でできた、シート状のものだそうです。
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この床材を選ぶきっかけについて、女性は最初グレーのフローリングの床にしたくてリノベるのカタログから探したもののぴったりなものが見つからず、フロアタイルのショールームを紹介してもらい、そこで見つけた「マーモリウム」のシートのさらさらした質感を気に入ったことだと語りました。一方でタイルについては、ステキなものもあったけれど「コツコツ感みたいなのがやっぱりどうしてもある」と質感が気になったもよう。
床材がタイルの場合とシートの場合、それぞれのメリット・デメリットについて、砂川さんは「目地(タイルとタイルの隙間)とかの間に汚れが気になる方とかもいらっしゃるので、シートだとお掃除もしやすそう」「タイルだと汚れてしまった時に、その1枚だけこう貼り替えればいいんですけど、シートの場合だと難しい」と解説しました。
リビングで存在感があるのは壁際の大きな4つの本棚です。白系のスチールラックは飾り気がなく、女性が以前働いていた書店のバッグヤードにあった棚と同じものだと言います。照明は天井からダクトレールで取りつけられたスポットライトのような形で色はシルバー、色や素材選びにこだわりが感じられます。女性は「『こんな感じが好みです』とPinterest(SNS)でお送りして、いい感じにやっていただいたと思います。カーテンレールもシルバーで統一していただいています」と希望を実現したもらえたそうです。
床材や本棚には色味がありませんが、イエローのソファー(NOYES)や、インテリアには鮮やかな色が取り入れられています。
LDKの広い空間を暖めるのはガスストーブ1つ。以前の職場でガスストーブを使ったことがあるという女性は、つけた瞬間暖かくなると、その威力に一目置いていたようです。「団地は壁からガスが直接来てるので絶対ガスストーブにしたいと思って、最初の冬に売り出された途端にすぐ買って、実際使ってみたら暑すぎて本当に朝とか1日1時間も使わない感じ」とのこと。
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砂川さんは部屋が暖かい理由を二重サッシがあるからではないかと言います。団地の外は車通りがあるのですが音は全然聞こえず、二重サッシは断熱性だけでなく、防音性にも優れているそうです。女性は窓際にハンガーパイプを設置しており、平日はそこで洗濯物を干しているとのことです。窓の枠はデザイナーからの提案を受け、靴の棚や框と同じ深茶色にしています。
キッチンは壁付で横幅が180センチとコンパクト。下の部分が扉のない収納スペースになっています。メーカーはサンワカンパニー(現ミラタップ)、商品はオッソというシリーズで、シンプルでスタイリッシュなデザインです。
採用した理由について、女性はほとんど自炊をしないので最小限の設備のもので、ゴミ箱をキッチンの下に入れたかったからだと語りました。収納に扉がないことも、「見えないと何を持ってるか忘れて同じものを買うぐらいなので」とむしろ好都合なようです。
食器棚の下にはハサミやまな板などを下げられる物干しポールを、キッチンの壁にもフライパンなどが掛けられるフックを取りつけるなど、自身の使いやすいように機能性をプラス。
壁はリクシルの白い磁器タイルで目地はグレー、キッチンやガスレンジフードはシルバーで統一感があり、その中に框や窓枠と同じ深茶色の食器棚があることについて、砂川さんは「アクセントになっていてかわいい」と評価していました。
キッチンにある引き戸を開けると、トイレと洗面スペースとお風呂場がまとまった空間があります。入ってすぐのところには、サンワカンパニーの洗面台が。サンワカンパニーのショールームに展示してあったセットをそのまま選んだとのことです。照明は電球そのまま、鉄管やスイッチボックスが埋め込まれていないなど、ラボのような雰囲気が演出されています。こちらも、Pinterestで送ったイメージ通りの内装にしてもらったそうです。
洗面スペースと折り戸で仕切られているのはお風呂のスペースです。現在、よくあるユニットバスではなく、タイルの壁やモルタルの床が特徴的な在来工法の、団地らしい空間になっています。女性によると「浴槽や風呂釜などの設備は新しくしましたが、残りは元々のまま。 塗装しただけです」とのこと。
お風呂スペースには窓もあり、日当たりも良いのですが、女性は換気扇がないという団地のお風呂特有の問題が気になっており、湿気については洗面スペースにある換気扇とサーキュレーターで対処しているそうです。
お風呂の反対側はトイレスペース。排水管を通すために、床が上がっていて段差があります。トイレはタンクレスのものを採用。スペースに限りがあるので幅が狭いものを選んだそうです。
トイレは扉もカーテンもありませんが、女性は「単身なのでそれでいいかな」と気にしていない模様。段差があることで空間としての切り替えができているとも感じているそうです。また、部屋全体の戸には鍵がかかるので、来客時には安心してトイレを使用できます。
引き戸から出てリビングの空間に出て、反対側の戸を開けると洗濯機置き場が現れます。ここはトイレの裏で、排水をお風呂に流すために床が高くなっています。女性によると、洗面台とお風呂スペースの間がもともとの洗濯機置き場だったのですが、狭くなるのが嫌なのと、洗濯物をそこまで運ぶのが大変なのでリビングの空間に移動させたそうです。「すごい使いやすそうですね、ここにあると」との砂川さんの言葉に、女性も「便利ですね」と満足そうでした。
洗濯機から戸を1枚挟んでリビング空間があるのですが、洗濯機を回していても戸を閉めていればうるさくはなく、上下階に住む人からの苦情もないそうです。そして、砂川さんがもうひとつ、洗濯機置き場で注目したのはフクロウの壁紙。「ここだけちょっと遊び心がありますね」との問いかけに、女性は「せっかくだから1カ所ぐらい可愛い感じで、壁も全部白か剥き出しなので1カ所ぐらいやってみたいなと思って」と答えました。
広々とした寝室には、壁一面分に当たる広さの大容量のクローゼットがありました。女性は以前住んでいた家で1間半の幅の押し入れを使っていたそうなのですが、長い裾の服は入らず別の収納に入れることになったり、天袋に入れたものは出さなくなってしまったりしていたので、すべて吊り下げて収納できるよう手が届く範囲でウォークインクローゼットを作ってもらったそうです。クローゼットの内にはデザイナーの提案で照明を付けています。
ウィークインの横にはハンガーフックがあります。「その日に着る服とかあとは帰宅時に一時的に掛けるためのものです。直接クローゼットに掛けるより便利だったので後から自分でつけました」と女性がDIYで設置したものだそうです。
寝室にもバルコニー付きの2つの大きな窓があり、リビングと同じように2重サッシになっているので、こちらでもかなり寒さが軽減されているようです。砂川さんは「普通のマンションだと寝室側とか北側窓は共用廊下に面している窓になるので、バルコニーがついてないことがほとんどですが、基本的に団地はリビング側と寝室側の両方にバルコニーも窓もついていることが多い」と特徴を解説し「光も取り入れやすいし窓を開けとけば風通しもすごくいい」と団地のメリットだと語ります。
寝室は広いのでさまざまなインテリアが置いてあります。グレーのシート床材、クローゼットの白いカーテンなどの中で映えるのはベッドサイドの赤のラウンジチェア。ベッドには青いクッションが。砂川さんからの「インテリアで色を取り入れるのがポイントですか?」との問いに、「前に住んでいたところだと畳の部屋で古い賃貸だったのでどうしてもベーシックな色合いでしたが、せっかくこれだけ綺麗にリノベーションしたのでいろんな色を試してみようと思いました」と女性は答えています。
そのほか、窓側の壁には大きな鏡、ベッドの向かい側にはデザイナーからもらったという靴棚と同じ板から作ったカウンターなどが置かれていました。
今後はベッドの向かい側の壁に、現在、照明を吊り下げているダクトレールを活用してプロジェクターを下げ、寝ながら映像を見
れるようにしようと考えているそうです。こだわりの詰まった部屋ながら、さらなる夢が広がっているようです。
女性のお部屋については「団地に見えない!!!超素敵…」「くすみイエローのソファと本棚がとっても素敵な開放的なリビングですね」「このシンプルでセンスを感じる仕上げは、ホント素晴らしいですね」などのコメントが寄せられていました。
リノベるは、中古マンション探しから資金計画、住宅ローン、設計施工までのサービスを提供しており、YouTubeのほか、Instagramでも動画での情報発信を行っています。
動画提供:YouTubeチャンネル「リノベる/ Renoveru」
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