
岡山県玉野市在住のイラストレーター、浜竹睦子さん(46)が、調味料や加工食品を手作りし、その過程をイラストにした「自家製はエンタメだ。」(サンクチュアリ出版、2420円)を刊行した。漬物、乾物からソースやドレッシング、ウインナーにめんたいこ…。家で作れないものはないと思わせてくれる1冊だ。「自家製は大人の自由研究。手作りならではのおいしさを知ってほしい」と魅力を語る。
浜竹さんが手作りに目覚めたのは、新型コロナウイルス禍がきっかけ。緊急事態宣言中は学校や仕事もままならず、夫、息子と毎日24時間を共に過ごす日々。三度三度、3人で食卓を囲むうち「1日1食は何か面白いことをしようと思いついた」。うどんを打ったり、すしを握って鉄道玩具に乗せて回転ずしごっこをしたり。料理が楽しくなって、ラー油や梅みそなどさまざまな食材を一から作るようになったという。
手作りが編集者の耳に入って出版が決まり、プロの教えも請うた。「豆腐処おかべ」(岡山市)や「ひものやかんきち」(同)、「一文字うどん」(岡山県瀬戸内市)をはじめ、岡山県と出身地福岡県の飲食店、食品店で“修業”。本には、事前準備や材料、作り方の工夫、味などを細かに描いた210点を紹介している。
「おかべ」で学んだ豆腐作りのこつは、にがりを入れるときの温度や混ぜ方。木綿豆腐の場合、豆乳を80度に温めたところでにがりをゆっくり入れてなじませる。絹豆腐は冷やした豆乳ににがりを入れ、泡立てないようによく混ぜて弱火で蒸す。市販の豆乳を使う場合は、「大豆固形分10%以上の濃い物を準備するといい」とアドバイスする。
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初心者でも作りやすいのが「バターいろいろ」。室温に戻した無塩バターとクリームチーズを練って混ぜ、粉糖を加えてさらに練る。そこにイチジクやカボチャ、レーズンなどを加えると、お茶請けやおつまみとしてそのまま食べられる「おやつバター」の出来上がり。めんたいこやアンチョビーを混ぜると、パスタやパンにぴったりの「調理用バター」にもなる。
簡単なのに絶品と太鼓判を押すのが「タバスコ風ソース」だ。生の唐辛子を刻んで酢と塩を入れて混ぜ、冷蔵庫で2週間発酵させるだけ。「辛みの中にうまみが感じられ、やみつき」。失敗したのがたくあんで、「気温と湿度の高い時季に大根を干して腐らせてしまった」。涼しくなる10月後半から11月にかけて、風通しの良い場所に干すのがお勧めという。
「これは何でできているんだろう、どうやって作るんだろうと関心を持つ性分」と浜竹さん。スーパーで市販品の原材料を見ると、例えばマヨネーズなら〈植物油、卵黄、酢〉などと書いてあり、「家でもできそうと思ってしまう」と苦笑する。混ぜたり漬けたり、温度管理をして発酵させて…。「出来上がりまでの過程を楽しみながら、本を片手に自家製にトライしてみて」と話している。
(まいどなニュース/山陽新聞)
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