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京都大学などの研究チームは11月11日、チンパンジーが課題を解く際、見学している人の数によってパフォーマンスが変化するとの研究を発表した。6頭のチンパンジーを対象に、見学者の数を変えながら、数字を素早く記憶するなどの課題を与えて実験。結果、最も難しい課題では、見学者の数が多いほどチンパンジーの成績が向上したという。
ヒトには、他人の前でプレゼンや競技などを行う際、プレッシャーを感じてパフォーマンスが変化する「観衆効果」がある。評判が力を持つ社会で生活し、他人の目を意識せざるを得ないヒトの特性に関連すると考えられているが、チンパンジーなどヒト以外の動物でも同様かは、これまでほとんど研究されてこなかったという。
そこで研究チームでは、京大の霊長類研究所で飼育している6頭のチンパンジーに着目。6頭のチンパンジーは毎日、コンピュータ制御のタッチパネルを使い、数字に関わるさまざまな課題を解いている。これを見学するため、国内外から頻繁に訪問者があるという。そこで、6年間で実施した9219個の課題の成績を調査。見学者の種類や数によって成績が変化するか検証した。
結果、画面上のランダムな場所に表示するいくつかの数字を素早く記憶するという最も難しい課題では、見学者の数が多いほどチンパンジーの成績が向上することが判明したという。
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逆に、提示された複数の数字を小さい方から順番に押すという最も簡単な課題では、見学者の数が多いほど成績が低下。見慣れた人が多い場合も成績は低下した一方、チンパンジーにとって見知らぬ人々が見学していた際は、パフォーマンスが変化しなかったとしている。
結果について、研究チームは「観客が彼らの精神的ストレスや集中力に影響を与えた可能性がある」と指摘。ただし、観衆のタイプや課題の難易度によって観衆効果が変化した明確な理由は「現時点では不明」として、今後の課題としている。
「もしチンパンジーが観衆、特に誰が自分を見ているかを気にしているのだとしたら、ヒトの評判社会が形成され始める前に、この特性が類人猿の系統で生じた可能性がある。観衆効果が進化的な基盤となって、ヒト独自の社会システムが構築されてきたのかもしれない」(研究チーム)
この研究は、京都大学と秋田県立大学による研究チームで行われた。研究成果は、8日付(アメリカ東部時間)で、国際学術誌「iScience」に掲載。
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