昨年7月の道交法改正で規制緩和された電動キックボードの交通違反検挙件数が高止まりし、危険性を指摘する声が後を絶たない。3日までに時事通信の取材に応じた大手シェアリング事業者「Luup」(東京)の岡井大輝社長は「一部の利用者が何度も違反を繰り返している」と指摘。悪質利用者に対する厳罰化などの対策を取ることで違反を減らせるとの見方を示した。
警察庁によると、改正法が施行された昨年7月から1年間の検挙数は2万5156件に上り、うち55%は歩道を走行するなどの「通行区分違反」だった。電動キックボードは車道走行が基本で、時速6キロ以内などの条件を満たせば歩道を通行できるが、条件を無視して歩道を走行する違反者が相次いでいる。
岡井氏は「違反を繰り返しているのは本当に一部なので、撲滅できる」と話す。同社は今年6月末から、警察などと連携して対策を強化。飲酒運転やひき逃げなど重大な違反を確認した利用者のアカウントは即座に凍結する。比較的軽微な違反についても独自のシステムで点数化し、期間内に複数回確認された場合、アカウントを無期限停止するという。
「軽微な違反でもペナルティーが付くことで、真剣に乗ってもらうようにすることが重要」と厳罰化の狙いを語る岡井氏。「ごく一部の(悪質な)違反者からは売り上げを得る必要がない。一切許す余地がなくていいと思う」と断言した。
その上で「おもちゃなのか、自転車と近いのか、車と同じなのか。新しく出てきたものだからみんなルールが分かっていない。車両だと意識すれば飲酒は絶対しないし、速いスピードで歩道に乗り上げることもない」と持論を述べた。同社は全ての利用者に対し、交通規則に関するテストの全問正解を求めており、今後も問題数や質問内容を見直すなどルール周知を強化していくという。
岡井大輝Luup社長(同社提供)