紙の健康保険証がついに発行停止。批判も多いけど、実は......病院や薬局はもちろん、救急搬送時にも役立ちます! マイナ保険証のあえて"メリットだけ"超速解説

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2024年12月05日 06:10  週プレNEWS

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病院や薬局に設置されるカードリーダーにマイナ保険証を読み込ませることで過去に受けた診療や処方された薬を医師や薬剤師と共有できる。40歳以上の場合は健診情報も共有可能だ

12月2日から紙の健康保険証は廃止されて、その機能はマイナンバーカードと一体化。これにより新トラブルの発生が予想されるものの、実は各種医療手続きが快適になるメリットもアリ。そんなマイナ保険証の優秀スペックを紹介します!

【画像】マイナ保険証に対応したアマゾンのオンライン薬局ほか

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■マイナ保険証のメリットにも注目です!

12月2日からマイナンバーカードと健康保険証が一体化。紙の保険証は新規発行停止となり、病院や薬局では基本的にマイナ保険証を利用することになる。これまでのマイナ関連は導入直後からトラブル頻発で、本来注目されるべきメリットを忘れられがち。

そんなマイナ保険証のメリットをITジャーナリストの三上 洋さんにお聞きします!

――デジタル庁が発表したデータによれば、今年10月時点でのマイナンバーカードの累計交付枚数は1億383万枚で、その保有枚数は9388万枚。マイナポイントの還元もあり、マイナ保険証の登録率は81.2%になっています。

しかし、マイナ保険証の利用率は約15%とかなり低くなっているのが現状。この利用率の低さにはどんな理由があるのでしょうか?

三上 現在、病院や薬局側にはマイナ保険証に対応したカードリーダーが設置されており、これに患者さんがマイナンバーカードをかざして顔認証か4桁の暗証番号を入力して本人確認を行ないます。そして患者の医療に関するデータを病院や薬局側と共有することに同意した上で診療を受けます。

しかし、高齢者にとってはこの端末の操作が難しく感じられることも多く、病院・薬局側のスタッフたちが患者さんひとりひとりに操作方法を教えるということが発生していました。

このような事情もあって病院・薬局側は「紙の保険証とマイナンバーカード、両方持ってきてください」と患者さんにアナウンスするところもあったのです。それで高齢者たちは端末を使わず、これまでどおり受付で紙の保険証を提示するようになり、マイナ保険証の利用率が上がりませんでした。

――そんなマイナ保険証ですが、今後は病院・薬局に設置されるカードリーダー端末を使って「マイナ受付」をすることが基本。この端末のメリットは?

三上 まず患者さんの過去の診療や薬剤に関する情報を、医師や薬剤師と共有することができます。

――でも、患者さんのかかりつけの病院なら、紙の保険証で本人確認できれば過去の診療や薬剤データも電子カルテから確認できるのでは?

三上 電子カルテであっても、かかりつけの病院以外だと診療や薬剤の共有はありません。しかし、マイナ保険証ではどこの病院に行っても、本人の同意があれば情報共有をできるのが特徴です。

これまではお薬手帳や患者さんの記憶を頼りにして、持病や薬剤を確認していましたが、カードリーダーでマイナ保険証を読み込むマイナ受付のシステムではそういった部分が効率化されているのです。

マイナ保険証に対応する病院であれば診察券としても機能し、これまでのように◯◯クリニック、◯◯整形外科、◯◯歯科など個別に診察券を持つ必要もありません。

そして、このカードリーダーは不正行為防止にも効果を発揮するのです。

――それはどういった行為なのでしょうか?

三上 「保険証のなりますし」です。他人の保険証を使って受診し、3割負担を悪用して薬剤を不正に入手する不正行為があります。

マイナ保険証の受付では暗証番号もしくは、顔認証での確認が行なわれます。なので、現状ではマイナンバーカードを盗難・紛失した場合でも、なりすまし行為を防げる仕様となっているのです。

――実際に病院でマイナ受付を利用してみると、ATMでお金を出し入れするレベルの簡単操作。これで、薬の待ち時間が短縮されることも?

三上 現状では待ち時間が短縮されるようなことはありません。病院・薬局側が患者さんの情報を的確に素早く確認でき、それによって薬の処方ミスや重複投薬などをなくせることが重要なのです。

一方で「Amazonファーマシー」のようなオンライン薬局もマイナ保険証の対応を先月から行なっており、こういったサービスで病院からもらった電子処方箋を利用すれば、待ち時間なしで薬を自宅で受け取ることが可能です。

――現在、厚生労働省は薬剤師がいないコンビニでの市販薬販売を解禁する方針を進めています。こういった取り組みにもマイナ保険証は関連するのでしょうか?

三上 まだ詳細は発表されていませんが、購入するにあたって薬剤師とのオンライン相談や本人認証が必要となるなら、それにマイナ保険証を活用することも考えられます。

それこそセブン−イレブンの「セブン銀行ATM」はマイナンバーカードを読み込ませて、マイナ保険証の利用開始手続きを行なえる機能も実装されていますから。

――そして、救急搬送時での活用もあるそうですが?

三上 救急隊員がマイナ保険証を専用カードリーダーで読み取り、患者さんの過去の診療や薬剤情報を、その場でチェックすることも可能になります。これは現在、実証事業が行なわれており、2025年度には全国で展開する予定となっています。

これを行なうには患者さんの口頭での同意が必要となりますが、今後は災害時の緊急医療でも活用が大いに期待できるでしょう。

――ここまでメリットを聞いてきましたが、やはり気になるのがトラブル。これはどういったものが予想されますか?

三上 実は紙の保険証に関しても最長1年間の猶予期間があり、利用することが可能です。なので、カードリーダー端末を利用したマイナ保険証への切り替え時や、慣れない端末の操作での混乱はまだまだあるのではと思っています。

――ちなみに、厚生労働省の発表によると、紙の保険証を廃止することでのコスト削減は年間100億円前後との試算。これも十分なメリットだと思います!

取材・文/直井裕太 写真/デジタル庁

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