サイバー攻撃を未然に防ぐ「能動的サイバー防御」導入法案を賛成多数で可決した参院内閣委員会=15日午後、国会内 参院内閣委員会は15日、平時からネット空間の通信情報を監視してサイバー攻撃を未然に防ぐ「能動的サイバー防御」導入法案を採決し、与党と立憲民主党、日本維新の会などの賛成多数で可決された。16日の参院本会議で可決、成立する見通し。
15日の委員会には石破茂首相が出席し、憲法が保障する「通信の秘密」について、「不当に侵害することのないよう、法律の規定を確実に順守していく」と強調。今後の具体的な制度設計については「十分に配慮しながら定める。通信の秘密の尊重を徹底していきたい」と述べた。立民の木戸口英司氏への答弁。
能動的サイバー防御は、政府機関や重要インフラへのサイバー攻撃の脅威が高まっていることを踏まえ、2022年策定の国家安全保障戦略で導入を明記。「欧米主要国と同等以上」の能力確保を掲げた。
政府は、日本を経由する外国同士の通信と、国内・国外間の通信を取得・分析し、重大攻撃の兆候があれば警察と自衛隊が攻撃元サーバーに侵入し無害化する。内閣府外局として創設する独立機関「サイバー通信情報監理委員会」が一連の措置を審査する。攻撃者に関する機微な情報をインフラ事業者と共有するなど、官民連携も強化する。
衆院では、(1)「通信の秘密」尊重条項(2)監理委員会の国会報告事項明示(3)施行後3年目めどの見直し規定―を追加する法案修正が行われた。
15日の参院内閣委では、国会報告について「内容の拡充に努め、政府全体として誠実に対応する」ことなどを求める付帯決議も採択された。

参院内閣委員会で答弁する石破茂首相=15日午後、国会内