なぜ今“ガラケー”新機種? FCNTが「らくらくホン」を継続する理由

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2025年06月17日 20:40  ITmedia Mobile

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約6年ぶりの新機種となる「らくらくホン F-01F」

 FCNTがレノボ傘下で再出発を果たしてから初のハイエンドスマートフォン「arrows Alpha」を発表した一方で、その対極ともいえるケータイ「らくらくホン F-41F」も発表した。ドコモが2025年8月上旬以降に発売する。


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 らくらくホンは、初代モデルが発売された2001年から、20年以上にわたってNTTドコモが販売を続けており、累計販売台数は3000万台に及ぶ。今回発表したF-41Fは21機種目となる。


 先代モデルに当たる「らくらくホン F-01M」はドコモが2019年11月に発売しており、F-41Fは約6年ぶりの新機種となる。FCNTは、らくらくホンがスマートフォンに進化した「らくらくスマートフォン」を投入している中で、なぜ、ガラケータイプのらくらくホンを再び投入するのだろうか。


●やっぱり、らくらくホンがなくなったら困る


 FCNT 統合マーケティング戦略本部 マーケティング統括部 副統括部長の正能由紀氏は、「らくらくスマートフォンが進化していく一方で、やっぱり、らくらくホンがなくなったら困るというお客さまの声をいただいている」と話す。


 らくらくホンとらくらくスマートフォンの決定的な違いが、物理的なテンキーの有無だ。らくらくスマートフォンでも、タッチパネルのフィードバックによって誤操作を防止する工夫を施しているが、物理キーをカチッと押す安心感はタッチパネルでは得られない。


 「らくらくスマートフォンも、自信を持って選択肢としてお伝えできるが、一方で、加齢による身体能力の低下などの理由から、どうしてもらくらくホンでないと使えないという、さまざまな事情を抱えた人がいらっしゃるのも事実」と正能氏は話す。そうしたユーザーの声に応え、らくらくホンを継続して投入する。


 また、2014年以前に発売したらくらくホンはLTEに対応していない3G(FOMA)モデル。その3Gを、ドコモは2026年3月で停波することを決定しており、これ以降、FOMAケータイは使用できなくなる。FOMAらくらくホンを使っているユーザーも依然として多く、停波を見越した乗り換え先として、F-41Fを提供する。


●コンセプトは先代モデルと変わらず 新たにFMラジオを搭載


 F-41F自体は、先代のF-01Mから大きく変えていない。というより、変える必要がないと言った方が正しい。


 文字の「見やすさ」、通話音声の「聞きやすさ」、キーや操作メニューの「使いやすさ」、使い方相談や安心機能などの「あんしん」という4つの特徴を継承している。


 見やすさについては、テンキーの文字を見やすく印字し、フォントは読みやすい「UD新丸ゴ」を採用した。液晶は、年齢に合わせて実際の画像に近い発色になるよう調整する。


 聞きやすさについては、周囲の環境に応じて通話相手の声を聞き取りやすくする「はっきりボイス」、年齢に合わせて通話相手の音声を自動で調整して高音を聞き取りやすくする「あわせるボイス」を用意する。


 使いやすさについては、3件までのワンタッチダイヤルから簡単に発信できるようにした。テンキーは凸形状を設けて押しやすくし、着信時に通話ボタンが点滅するなど、次の操作を光でガイドする。メニュー画面はアイコン表示の他、分かりやすい日本語でのリスト表示にも対応している。


 あんしんについては、迷惑電話や迷惑メールを判別する機能を用意する。ワンタッチでらくらくホンセンターのオペレーターに発信して使い方を相談できる「使い方」ボタンも備えている。


 本体サイズや重量はほぼ変わっておらず、メインディスプレイのサイズも同じ3.0型。サブディスプレイはF-01Mの1.2型から1.5型に大きくした。外部接続端子はMicro USBからUSB Type-Cに変わり、新たにFMラジオ機能を内蔵した。FMラジオ機能は、シニアユーザーからの要望が高かったことから搭載した。ただし、ラジオを聴取するには、アナログ方式のUSB Type-Cイヤフォンをアンテナ代わりとして使う必要があり、イヤフォンは別売りなので注意が必要だ。


●マイナーチェンジだが中身は大きく変えている


 ここまでを見る限り、F-41FはF-01Mのマイナーチェンジモデルに思えるが、実は中身は大きく変更している。というのも、らくらくホンのようなケータイを開発しているメーカーは今や希少なため、F-41Fの部品は新規で調達しているからだ。これまでの資産を生かした部分もあるそうだが、スマートフォンと部品を共用できないのは効率が悪い。FCNT 統合マーケティング戦略本部 本部長の外谷一磨氏によると、ある意味でarrows Alphaよりも開発は大変だったという。


 正能氏も「スマートフォンの開発が主流となる今、テンキーや折りたたみヒンジの構造、取り外せる電池など部品点数も多く、構造が複雑なタイプの携帯電話を開発する会社が減っている。長期供給に向けて部品を置き換えることも必要になる」と開発時の苦労を話す。


 それでもらくらくホンを新規で投入するのは、ガラケータイプの携帯を求める声が根強いから。外谷氏によると、今後も5〜6年のスパンでらくらくホンの開発は継続していく予定だという。


 価格についてはドコモの発表を待ちたいが、外谷氏によると、先代のF-01Mとほぼ変わらない価格帯を想定しているとのこと。F-01Mの発売時の価格は3万8016円だったので、3万円台後半〜4万円台前半と想定される。



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  • 物理キーをカチッと押す安心感。わかりみが深い…
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