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最近、若者のボキャブラリーが乏しいことがよく話題になっています。会話が「やばくない〜」「超〜」などあまりに貧弱だと教養がなさそうに見えるので、ちょっと恥ずかしいですよね。
自分の子どもはこうならないよう、気を付けたいと思いませんか?
ボキャブラリーを増やすためには、絵本の読み聞かせがとても有効です。そこで、『小学校に入る前に親がやってはいけない115のこと』の著者の立石美津子が、絵本の読み聞かせが大切な理由をお話しします。
■絵本を読んでいる子どもは言葉が多い!
「先生、おしっこ」としか言えない子どもと、「先生、おしっこがしたいのでトイレに行きたいです」と言える子どもがいます。
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雨が降ってきたとき、「雨がシトシト降ってきた」「雨がザーザー降ってきた」「雨がパラパラと降ってきた」などの様々な言い方ができるorできないとでは同じ体験をしていても思考の深さに大きな違いがあります。
でも言語豊かな子どもの親が、同じようにボキャブラリー豊富かと言えば、必ずしもそうではありません。たくさんの絵本の読み聞かせが、子どもの言葉を増やします。これは間違いありません。
そもそも、親子の間に交わされる言葉は日常会話がメインで、せいぜい500語程度の生活語の組み合わせ。
この中に主語、述語だけでなく形容詞・副詞をふんだんに会話の中に入れようとしても、ハードルが高く子どもと喋る時いちいち神経を使わなくてはならず疲れてしまいます。
けれども絵本には、「突然、石が落ちてきました」 「美しい姫が住んでいました」 「恐ろしい怪物が住んでいました」 など多くの言葉が含まれています。言葉に触れさせるには絵本の読み聞かせがピッタリなのです。
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子どもは読み聞かせにより、文章で使われている言葉を自分の言葉にしていきます。例えば、猫に遭遇したとき、「突然、猫が飛び出してきたのでびっくりしちゃった」と言えるように……。こうなったら、しめたものです。
言葉をたくさん持った子どもにするには、正しく美しい日本語がきちんと使われている絵本を選ぶこともポイントとなってきます。
書店に平積みにしてある生活絵本、しかけ絵本ばかりもいいのですが、上の棚にひっそりと置かれている昔話にも優れた作品が沢山あります。
『マッチ売りの少女』では、「雪がシンシンと降る真夜中、マッチ売りの少女は凍えた身体とかじかんだ手をさすりながらトボトボと歩いておりました」と表現されていて、状況が目に浮かぶようです。
『狼と七匹の子ヤギ』『赤ずきん』『裸の王様』『カチカチ山』『さるかに合戦』なども読み聞かせしましょう。様々な出版社から出ていますが優れた文章が使われているものを選んでください。
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■子どもの前で気を付けたい言葉の使い方
ここまでで、話し言葉の発達に絵本の読み聞かせが重要だということはお分かり頂けたと思います。でも、子どもの前で親の言葉遣いを気を付けることも忘れないでくださいね。
例えば、「超おいしい」「ムカつく」「ぶっちゃけ〜」「マジ」「ヤバイ」「っていうか〜」「私的には〜」と子どもの前で連呼するのは、お世辞にも良い言語環境とはいえませんよね。
また、「すごいおいしい!」「全然かわいい!」もよくない使い方です。実は「すごい」は、”凄”という漢字。”にすいにつま”と書きます。語源は”おぞましい”や”おどろおどろしい”です。
ですから「すごくまずい」「すごく汚い」など後ろに好ましくない状態の言葉を付ける場合はよいのですが「すごくおいしい」は、使い方としてちょっとおかしいです。
それから、”〜い”の形容詞は、名詞につきます。ですから、「すごい汚い」は誤りで、「すごく汚い」と副詞的に使うか、「すごい犬の糞が落ちていた」と形容詞として使うのが正しいです。
更に”全然”は、否定形に付く副詞です。「全然おいしくない」「全然痛くない」は問題ないのですが、「全然かわいい」「全然大丈夫」のように肯定系が後ろにくるのは、厳密に言えば間違いです。
また、自分の子どもに対して「お弁当を作ってあげました」と連絡帳に書いていませんか? 他人の子どもならよいのですが、我が子に対しては「お弁当を作ってやりました」が適切です。
以上、絵本の読み聞かせがよい理由と、子どもの前ではやめた方がいい言葉遣いでした。あなたの日本語、大丈夫でしたか?
「間違った日本語、使っているかも……」と一瞬ドキッとしたママもいると思います。しかし、心配いりません。絵本の読み聞かせで、一緒に正しく美しい日本語を覚えていけばいいのです。
小学校入学前が、母国語獲得の最も大切な時期。歯磨き・お風呂のように、毎日の習慣にしてしまいましょう。読み聞かせする人もお母さんだけでなくお父さんでも御祖父ちゃんでも保育園の先生でも、ベビーシッターさんでも誰でもOK。
詳しくは、筆者の著書『心と頭をすくすく育つ読み聞かせ』にも詳しく書いています。ぜひご一読ください。
【著者略歴】
※ 立石美津子・・・1961年大阪市生まれ。聖心女子大学在学中、幼稚園教諭・小学校教諭免許を取得、佛教大学にて特別支援学校教諭許取得後、障害児教育に携わる。32歳で株式会社パワーキッズ(教室名:エンピツらんど)を起業。
現在、教室に3歳〜小学校3年生まで7,500名の生徒が通う。講演家・作家・自閉症児の子どもを持つ1児の母。
著書に『小学校に入る前に親がやってはいけない115のこと』&『読み書き算数ができる子にするために親がやってはいけない104のこと』(中経出版)、『心と頭がすくすく育つ読み聞かせ』(あさ出版)がある。
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