ネコが大好きで、YouTubeでひたすらネコ動画を観ていた漫画家の青山ゆずこさん。ある日へその緒がついたままの小さな赤ちゃんネコを保護し、そこから生活が一変しました。幼いネコと暮らす愛おしい日々のエピソードを紹介します(以下、青山ゆずこさんの寄稿)。
◆乳首……それは奥深きもの
へその緒がついたまんまの、生まれたばかりのネコを拾ったわたし。
しかし、駆け込んだ動物病院の先生からは、「この子はミルクを飲む力が弱いかもしれない」と言われてしまったのです。なにがなんでも生かすべく、病院の帰りに速攻で動物のグッズが置いてある店を何件もはしごして、授乳用の乳首を買いました。とりあえずひとつ。
しかし、このときのわたしは、“ネコ用哺乳瓶の奥深さ”をまだ知らなかったのです……。
◆飲む力が弱いのか、うまく飲めない赤ちゃんネコ
保護した子ネコにミルクをあげたら、まっっっったくうまく飲めない。
「飲む力が弱いなら」ということで、よかれと思ってぐりぐりと竹串で乳首の穴を広げてみたら、まあ大失敗。赤ちゃんネコの顔中にミルクが噴射したり(私が哺乳瓶を持っている手で押してしまった……?)、吸う力がうまく伝わらずに逆に飲めなくなったり。
「大きい穴がダメなら、小さい穴をいっぱいあければいいのでは?」という発想で、メインの穴の周りに針でいくつか穴をあけてみました。そしたらですね。
◆とんでもない結果に……思わず「ごめん」
見事な“乳首からシャワー”状態に。ミルクを浴びる赤子ネコ。
え、なんかごめん。ほんと、ごめん。
赤ちゃんネコを育てた経験がある諸先輩方からしたら、「なにそんなふざけたことをやってるのwww」と鼻で笑われてしまうことでしょう。
しかし、人生で初めてネコを飼った人間、しかもへその緒がついたまんまの赤ちゃんネコが急にやってきた私にとって、本気で大真面目によかれと思って乳首の穴と格闘し続けたのです。
結果、トライ&エラー、創造と破壊を繰り返し、Amazonで乳首を買いまくり、絶対1万円近くは散財した。本体とセットのものも多いので、めっちゃ哺乳びん本体のストックも増えまくった。
動物の赤ちゃんに慣れていない過保護な人間による、超真剣な乳首との対話。必死だったな……。
<漫画・写真&文/青山ゆずこ>
【青山ゆずこ】
漫画家・ライター。雑誌の記者として活動しつつ、認知症に向き合う祖父母と25歳から同居。著書に、約7年間の在宅介護を綴ったノンフィクション漫画『ばーちゃんがゴリラになっちゃった。』(徳間書店)、精神科診療のなぞに迫る『【心の病】はこうして治る まんがルポ 精神科医に行ってみた!』(扶桑社)。介護経験を踏まえ、ヤングケアラーと呼ばれる子どもたちをテーマに取材を進めている。Twitter:@yuzubird