【F1第7戦無線レビュー】フェルスタッペンまで0.7秒差。2位を悔しがるノリス「あと1、2周あったらね」

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2024年05月24日 11:20  AUTOSPORT web

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2024年F1第7戦エミリア・ロマーニャGP マックス・フェルスタッペン(レッドブル)&ランド・ノリス(マクラーレン)
 2024年F1第7戦エミリア・ロマーニャGP。2年ぶりのイモラでのレースは、王者マックス・フェルスタッペンの独走とはならなかった。初日から苦労し、なんとかポールポジションを獲得したフェルスタッペンだったが、レースでは前戦マイアミでキャリア初優勝を飾ったランド・ノリスに最後の最後まで追い詰められる展開となった。マイアミGPを無線とともに振り返る。

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 10番グリッドのニコ・ヒュルケンベルグ(ハース)が会心のスタートを決めて、一気に8番手に上がった。

1周目
ヒュルケンベルグ:よ〜し、カモン!

 一方、上位勢では、4番手カルロス・サインツ(フェラーリ)が、オスカー・ピアストリ(マクラーレン)の猛追を受け、引き離すことができない。

7周目
サインツ:マクラーレンは速い!

 予選Q1落ちを喫し、ピットレーンからスタートしたフェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)。レースでも苦戦を強いられた。7周目のピットインの際に、前輪の内側から炎が上がった。

8周目
アロンソ:フロントブレーキが燃えている!
クリス・クローニン:フェルナンド、了解した。

 コースに復帰し、走っている間になんとか鎮火した。一方、8周目にピットインしたアレクサンダー・アルボン(ウイリアムズ)は、ホイールのトラブルに見舞われる。

9周目
アルボン:タイヤがしっかりハマっていない。

 スロー走行でなんとか1周し、ピットにたどり着いた。


 レース中盤、4番手まで順位を上げたピアストリに、担当エンジニアのトム・スタラードがこんな情報を伝えた。

30周目
スタラード:どのクルマもタイヤのデグはちょっと大きいけど、プランBで行くはずだ。プランCはやらない。

 2回ストップはないということだ。ピアストリ陣営ももちろん、1回ストップ戦略を敢行した。

 35周目、首位マックス・フェルスタッペン(レッドブル)を追走するランド・ノリス(マクラーレン)だが、3番手シャルル・ルクレール(フェラーリ)との差が縮まっていた。

35周目
ノリス:なんで僕は後ろの連中より、こんなに遅いんだ?
ウィル・ジョゼフ:他はみんな、我々よりタイヤを使ってるからだよ
ノリス:そうなの? 全然ペースがないんだけど。

 ジョゼフが不安を打ち消そうとするが、ノリスは納得できないようだった。

 そしてルクレールは、いよいよペースを上げてノリスに迫り始めた。

41周目
ジョゼフ:この数周、ルクレールがプッシュしてきてる。
ノリス:もっと大きな声で言ってくれ!
ジョゼフ:ルクレールがペースを上げてる。1分21秒だったのが、今は1分20秒5だ。
ノリス:僕もプッシュしてるんだけどね。向こうの方が、ずっと速い。

 逆にルクレール陣営は勢いづく。担当エンジニアはこの週末から、ブライアン・ボッツィに代わっていた。

44周目
ボッツィ(→ルクレール):コース上で一番速いぞ

 44周目には、ルクレールはノリスの1秒以内まで迫った。

 一方、首位のフェルスタッペンも、決して独走状態ではない。44周目に7秒あったノリスとのマージンは、51周目には4秒5まで縮まっていた。

51周目
ジャンピエロ・ランビアーゼ:ランドに対してタイムロスしてるのはターン2とターン6だ。
フェルスタッペン:もうタイヤがダメなんだよ。
ランビアーゼ:あくまで情報として上げただけだ、マックス。
フェルスタッペン:僕のも単なる情報だけどね。

 このやりとりだけ聞けばまだ余裕があるような印象だが、この後もノリスはさらに差を縮めていった。

 51周目の時点で、メルセデス勢はジョージ・ラッセル6番手、ルイス・ハミルトン7番手。しかしラッセルは、かなりタイヤが厳しくなっていた。

52周目
マーカス・ダドリー:今ピットインしたらルイスの後ろになってしまうけど、それでもいい? ペレスの前では、コースに戻れるけどね。
ラッセル:ああ。それでいいよ。でもピットインは、チェッカー間際だよね?
ダドリー:いや、違う。
ラッセル:ピットインの理由は? よくわからないんだけど。
ダドリー:タイヤが最後まで持つか、確信できないんだ。
ラッセル:理由もなしに、順位を落としたくないよ

 結局、52周目にラッセルはピットイン。ハミルトンに先行されたものの、ファステストタイムを叩き出すことに成功した。

 ノリスに迫られているフェルスタッペンが、周回遅れのマシンに対して、珍しく焦りをあらわにした。

56周目
フェルスタッペン:あのバカ、僕を行かせないのか

 追い詰めるノリス。

57周目
ジョゼフ:ターン9でもうちょっとプッシュしたら最高だ
ノリス:やってるよ、精一杯やってる。

61周目
フェルスタッペン:バッテリーがほぼ空だ!

フェルスタッペンが0.7秒差で、辛くも逃げ切った。

チェッカー後
フェルスタッペン:かなり頑張らないといけなかったよ。でもなんとかやり遂げたね。

ノリス:ついてなかった。序盤のロスが痛すぎた。でも今回も、素晴らしい週末だった。みんな、よくやってくれた。

 3位に入ったルクレールだが、レッドブル、マクラーレンに対抗できなかったことに、少なからぬショックを受けたようだ。

ボッツィ:P3だ。よくやった。これ以上はないペースで、走ってくれた。ファンにも感謝だ。
ルクレール:ああ……そうだね。彼らはいつでも、一緒にいてくれる。いいレースだった。もっといい結果も出せたはずだけどね。これから勝てたら最高だけど、どうだろうね。
ボッツィ:ファンもわかってくれるさ。

ジョゼフ:ドライバー・オブ・ザ・デイに選ばれたぞ。
ノリス:あと1、2周あったらね。そしたら……。いや〜勝てなかったのは、イラつくね。今や、勝てないことがすごく辛いよ。

 初勝利を挙げたことで、ノリスの心のうちは確実に変化している。マイアミの前だったら、2位表彰台という結果をここまで悔しがることはなかっただろう。

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