「笑いものにする必要はない」感染対策の専門家が指摘する波紋呼んだ『水ダウ』“コロナ対策イジり企画”の問題点

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2024年09月02日 16:00  web女性自身

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8月28日放送のバラエティ番組『水曜日のダウンタウン』(TBS系)で、「コロナ対策」をネタにしたドッキリ企画が物議を醸している。



問題視されているのは、「コロナ対策、いまだに現役バリバリの現場があっても従わざるを得ない説」と題する企画。マスクや消毒、検温、フェイスガード、マウスシールド、アクリル板、ソーシャルディスタンス、リモートロケ、移動する車内での窓開け換気など、新型コロナウイルス流行のピーク時に、テレビ番組のロケでおこなわれていた感染対策を、徹底的にいじった内容だった。



スタジオでVTRを見ていた朝日奈央(30)は、「当時も『え、ここまでしないといけないのかな……』って違和感のなかやってたから」とコメント。ヒコロヒー(34)も「すごい時代を乗り越えましたね」と感慨深げに語った。



前週の予告の時点から、不謹慎ではないかという指摘がネット上であがっていたのだが、放送後には案の定、大炎上することに。ネット上ではさまざまな意見が飛び交った。



《コロナ対策してる人を笑う風潮をつくるのはアカンでしょ 持病持ちや高齢者にとってはコロナはまだ命の危険に関わるんだから》
《当時は未知の病だったしみんな手探りで必死だった》
《コロナは茶番って結局のところ自分が感染しなかったか、しても軽く済んでラッキーだったってだけでしかないからな 死んだか後遺症残ってたら茶番なんて言えなかったわけで やりすぎな対策もあったが、だからって全否定するのは単に極論バカ》



その一方で、“結果的に”過剰だった部分の感染対策を振り返って笑いにするのは“問題ないのでは?”と指摘する声も上がっている。



《感染対策が求められる医療現場ではなく、番組撮影現場を舞台のネタにしてるし、文脈や状況が異なるからなんとも思わない人もいるんじゃないか?》
《あの頃にまったく無意味な“やってる感”だけのコロナ対策が巷に溢れてたのは紛れもない事実だと思う。それを風刺することが不謹慎だとは思わないな》
《コロナに対する感情って個人体験にもよるからほんま人それぞれやね 感染とは無関係な生活だったらあの過剰な対策は滑稽にしか思わないだろうし》



コロナ初期から数多くの現場で効果的な感染対策の検証・指導をしてきた感染制御学や危機管理学の専門家で、愛知県立大学看護学部の清水宣明教授に意見を聞いてみた。



「感染経路に対する理解が、医療現場の人間を含めて、なかなか進まなかった面があるので、感染対策についてはもっと現実を見て、もう少し早く改善すべき点はあったとは思います。とはいえ、未知のウイルスで、しかも少し重い病気であれだけのパンデミックというのは近年あまりない経験なので、試行錯誤するのはある程度仕方なかったと思います。



感染対策には、おかしなものも多かったですが、有効なものもありましたし、限られた手段をいかに有効に使うかが大切です。おかしなものをもって、すべてが無駄だったとするのは極論です。



さらに、実は全く無駄だったという感染対策は少なく、利用されなくなった対策の多くは、効果が非常に小さいので、それをやるメリットがあまりなかった、というものです。それらについては、自嘲し、反省し、修正すればよいだけです。バカにする必要はありません」



今、番組のようにフェイスガードを街でつけていたら笑う人もいるのかもしれないが、「吸い込むウイルス量を減らせば感染リスクはさがるので、効果は0ではない」と清水先生は言う。



「これは地震など他の危機管理でも同様ですが、その対策が“どれくらい有効か”、“どれくらい力を入れることができるか”、“入れる必要があるか”という問題なんです。“バカバカしくないレベル”にするにはどうしたらいいか? と考えるのが大切なんです」



また、マスクや換気は有効な対策であり、そうした有効な対策まで過剰・無駄だったと見えるような演出や、感染対策自体が“もはや全く不要”と誤認させるような演出には問題があると指摘する。



「日本の特徴で、“全てか無か”になりがちですが、感染を防いだり、いろんなこともそうですが、100か0かではないので、いかにそのリスクを減らせるかなんですよね。病院や高齢者施設などでは今もマスクの着用を求められますし、必要な場面は当然あります。



5類になったからといって、コロナがなくなったわけじゃないですし、感染者も増えています。過去に亡くなられた人や身内を亡くされた人、今でも闘病で苦しんでる人などが、たくさんいらっしゃるので、過去のこととして感染対策を笑い物にする必要はありません。みんな真剣にやっていたので、必要な点は反省して修正すればいいだけなんですよね」



とはいえ、不寛容すぎる社会にも警鐘を鳴らす。



「タレントさんも多分わかってやられると思うんですけど、芸人さんは、極端な話をするのが仕事なので、まあ仕方ないかなと思います。芸人さんにあまりシビアなコロナの話をされても疲れますから(笑)。むしろ、社会の方がそういった極端な話を笑って流せる余裕がなくなっていますね。芸人さんでさえ、うかつなことが言えない。危ない社会です」



“過剰”なのは感染対策だけじゃなくて、反応も然り。とはいえ、今なおコロナで苦しんでいる人や奮闘している人もいる。悪趣味な笑いだったことは否めないーー。

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