“ハンデキャッパー冥利”に尽きる名勝負 15年京成杯AHは勝ち馬から7頭が0.1秒差

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2024年09月06日 17:00  netkeiba

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15年の京成杯AHを勝ったフラアンジェリコ(撮影:下野雄規)
 条件戦を含め、1年間に約200競走行われている「ハンデ戦」。出走全馬が横一線でゴールすることを目指し、ハンデキャッパーたちは頭をフル回転していると聞く。負担重量の決定には着差だけでなく、展開や対戦メンバー、内外の差など、あらゆる条件を踏まえて熟慮しているとされ、直線でズラッと横並びになった際は“ハンデキャッパー冥利”に尽きるといえよう。まさにそんなレースになったのが、15年の京成杯オータムハンデである。

 戦前から混戦ムードが漂っていた。同年のNHKマイルC2着馬アルビアーノが一応の1番人気に推されたものの、決して抜けたオッズとはいえない4.3倍。以下、中京記念3着からの臨戦だったダローネガが5.3倍、安定感がウリの3歳馬グランシルクが5.7倍で続いた。出走馬で唯一のGI馬マイネルホウオウは近走不振で15番人気、重賞2勝と実績がやや抜けていたレッドアリオンは、58kgのトップハンデが嫌われたか4番人気にとどまった。

 レースは道中に大きな動き無く推移し、直線の坂下でアルビアーノが1、2馬身抜け出す格好。このまま平穏な決着かと思われた瞬間、様相が一変した。坂の途中から同馬を目がけて、内から、外から、各馬がつぎつぎに強襲。内をすくってエキストラエンド、馬群の隙間からグランシルク、連れてフラアンジェリコが脚を伸ばす。さらには大外からヤングマンパワー、ショウナンアチーヴ、シャイニープリンスまで。7頭がもつれるようにゴールを通過した。

 何が勝ったのか、3着以内に入ったのか、レーススピードではまったく判別できず。写真判定の末、勝っていたのはフラアンジェリコ。レース映像を見返すと、残り200mほどまで前が壁で、一瞬の間隙をついてショウナンアチーヴ、ヤングマンパワーのあいだに進路をとっている。少しでも追い出しが遅れていたら、結果は変わっていたはずだ。

 オープン昇級後は福島記念で2着が一度あったものの、ダービー卿CT、七夕賞では二桁着順に敗れており、13番人気で単勝62.7倍とまったくの人気薄。53kgの軽ハンデを味方に、千載一遇のチャンスをモノにしてつかんだタイトルだった。7着までの着差は「ハナ」「ハナ」「アタマ」「ハナ」「クビ」「アタマ」。7頭が0.1秒差にひしめく大接戦は、ハンデキャッパーもニヤリと笑うような名勝負だった。

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