引退も検討していたニューウェイがアストンマーティンと長期契約。天才デザイナーを引き留めたF1の魅力と、妻の意見

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2024年09月11日 07:50  AUTOSPORT web

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アストンマーティンF1チームがエイドリアン・ニューウェイとの契約を発表(左からフェルナンド・アロンソ、ニューウェイ、オーナーのローレンス・ストロール、ランス・ストロール)
 アストンマーティンF1チームが天才F1デザイナー、エイドリアン・ニューウェイとの契約を発表した記者会見において、新たにマネージングテクニカルパートナーに就任することが決まったニューウェイは、F1の世界で働き続けることを選んだ理由や経緯について語った。

 レッドブル・レーシングでチーフテクニカルオフィサーを務め、チームに大きな成功をもたらしたニューウェイだが、今年の5月1日、2025年の前半にレッドブルから離脱することが発表された。その後、複数のチームによって彼の争奪戦が繰り広げられた後、最終的にアストンマーティンが契約をまとめ、9月10日に正式な発表が行われた。

 シルバーストンに位置するアストンマーティンの本拠で行われた記者会見において、ニューウェイは、今年のF1日本GPの週末に、レッドブルから離れることを決断したと語った。

「レッドブルで働くのをやめると決めた。それは4月の鈴鹿の週末でのことだ」とニューウェイは明かした。

 今年初め、クリスチャン・ホーナー代表が女性従業員に対して不適切な行為を行ったとの内部告発がなされた後、シーズン開始前にレッドブル社はホーナーを不問に付すことを決めた。しかしチーム内では緊張が高まり、権力争いも激化、それに嫌気が差したことがニューウェイ辞職の原因のひとつであるといわれている。

 日本GPでは、マックス・フェルスタッペンとセルジオ・ペレスが予選でも決勝でもワンツーを達成。チームにとって最高の週末だったが、ニューウェイにレッドブルで働くことへの情熱を維持させるのに十分ではなかったようだ。

 レッドブルから離脱することを決めたものの、当時「次に何をするかについては全く分からなかった」とニューウェイは言う。

「頭の中を空っぽにして、状況を整理して、少し休みを楽しみたいと思っていただけだ。いつか、シャワーを浴びている時に、『これこそ進むべき方向だ』というひらめきが訪れることを期待していた」

 65歳のニューウェイは、記者会見の間ずっと、妻が今回の意思決定プロセスに大きく関わっていたと強調した。

「何をすべきかについての話し合いのなかで、マンディも大きな影響力を持っていた」とニューウェイは明かした。さらに、「彼女は、『彼が家にいる時間が長すぎると私はおかしくなってしまうかもしれない』と心配したのだと思う」と冗談も付け加えた。

 ニューウェイは引退も検討していたにもかかわらず、結局、アストンマーティンと長期契約を結び、フルタイムで働くことを決断した。その理由について彼は、こう説明している。

「6月下旬になって、こう思った。『モーターレーシングの世界にデザイナーとして関わることは、10歳くらいからの夢だった。それを実現できたのは本当に幸運だったじゃないか』とね。キャリアのすべての日を楽しんだというのは大げさにしても、90パーセント以上はとても楽しんで過ごしてきたんだ」

 45年近くモータースポーツに関わってきたニューウェイは、最初にこの世界に足を踏み入れたきっかけと、今でもこの世界で働きたいという意欲を感じる理由について、次のように語った。

「マシンのパフォーマンスを向上させるというチャレンジが今でも大好きだ。それが私の一番のモチベーションであり、毎朝起きる時の原動力なのだ。技術的なスポーツ、つまり人とマシンの組み合わせから成るスポーツの素晴らしいところは、自分が行ったことに対するフィードバックを即座に得られることだと思う。もちろん、うまくいっていないときには辛い思いをするけれど、それでもフィードバックを得ることができる」

 ニューウェイは、F1での仕事をかつての同僚たちの仕事と比較し、モーターレーシングの世界でエンジニアとして働くことの最大のメリットについて、次のように指摘した。

「大学時代に航空工学コースで一緒だった友人たちと今でも連絡を取り合っている。ブリティッシュ・エアロスペースやロールスロイスのエンジン部門などで働いている友人たちは、フィードバックを得ることはなかった。当時の私はそのことに気付いていたわけではなかったが、人と機械の組み合わせで戦うこのスポーツで働くことを、目標のひとつに選んでいた。そして、『人と機械の組み合わせで戦うスポーツの頂点は何か』といえば、明らかにそれはフォーミュラ1だ」

「確かに今でも(ヨットレースの)アメリカズカップに関心があるし、他にも多くのことに興味を持っている。だが、人と機械のスポーツの世界にとどまるのであれば、人々から必要とされる限り、頂点のカテゴリーにとどまりたい」

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