セリエAのレギュラーGKやビッグクラブの一員も! 識者がおススメする欧州サッカーで注目の日本人選手たち

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2024年09月14日 10:10  webスポルティーバ

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欧州サッカー今季活躍期待の日本人選手 後編

新シーズンの欧州サッカー各国リーグもたくさんの日本人選手がプレーしているが、そのなかで誰に注目して見るのが面白いか。後編では、識者に将来の可能性を感じさせる選手たちや、ブンデスリーガでおススメの選手を挙げてもらった。

前編「日本代表のレベルアップ還元に期待ができる選手たち」>>

【将来への可能性を感じさせる選手たち】

後藤健生(サッカージャーナリスト)

<期待の選手>
鈴木彩艶(パルマ/GK)
塩貝健人(NEC/FW)
伊藤洋輝(バイエルン/DF)

 これまでの日本人GKで、欧州クラブで一定の地位を確立したのは川島永嗣(現ジュビロ磐田)くらいしかいない。なんといっても、サイズが必要なポジションなのだ。そして、GKは日本代表の弱点でもあった。

 ところが、鈴木彩艶という選手は192センチ100キロとフィジカル的に規格外。もし、彼がその才能を生かしきることができれば、世界的GKに成長する可能性もある。日本代表の森保一監督もそう考えたのだろう。1月のアジアカップでは彼に日本のゴールを任せたが、不安定なパフォーマンスでかえって批判を招くことになった。

 その鈴木がイタリアのパルマに移籍し、セリエAでも開幕から先発を果たし、ミスもあったが、好セーブも見せている。迫力あるキックやスローイングで距離を稼げるのも彼の魅力であり、実際、セリエA開幕戦では鈴木のロングキックが起点となって先制ゴールが生まれた。

 イタリアといえば守備文化の国。パルマといえば、あの名GKジャンルイジ・ブッフォンが育ったクラブだ。そんな環境のなかで、まだ22歳の鈴木が順調に育ち、彼に日本のゴールを任せられるようになれば、次回ワールドカップでの上位進出も現実味を帯びてくる。

 塩貝健人は、なんと関東大学2部リーグの慶應義塾大学から欧州に渡ることになった。J1リーグ、横浜F・マリノスでのゴール(特別指定選手としてプレー)やU−19日本代表での活躍を見れば納得がいく。とくに、モーリスレベロトーナメント(旧トゥーロン国際)イタリア戦のハットトリックは圧巻だった。体幹の強さを生かしたゴールはどれも豪快なものばかり。

 9番タイプのセンターフォワードというのは、釜本邦茂が引退して以来、日本サッカー界が追い求めてきたものだ。前線でボールを収め、自らもゴールを決めきれる選手がいれば、戦術の幅は大きく広がる。ワールドカップ最終予選9月シリーズでは上田綺世(フェイエノールト)が好プレーを見せたが、強さが持ち味の細谷真大(柏レイソル)や塩貝が上田を脅かす存在になってくれば、日本代表の攻撃力はさらにアップするはずだ。

 伊藤洋輝は、ドイツの絶対王者、バイエルンにステップアップした。残念ながら開幕前に骨折で離脱してしまったが、なんとか早期に復帰して出場機会を確保したい。

 センターバックとサイドバック(SB)をこなす伊藤だが、バイエルンではやはりSB起用が多くなるだろう。そして、SB、とくに左SBというのは現在の日本代表で手薄なポジションだ。伊藤がバイエルンでCL出場などハイレベルの試合経験を積めば、代表の強化にも直結する。

【多くの日本人選手がプレーするブンデスリーガ】

林遼平(サッカーライター)

<期待の選手>
伊藤洋輝(バイエルン/DF)
町野修斗(キール/FW)
チェイス・アンリ(シュツットガルト/DF)

 欧州5大リーグで最も多くの日本人選手がプレーするドイツのブンデスリーガにおいて、最大の注目となるのは今夏バイエルンに加入したDF伊藤洋輝だ。昨季2位と躍進したシュツットガルトで最終ラインの要として存在感を発揮した伊藤は、元ベルギー代表DFヴァンサン・コンパニ監督のもとで新たなシーズンを迎えることになった。

 かつてバイエルンには宇佐美貴史(現ガンバ大阪)も在籍したが、主力選手として補強されたのは今回が初めて。2021年にドイツに渡って以降、着実に結果を残してきたことが評価されており、トップクラブでどれほどのパフォーマンスを見せるかに大きな注目が集まっている。

 残念なのは、開幕前に中足骨の骨折により戦線離脱してしまったこと。スタートダッシュを切りたいところでの出遅れは痛手だが、クラブが最終ラインの補強を行なわなかったことを考えても、伊藤の復帰が待たれている現状であるのとは明らかだ。チャンピオンズリーグ(CL)を含め、これまで以上にレベルの高い環境に置かれるなかで、さらなる成長を期待したい。

 ブンデスリーガ初挑戦組では、キールのFW町野修斗に大きな期待を抱いている。近年、ブンデスリーガでセンターフォワードのポジションを担うことができたのは浅野拓磨(現マジョルカ)くらいで、ストライカーとして得点量産を期待できる選手は少なかった。そういった状況のなか、在籍2年目にしてチームでの評価が上昇傾向にある町野には得点量産の可能性があると見ている。

 すでに今季の公式戦では2ゴールを奪取。開幕戦のゴールを見ても、チャンスをしっかりとものにする力がついてきた印象だ。欧州の舞台で圧倒的なパフォーマンスを披露すれば、待ち望む日本代表復帰も見えてくる。強敵たちを相手に"攻守に違いを見せる"ストライカーとして活躍する姿を楽しみにしたい。

 最後は期待値の高さでシュツットガルトのDFチェイス・アンリを推したい。これまでセカンドチームでのプレーが続き、開幕前の時点でもノーマークだった存在が、開幕戦での途中出場によるブンデスリーガデビューから一気に評価が爆上がり。その後の2試合にスタメン出場するなど、チームでの確かな立ち位置の変化を感じさせている。

 もちろん最終ラインにケガ人が続出した中でのメンバー入りだが、今季はCLなどもあるため今後出場機会が増加する可能性は大きい。すでに空中戦やフィジカルバトルで相手に通用することは証明済み。あとはビルドアップやポジショニングなどの細かいところを伸ばし、クラブでポジションを掴むことができれば、その先に日本代表という舞台が見えてくるはずだ。

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