第71回マカオグランプリ 佐藤凛太郎(TGM Grand Prix) 11月14日に開幕した第71回マカオグランプリ。メインレースとなるFIAフォーミュラ・リージョナル・ワールドカップではこの日フリー走行1回目(FP1)と予選1回目(Q1)の2セッションの走行が行われた。ウエットコンディションとなった初日を終えて、TGM Grand Prixから参戦する小川颯太と佐藤凛太郎にギア・サーキットの感触や手応えを聞いた。
2023年のフォーミュラ・リージョナル・ジャパニーズチャンピオンシップ(FRJ)王者の小川は、FP1を23番手、Q1を22番手で終えた。マカオ走行初日を終えて、「正直、少し不思議だなと感じています」と語り始めた。
「FP1での走り出し直後は結構楽しかったです。想像以上にコースは狭いと感じましたが、『意外といけるかも?』と思いながら。当然トップとのタイム差はあるので、そこから少しづつペースを上げていった矢先にクラッシュしてしまいました。そんなに甘くはないですね」
「そこの詰め方の部分で『どこで間違えたのだろう』という引っ掛かりが自分の中にあります。そのため、Q1では慎重に、タイムよりもコースに慣れることを優先して走りました」
FP1では小林利徠斗(TOM’S Formula)のクラッシュによりセッション開始15分で最初の赤旗が提示された。小川はそれまで抑え気味に走っており、赤旗後も「50パーセントの走りから60パーセントの走りに」するべく、ブレーキの踏み方をほんのわずかに変えただけだったが、ターン7でのバンプも影響しアンダーが出てしまい、ウォールにクラッシュしてしまうことに。
「日本のコースで同じ状況が起きてもコース内に留まれるレベルです。ただ、マカオには壁があります。なので、ドライビングのアジャストの仕方も難しいです。もの凄く」
そんな小川は、走行2日目に向けて迷っていると吐露した。
「ウエットで、クルマを壊してはいけないという意識もあり、初日はものすごく抑えて走りました。普段のサーキットであれば、ポンとタイムを詰められるのですけど、抑えて走り続けた結果、怖くなってる部分が自分の中にあります。もし、クラッシュ覚悟で走れば2〜3秒はすぐに上がるともいます」
「速さでの怖さではなく、自分のイメージした感覚とは異なるところでアンダーが出てしまう、その感覚の違いは怖いです。走り始めからウエットだったことは大きいですね。ピレリのウエットタイヤも初めてで、タイヤを縦に、横にどのように詰められるのかがわからなかったことも大きかったと思います」
FP1でのクラッシュにより小川のマシンはダメージを負った。ただ、TGM Grand Prixのメカニックは、40分間のQ1のセッション開始から8分が経過したところで小川をコースに送り出した。
「メカニックの皆さんのおかげでQ1も走ることができました。明日は落ち着いて臨みたいと思います」
一方、今季日本のFIA-F4で四輪デビューイヤーを戦う佐藤凛太郎にとっては、この日がFR実戦デビューとなり、FP1は19番手、Q1は21番手となった。
「ライバルの多くがFRマシンに慣れていたり、マカオ参戦2年目のドライバーもいて、彼らはコースイン直後の1周目からスピードが違いました。経験の違いという部分で、僕も含め、日本チームから参戦する4名はみなさんそれぞれ苦労したのかなと思います」
前日の取材の際に、「ぶつかることなく、1周でも多く走れるように挑みます」と語っていた凛太郎。FP1、Q1ともに接触することなく終えることが叶ったが、Q1ではまた違ったかたちでマカオの洗礼を受けた。
「Q1はセッション開始序盤は路面が乾きつつあったので、僕は早めにドライタイヤに履き替えました。ただ、路面が乾いていたとしてもウエットタイヤを履いたドライバーがみんな好タイムをマークしてきました」
セッション序盤、路面は乾いた部分が多いように見えた。しかし、路面は冷えた状況のままであり、ドライタイヤに熱が入らず、タイヤのグリップが発揮されなかった。
「Q1は後半に向けて雨が強くなったので、僕もドライからウエットタイヤに履き替えましたがタイムが上がらず、という状況でした。終盤にはタイム的に向上してる部分もありましたが、まだ足りません。明日に向けてはどこが足りないのか、データを確認してQ2にしっかりと挑みたいと思います」
「ただ、ドライタイヤでも走れたので皮剥きができたことは良かったかもしれません。今日足りなかった部分を分析し、落ち着いて明日の走行に備えたいと思います」
第71回マカオグランプリのFRワールドカップ、2日目となる15日は日本時間10時20分からFP2、日本時間15時55分から予選Q2が行われる。