近年、地域に根付いた歯科医院の運営が厳しさを増しています。この背景として問題視されているのが医師の高齢化です。歯科経営者の平均年齢は60歳を超え、休廃業・解散した医院の代表者の平均年齢は69.3歳と、70歳に迫っています。
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また歯科衛生士の人手不足、後継者の不在、物価高騰による材料費の上昇も経営を圧迫する要因です。さらに政府はマイナ保険証の導入を進めており、電子化に伴う設備投資が必要なこともあり、経営への負担は増す一方のようです。
そこで歯科医院の内部事情に詳しい歯科衛生士のAさんに、歯科医院経営の実情について話を聞きました。
ーなぜ歯科衛生士さんは足りていないのでしょうか?
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そもそも歯科衛生士の不足は今に始まったことではなく、以前から問題視されていました。賃金が安いことや1カ所の医院に患者が定着しにくいという点が要因だと思います。
個人経営が多い歯医者さんは休みが取りにくく、特に女性の場合は産休や育休の取得できるところが少ないので、1箇所で長く勤めにくい状況です。私自身も出産を機に退職し、子供が大きくなってから別の歯科医院に再就職しています。
ーAさんが考える歯科医院廃業の大きな原因はなんだと思いますか?
歯科医の高齢化が大きいと思います。単に働けなくなるということではなく、高齢になると新しい技術を取り入れにくいということです。ここ10年でホワイトニングやインプラント、矯正などの技術が進み、医院の経営者は新たに機械を導入したり、知識を取り入れる必要がありました。
若い歯科医は柔軟に対応できますが、今までのやり方に執着している人は置いてきぼりになる傾向があります。また、保険適応外になるホワイトニングやインプラントなどの方が医院は儲かるので、よほど人気の歯医者さんでなければ保険適応である通常の治療のみでは儲からないというのも廃業の原因だと思います。
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廃業が加速する一方で、保険適応外のホワイトニングやインプラントなどは需要が高く、自由診療で診療料も高額になるため、取り入れる歯科は増え続けると言われています。そんな中、必要以上に患者に治療を強いる悪徳歯科も増えるのではないかと業界内では懸念されています。
ーそんな悪徳歯科医に引っかからないための見分け方はありますか?
歯科業界は個人経営が多いため不正が起こりやすく注意が必要です。特に患者が治療方針について理解していないのに話を進めていく先生は危険です。質問しても曖昧にする、怒ったような口調になる、金額の説明がないなどの場合は十分に気をつけてください。
また、少しでもおかしいと思ったら「セカンドオピニオン」で意見を求めるのも有効ですね。他のところと比較して、説明が正しかったのか、金額設定はおかしくないかなど確認した方が良いでしょう。特に高額な自由診療の場合は「医院が近いから」「いつも診てもらっているから」というだけで医院を選ばず、複数の医院で受診した方がいいです。
(まいどなニュース特約・長澤 芳子)
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