フェラーリは、今年末にF1サプライヤーでイタリアのブレーキ専門メーカーである『ブレンボ』社との契約を解除し、50シーズン続いた関係に終止符を打つ予定だ。
エンツォ・フェラーリがブレンボと初めて契約を結び、同社のF1製品の独占権を獲得したのは1975年のことだった。そして、それから10年も経たないうちにカーボンブレーキが登場したことで、両社の関係はさらに緊密になった。
スクーデリアの情報筋によると、2025年に新たに加入するルイス・ハミルトンが、チームと契約を結んで以来、来年のマシンに『カーボン・インダストリー』社のブレーキディスクを使うことを主張しているのだという。7度の世界チャンピオンであるハミルトンは、同製品の制動力を大いに気に入っている。
フレデリック・バスールも、カーボン・インダストリーの製品に厚い信頼を寄せていることから、今年初めに両者間の交渉が始まり、現在は順調に終わりを迎えようとしているようだ。
なお、この交渉がうまくいった場合、フェラーリのマシンのディスクブレーキがブレンボから供給されなくなるのは50年ぶりのこととなるが、カーボン・インダストリーはF1向けのブレーキキャリパーとパッドを製造していないため、ブレンボはフェラーリとの技術的つながりを維持する可能性が高い。
■一部報道媒体の“出禁”に発展
ブレーキディスクのサプライヤーが変更される可能性は、フェラーリの広報部門に大きな問題を引き起こしている。技術チームの上級メンバーからのリークにより、『SF-25』のブレーキシステムがどのように機能するかについての詳細を多く含む記事がイタリアのウェブサイトに掲載されたのだ。
詳細の精度は非常に高く、チーム内にスパイがいることを知ったバスールはすぐに犯人探しを始めた。それと同時に、記事を書いた記者がチームの広報担当者に電話して記事の真偽を確認する礼儀すら示さなかったことに激怒したバスールは、自分のチームが管理するあらゆるイベントからこの媒体を締め出し、記者が解雇されるまでこの禁止措置を維持することを宣言した。
ブレンボとカーボン・インダストリーに関して、シーズン最後のグランプリのためにアブダビにいた技術者たちは、サプライヤーの変更計画については何も知らないと主張した。しかしカーボン・インダストリーの情報筋は、この2、3カ月で協議が急速に進んでいることを認め、「ルイス(・ハミルトン)が自分のマシンにカーボン・インダストリーのブレーキを入れたがっていることは誰もが知っている」と付け加えた。