今年64歳になる男です。年金はもらわないで、70歳まで厚生年金に入って働くつもりです。繰り下げで増額しますか?

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2024年12月12日 20:31  All About

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年金制度にまつわることは、難しい用語が多くて、ますます不安になってしまう人もいるのではないでしょうか。そんな年金初心者の方の疑問に専門家が回答します。今回は、70歳まで厚生年金に加入して働く場合の年金の繰り下げ受給についてです。
老後のお金や生活費が足りるのか不安ですよね。老後生活の収入の柱になるのが「老齢年金」ですが、年金制度にまつわることは、難しい用語が多くて、ますます不安になってしまう人もいるのではないでしょうか。そんな年金初心者の方の疑問に専門家が回答します。

今回は、70歳まで厚生年金に加入して働く場合の年金の繰り下げ受給についてです。

Q:今年64歳になる男です。年金はもらわないで、70歳まで厚生年金に入って働くつもりです。繰り下げで増額しますか?

「今年64歳になる男です。年金はもらわないで70歳まで厚生年金に入って働くつもりですが、この場合繰り下げで増額の対象になりますか。4割増えると期待してるのですが」(yanboさん)

A:65歳になる前に受給要件を満たせば受け取れる「特別支給の老齢厚生年金」は、繰り下げできません。65歳から受け取れる「老齢厚生年金」は、在職老齢年金制度で支給停止になった場合は繰り下げても増額しません

まず、「yanbo」さんは今年64歳、つまり1960年(昭和35年)生まれかと思いますので、受給要件を満たすことで64歳から「特別支給の老齢厚生年金」をもらえる可能性があります。ただし65歳になる前にもらえる「特別支給の老齢厚生年金」は、繰り下げ制度の対象ではありません。

65歳になると、受給要件を満たすことで、老齢年金(老齢基礎年金、老齢厚生年金)がもらえます。65歳以降、老齢年金の年金請求をしなければ、年金は繰り下げになり、繰り下げすることで1カ月あたり0.7%年金が増額します。

ただし60歳以降、老齢厚生年金(特別支給の老齢厚生年金含む)を受け取りながら、厚生年金に加入して働く場合は、「在職老齢年金制度」に注意が必要です。

老齢厚生年金の基本月額(老齢厚生年金の報酬比例部分の月額)と、総報酬月額相当額(毎月の給与収入と直近1年間の賞与の1/12を足したもの)の合計が、支給停止の基準額である50万円を超えると、老齢厚生年金や特別支給の老齢厚生年金の受給額の一部もしくは全額が支給停止になります。

相談者は老齢年金をもらわないで(繰り下げして)厚生年金に加入するとのことですが、繰り下げしている期間の老齢厚生年金も在職老齢年金制度の対象になります。

つまり、実際に老齢厚生年金を受け取っていない場合でも、基本月額と総報酬月額相当額の合計が50万円を超えてしまうと、老齢厚生年金が支給停止されることになります。支給停止された老齢厚生年金は、繰り下げによる増額はされません。

一方で老齢基礎年金は在職老齢年金の対象ではありませんので、繰り下げをすれば増額の対象になります。

「4割増えると期待している」と書かれていますが、年金が増額するかどうかは、最寄りの年金事務所で確認してみるといいでしょう。

監修・文/深川 弘恵(ファイナンシャルプランナー)

都市銀行や保険会社、保険代理店での業務経験を通じて、CFP、証券外務員の資格を取得。相談業務やマネーセミナーの講師、資格本の編集等に従事。日本FP協会の埼玉支部においてFP活動を行っている。
(文:All About 編集部)

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