長塚京三主演、映画『敵』築100年以上の日本家屋で暮らす77歳男やもめの美しすぎる“モーニングルーティン”

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2025年01月11日 12:56  ORICON NEWS

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儀助(長塚京三)=映画『敵』(1月17日公開) (C)1998 筒井康隆/新潮社 (C)2023 TEKINOMIKATA
 俳優の長塚京三が12年ぶりに映画で主演を務めた『敵』が、今月17日より公開される。筒井康隆の同名小説を『桐島、部活やめるってよ』『騙し絵の牙』の監督・吉田大八がモノクロで映画化。その静謐(せいひつ)なモノクロの世界を垣間見る“モーニングルーティン”を捉えた本編映像が公開された。

【動画】儀助の“モーニングルーティン”(本編映像)

 1974年にフランスで俳優デビューしてから実に50年、映画、ドラマ、舞台で活躍し続ける長塚が本作で演じるのは、77歳の元大学教授・渡辺儀助。妻に先立たれている彼は、朝起きる時間、食事、衣類、使う文房具一つに至るまでを丹念に扱い、預貯金の残高と生活費があと何年持つかを計算し、自分の寿命を知る。そんな儀助の元にある日「敵」が現れる。長塚は、人生の最期に向かって生きる人間の恐怖と喜び、おかしみを同時に表現した。

 共演には、清楚にして妖艶な魅力をもつ大学の教え子、鷹司靖子役に瀧内公美、亡くなってなお儀助の心を支配する妻・信子役に黒沢あすか、バーで出会い儀助を翻ろうする謎めいた大学生・菅井歩美役に河合優実。そのほか松尾諭、松尾貴史、カトウシンスケ、中島歩らが脇を固める。

 解禁された本編映像では、儀助が祖父の代から続く日本家屋で、ひとり丁寧に淡々と暮らす毎日のある朝の一幕が映し出される。自ら高級ハムで朝食を作り、食す。杜仲茶のお茶漬けでしめる。歯を磨き、洗濯をし、食器を洗い箒で掃除をする。食後のコーヒーは自家焙煎。その姿はいたってシンプルな日常のひとコマでありながら、モノクロの映像や静謐な中でのひとつひとつの音によって、観る者を没入させ魅了していく。

 また本作では、まるで儀助の分身のようにも感じられる、古風な日本家屋も見どころのひとつ。映画全体を読み解くのに重要な、吉田監督の解釈が込められている儀助の家は、ロケセットではなく、築100年以上の文化遺産レベルともいえる実際に人が住んでいる家で撮影を敢行した。

 そんな日本家屋での撮影について吉田監督は「撮れば撮るほど豊かな“表情”を見せてくれるこの家が、もう一人の主人公のような存在感を出してくれたと思います」と話す。先んじて行われた一般試写でも「独特な雰囲気があって素晴らしかった」「陰影の中でこそ映える日本古来の建築が、息を呑むほどに美しい」と絶賛の声が上がってる。

 儀助の生活は、ある日突然届く、「敵がやって来る」という一通の不穏なメールによって壊されていく。儀助の前に現れた「敵」とは一体何か。虚構と現実の狭間にダイブ(没入)するような、「自分自身、この先こういう映画は二度とつくれないと確信できるような映画になりました」と語る吉田監督の新境地に注目だ。

 本作は、昨年10月〜11月にかけて開催された「第37回東京国際映画祭」にて、東京グランプリ/最優秀男優賞/最優秀監督賞の三冠を達成。きのう10日に発表された「第18回アジア・フィルム・アワード」(AFA)に、日本映画としては最多、作品賞、監督賞(吉田監督)、主演男優賞(長塚)、助演女優賞(瀧内)、撮影賞(四宮秀俊)、衣装賞(宮本茉莉)の計6部門にノミネートされた。

 アジア・フィルム・アワードは、2007年に香港国際映画協会によって設立され、“アジア全域版アカデミー賞”とも言われており、これまで『パラサイト 半地下の家族』(19年/ポン・ジュノ監督)や『ドライブ・マイ・カー』(21年/濱口竜介監督)など、世界中の映画祭や賞レースを席巻した作品が受賞している。アジア・フィルム・アワードの授賞式は、3月16日に香港で開催予定。

 また、昨年11月に行われた台北金馬映画祭の「Windows On Asia部門」選出、同12月には上海国際映画祭の「Japanese Week」に招待されたが、今後も、「AKI-NO 日本映画祭」(イスラエル)、「ヘルシンキ・シネアジア映画祭」(フィンランド)、「香港国際映画祭」(香港)、「アイルランド日本映画祭」(アイルランド)、「ウーディネ・ファーイースト映画祭」(イタリア)など、世界中の映画祭への出品が決定している。


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