![](https://news-image.mixi.net/article/199/199_20250208_0001462342_002.jpg)
ダンス&ボーカルグループE-girlsとしての活動から、本格的に女優業へと進出し、数々のミュージカルや舞台に出演している山口乃々華。その山口が、2月21日から上演されるKAAT 神奈川芸術劇場プロデュース 音楽劇「愛と正義」に出演する。“愛と正義”をテーマに、人を助けることを生業とするヒーローたちの世界を舞台とした音楽劇で、山本卓卓による書き下ろし、益山貴司による演出の三部作構想の一作品となる本作。一色洋平が演じる主人公コチの妻ソチを演じる山口に、物語や音楽劇としての魅力、演じる役への思いなどを聞いた。
−本作の第一印象を教えてください。
とても壮大で、“愛と正義”とは何なのかと思っていたところ、台本を読むと日常的な会話がちりばめられていて、意外と身近なお話なのではないかと感じました。
−舞台オリジナル作品となりますが、その点については?
お芝居を舞台に立ってやってみないとどう見えるか分からないというところがオリジナルの醍醐味(だいごみ)です。卓卓さんと益山さんを含めた皆さんで机を囲んで質問をしながら、全員で台本を読み解く時間を作っていただいています。そういうことからも、今回はみんなと作り上げているという感じが強くて楽しいです。
−山本さんや益山さんとは本作についてどのような話をしていますか。
卓卓さんは、ヒーローものをすごく書きたかったとおっしゃっていて、そこから本作を書き上げるのにとても時間がかかったそうです。時間をたっぷりかけた、そんな大事な作品を一緒にやらせてもらえるということでとても光栄です。
−「ジュンスイ」と呼ばれる特殊な能力を持ったヒーローたちの物語という点ではどう感じていますか。
私たちが生きている世界の中では特殊な能力を持ったヒーローは存在しないですけど、「愛と正義」の世界の中の現実はちょっと違うからこそ、自分の力じゃない力が働くことで物語にスピード感がありますし、壮大なものになっていると感じています。
|
|
−そんな非現実的な世界で“愛と正義”をテーマに人間模様を描いていくんですね。
そうですね。本当に現実っぽい夫婦のすれ違いとか、夫婦あるある的なものが描かれています。私は結婚をしたことがないので分かりませんが(笑)、人間関係の中でも疑ってしまったりとか、急に信じてもらえなくなったりとか、そういう目線がとても痛いという気持ちも分かります。そういうところとヒーロー的な物語がミックスされた世界になっています。
−そんな世界観の中で生きる主人公コチの妻ソチをどう思いますか。
とても芯が強く、愛のある人間で、コチをすごく愛していると感じていて、そういうところが魅力だなと思います。か弱い女の子というよりも、強さがあって、コチのためにヒーローではないけれども戦う姿というのはとても魅力的です。
−音楽劇としての本作の魅力を教えてください。
とてもおしゃれな音楽ですが、いわゆるグランドミュージカルのようなオーケストラのイメージとは違って、電子音やいろんな楽器も使われていて面白いです。もちろんピアノがメーンの音楽もありますし、バラードやラップ、ブルース調の曲があったり、譜面の拍子がどんどん変わっていくっていうトリッキーさもあったり、いろいろなジャンルが混じっています。特に1曲目となる春節のお祭りシーンの楽曲は、とても壮大な楽曲になっています。春節なので中華圏の文化ですが、どこか日本的な感じもしたりと、いろいろな文化が入り交じった面白い音楽になっています。昨日も稽古の一環として、春節の獅子舞を練習されている学生さんたちの踊りを見学させてもらって、すごく面白かったです。「課外授業」と言って、連れていっていただきました(笑)。
−稽古場の雰囲気はいかがですか。
クリエーティブに楽しくやらせてもらっています。振付の黒田育世先生がワークショップをやってくださったり、みんなで舞台セットの転換を考えたりする時間もあったりと本当にみんなで作っていくという雰囲気が強い現場だと思います。それに一色さんがとても柔らかく優しく温厚な方なので、平和な雰囲気です。
−座長がそういう方だとカンパニー全体が和らぎますね。
一色さんのおかげで和らいでいます。それに卓卓さんはゆるキャラみたいで優しい方です(笑)。益山さんも「俺のことはボスと呼んでくれ」と話すような面白い方なんです(笑)。稽古が始まってまだ1週間ちょっとですが、もはや身内みたいな気持ちで臨んでいます。少人数のカンパニーで、一体感も生まれていて、強い結束力を持って本番の舞台に立てるんじゃないかと思います。
|
|
−一色さんのほかに、作中でソチと絡みの多いウチとアクを演じる坂口涼太郎さんの印象は?
坂口さんはウチとアク以外にもいろいろな役を演じられますが、本当にいろんな面を見せていただいて、とても器用な方です。それと、おしゃべりが好きで、みんなといる時間をすごく楽しんでいる印象です。
−振付の黒田さんが主宰するダンスカンパニーBATIKから大江麻美子さんと岡田玲奈さんも出演されますが、BATIKの方たちから受ける刺激はありますか。
黒田さんがいろいろと編み出したものをワークショップで教えていただいていますが、ダンスを踊っている姿はまだ見られていなくて。早く見たいなと思っているところです。ちょっとした振付の中の繊細さや、表現力の高さみたいなところはハッとさせられます。それから、セットの転換時に楽しく転換していく雰囲気が今のところあり、大江さんと岡田さんのお二人が率先してダンスでとても面白い転換にしてくれています。
−人を助けるヒーローたちの物語ということで、ご自身にとってのヒーローや、尊敬や憧れの方がいたら教えてください。
まずはLDH社長のHIROさんです。本当に細かいところまで気にしてくださっていて、私はもうアーティストではないので、直接お会いする機会は減りましたが、その中でもすごく気にしてくださるんです。何か困ったことはないかとか、仕事はどうなのかとか、連絡をいただけるというのはやっぱりうれしいです。いつも気にしてくださっているということがとても励みになります。なので、私も関わった大事な人たちを忘れないでいたいし、いつも愛を持って接することができるようにいたいと思っています。
女性ですと、本田美奈子さんです。お会いしたことも直接お芝居を拝見したこともないのですが、ミュージカル「レ・ミゼラブル」のオーディションでエポニーヌ役を受けるときに先代のエポニーヌを映像などで調べていて、そこで本田さんのエポニーヌに魅了されてしまいました。映像ではありますが、本田さんのお芝居を見ると、頑張ろうと思えるんです。本田さんが本気で舞台に生きている感じがして、そこが映像でも伝わるので、生で見ることができた人にはどんな感動があったんだろうと考えると、うらやましい限りです。本田さんのように舞台で生きられるようになりたいとずっと思っています。
−最後に作品を楽しみにされている方々へメッセージをお願いします。
どんなお話なのだろうかとワクワクされていると思いますが、見た目でも楽しく飽きのこない作品だと思います。ぜひ心で感じに来ていただけたらなと思います。そして、1回では理解できる部分が少ないかもしれないので、舞台は同じ時間を何回も過ごせるということで、2回、3回とお時間ありましたら見に来ていただけると、今まで見えなかった世界が見えてくるかもしれません。ぜひ劇場へいらしてください。
|
|
(取材・文・写真/櫻井宏充)
音楽劇「愛と正義」は、2月21日〜3月2日にKAAT神奈川芸術劇場〈中スタジオ〉で上演。
![](https://tvfan.kyodo.co.jp/wp-content/uploads/2025/02/0d40a5e4a645fc6b96e767d64ac0878e-366x516.jpg)