小林可夢偉をはじめとするTGR関係者と喜びを分かち合う中村仁(R-ace GP) 2月7〜9日、2025年フォーミュラ・リージョナル・ミドル・イースト選手権(FRMEC)の第3大会がドバイ・オートドロームで開催された。今大会には4名の日本人ドライバーが参戦するなか、レース2でTOYOTA GAZOO Racingドライバー・チャレンジ・プログラムの中村仁(R-ace GP)がFR初優勝を飾った。
2025年シーズンのFRMECは1月中旬から2月末までの冬季かつ短期間で全5大会15レースが開催される。今大会からは中村、りー海夏澄(ARTグランプリ)、ホンダ・フォーミュラ・ドリーム・プロジェクトの加藤大翔(ARTグランプリ)に加え、山越陽悠(ピナクル・モータースポーツ)がエントリー。日本人ドライバーが4名参戦することになった。
レース1のスターティンググリッドは予選Q1のタイム順、レース2のスターティンググリッドはレース1順位のトップ10リバースグリッド、レース3のスターティンググリッドは予選Q2のタイム順で決せられるなか、Q1、Q2ともにエバン・ギルテール(ARTグランプリ)が最速タイムをマークし、ダブルポール獲得。日本勢のQ1は海夏澄が7番手、加藤が8番手、中村が9番手、山越が14番手。Q2は中村が8番手、山越が9番手、海夏澄が11番手、加藤が12番手といずれも中段に並んだ。
レース1では3番グリッドスタートのウーゴ・ウゴチュクウ(R-ACE GP)がトップに浮上すると、そのままトップを譲らず。マクラーレンの育成プログラムに所属し、2024年の第71回マカオグランプリウイナーであるウゴチュクウがレース1を制した。日本勢最上位は海夏澄の6位。加藤が9位、中村が10位。山越は終盤、最終コーナー立ち上がりでエルネスト・リベラ(ピナクル・モータースポーツ)と接触しチェッカーは叶わず、完走扱いの26位となった。レース1はこのアクシデントに起因する赤旗で終了を迎えている。
なお、このレース1の結果により、中村がレース2のリバースポールを獲得。加藤がフロントロウに並び、レース2は日本人ファンにとっても注目が集まる一戦となった。ポールスタートの中村はターン1のホールショットを守り、レース2をリード。一方、加藤はフレディ・スレーター(ムンバイ・ファルコンズ)、エンツォ・デリニー(R-ace GP)にかわされ4番手でオープニングラップを終えた。
中村は序盤から好ペースを刻み続け、2番手のスレーターとの間合いを徐々に引き離しにかかる。ただ、レースも中盤に差し掛かろうかというタイミングでスレーターがペースアップ。中村との間合いを縮め、レース後半を迎えるとトップ2台はテール・トゥ・ノーズとなり、中村とスレーターの激しい攻防戦が幾度となく展開される。
ターン1、そしてバックストレートエンドのターン10でスレーターはオーバーテイクを仕掛けるが、中村は隙を与えない。2台の戦いは一旦は均衡状態となるも、終盤残り5分というタイミングでスレーターがスパートをかけたことで再び激しい戦いとなる。スレーターはターン10の飛び込みで中村のインに入ったが、続くターン11では中村がインに差し返す。
残り4分というところで2台はホームストレートで並んだ。お互いを牽制し合いながらも中村が首位をキープする。その後もスレーターはオーバーテイクの機会を伺うも、中村が最後まで巧みなディフェンスを見せつけ、トップチェッカー。FRMEC参戦8レース目で初優勝を飾った。そのほかの日本勢は海夏澄が10位、加藤が12位、山越は19位となった。
なお、今大会には小林可夢偉が中村の応援に訪れており、レース2終了後には中村とともに優勝を喜ぶ姿を見せた。
続くレース3ではポールシッターのギルテールとフロントロウスタートのウゴチュクウがターン1までサイド・バイ・サイドとなるも、アウト側のギルテールがトップを守る。そんな中、オープニングラップのターン6で海夏澄を含む4台が絡むアクシデントが発生。右リヤサスペンションにダメージを負った海夏澄はここでレースを終えることに。
オープニングラップのアクシデントでセーフティカー(SC)が導入。ローリングでリスタートを迎えると、ギルテールがレースを支配する。残り15分、ターン7で3台が絡むアクシデントが発生し、2度目のSC導入に。3台のリタイア車両の回収に時間がかかり、2度目のリスタートを迎えると、レースは残り2周となった。
終盤、8番手山越が7番手ブランド・バドエル(PHMレーシング)の背中を果敢に追ったが、チェッカーまでにはポジションを上げることは叶わず。レース3はギルテールが今季3勝目を飾った。日本勢は山越が8位、加藤が10位、中村が12位、海夏澄がリタイアとなった。
第3大会を終えて、ギルテールがポイントランキング首位をキープ。ランキング2位にスレーター、ランキング3位にブランド・バドエル(PHMレーシング)が続いている。日本勢最上位は中村のランキング8位。海夏澄がランキング9位、加藤がランキング10位、そして今大会から参戦の山越がランキング16位で続いている。
フォーミュラ・リージョナル・ミドル・イースト選手権(FRMEC)、次戦第4大会は2月14〜16日にヤス・マリーナ・サーキットで開催される。引き続き、世界の若手と戦いを繰り広げる日本勢の活躍に期待したい。