今冬は豊作!深夜ドラマベスト3。『私の知らない私』も見応え抜群だけど、飯テロで「泣いてしまう」No.1作品は

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2025年02月11日 16:20  女子SPA!

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画像:テレ東・BSテレ東 7ch『晩餐ブルース』公式サイトより
1月開始の冬クールドラマが出揃いました。年間100本以上の日本ドラマをチェックするアラフォー筆者。この冬地上波の深夜帯(23時以降放送)に放送されている“深夜ドラマ”のなかから、特におすすめの3作品をご紹介します。

◆私の知らない私

この冬クールの深夜は、ミステリー系の良作が目立ちます。佐々木希が主演で、渋谷凪咲の怪演も光る『地獄の果てまで連れていく』(火曜よる11時56分〜、TBS系)や、関水渚が主演で、妙な世界観から目が離せない『家政婦クロミは腐った家族を許さない』(金曜よる12時12分〜、テレビ東京系)など、それぞれに面白さがあります。

そんなミステリードラマのなかでも、小野花梨が連続ドラマで初の単独主演を務める『私の知らない私』(木曜よる11時59分〜、読売テレビ・日本テレビ系)はおすすめ! 原作なしの完全オリジナルストーリーです。

主人公の羽田芽衣は、山中で倒れていたところを病院に運ばれ、1か月後に目が覚めると1年間の記憶がすっぽりと抜け落ちた状態でした。身に覚えがないのに、婚約者だという男性が登場し、自身は憧れの仕事に転職していた上に、高校時代に亡くなったはずの親友にも再会。しかし、それらは全て、嘘にまみれていました――。

◆30代を目前にした女性の不安定さや葛藤に引きこまれる

殺人疑惑をかけられたり、同僚から思いもかけない事実を突きつけられたりして、大切なものを奪われていく主人公。婚約者と名乗る男を演じる小池徹平や、芽衣に人殺しの疑いをもつ同僚の兵頭功海らの熱演が、展開力のあるサスペンスを引っ張り、萩原聖人や酒井美紀、石黒賢らがしっかりと脇を固めています。

なかでも見どころは、主人公の小野花梨、そして友人を演じる馬場ふみか、渋谷凪咲の演技。10代ならではの友人関係と繊細で無垢な心情描写から、30代を目前にした29歳の女性がもつそれぞれの不安定さを丁寧に表現。徐々に事実が明らかになっていくミステリーの要素はもちろんですが、ヒューマンドラマとしても見応えがある作品です。

◆御曹司に恋はムズすぎる

深夜帯の王道ラブコメも盛り上がっています。塩野瑛久がイケメンなのに不器用な夫という新境地が眩しい『五十嵐夫妻は偽装他人』(水曜よる12時30分〜/テレビ東京系)や、妻と“したい”のにさせてもらえない残念すぎる夫役・風間俊介の熱演が光る『それでも俺は、妻としたい』(土曜よる12時55分〜/テレビ大阪・BSテレ東)は、何も考えずに楽しめます。

中でも『御曹司に恋はムズすぎる』(火曜よる11時〜/カンテレ・フジテレビ系)は、分かりやすいラブコメとして良質。大手アパレルメーカーの超ワガママ御曹司・昴(永瀬廉)が、超庶民派で堅実なまどか(山下美月)に恋をする物語。御曹司×庶民女子の恋は超王道のラブコメであり、今のところ順調に“手はずどおり”展開しています。

◆永瀬廉のコミカルな痛々しさがもはや癒し

最大の見どころは、コミカルな永瀬の演技です。永瀬といえば今まで少し影のある役が多く、アンニュイな雰囲気が魅力と思っていたので、「ラブコメはどうだろう?!」と思っていましたが、おみそれしました! 何でも自分の思い通りになってきた稀代のナルシストを“愛される勘違いお坊ちゃん”としてコミカルに、チャーミングに演じています。

幼少期、祖父に「絶対に電車に乗っちゃいけない」と言われたことから、電車に乗ることを本気で怖がる様子とか。まどかのことが気になってストーカーっぽくなっちゃう姿とか。いちいちツボすぎます。見た目は圧倒的に御曹司の永瀬ですが、俺様っぷりがとことん痛い――のに、意外と真面目な姿がやたらと母性をくすぐります。もはや癒し!

◆晩餐ブルース

そして、この冬クールの深夜ドラマで筆者が最もおすすめなのが『晩餐ブルース』(水曜深夜1時〜、テレビ東京系)。ここ数年で名作には欠かせない俳優となった井之脇海と金子大地のW主演作です。

テレビ局でドラマの監督という夢を叶えたものの、多忙すぎる日々でエサのように食事をとる田窪優太(井之脇海)と、料理人としてレストランで働いていたがドロップアウト、人生休憩中の佐藤耕助(金子大地)。このふたりが、ただ、晩ご飯を一緒に食べるだけの“晩餐活動”(略して晩活)をするという物語です。

◆ご飯を食べることの大切さが心に沁みる

同じくテレ東の食事系ドラマでいえば、蓮佛美沙子とトリンドル玲奈のW主演で、共に夕食を食べ会話することで前を向いていくシスターフッドが反響を呼んだ『今夜すきやきだよ』(2023年、原作:谷口菜津子・新潮社)も素晴らしかったです。同作で脚本を手掛けた山西竜矢氏とプロデューサー・本間かなみ氏が、今度は男性を主人公に新たなグルメドラマを描いています。

男も女も関係なく、夢を叶えようとも叶えていなくとも、みな日々葛藤を抱えている。第1話の優太の涙はとても印象的でした。やりたかった仕事をしているのに、冷たいパンをかじりながら死んだ魚のような目をしている。夜ベッドで「やることリスト」をスマホに打ち込みながら流れる一筋の涙。そして耕助が作った温かい「ほろほろお肉のカレーライス」を食べて涙する井之脇の演技は圧巻でした。思わずもらい泣き。

飯テロを得意とするテレ東らしい“ご飯”の魅せ方はもちろんですが、何よりもドラマ全体から“優しさ”を感じられる作品に仕上がっています。疲れきったときこそ温かいご飯を食べて、誰かと他愛もない会話をして、明日も頑張ろうと思わせてくれる良作です。

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この他、シリーズ第3弾の『最高のオバハン中島ハルコ〜マダム・イン・ちょこっとだけバンコク』(土曜よる11時40分〜、東海テレビ・フジテレビ系)、『ペンション・恋は桃色 season3』(水曜深夜12時25分〜/フジテレビ関東ローカル)も、前シリーズから変わらない安定的な面白さ! この冬クールも深夜ドラマから目が離せそうにありません。

<文/鈴木まこと>

【鈴木まこと】
日本のドラマ・映画をこよなく愛し、年間でドラマ・映画を各100本以上鑑賞するアラフォーエンタメライター。雑誌・広告制作会社を経て、編集者/ライター/広告ディレクターとしても活動。X:@makoto12130201

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