※画像はイメージです 現在は東海道・山陽・九州・西九州の各新幹線の各車両の最後尾の座席後ろやデッキに設けられている特大荷物置き場。
3辺の合計が160〜250cmの場合、特大荷物に該当し、JR東海のホームページでは《車内に持ち込む場合は「特大荷物スペースつき座席」または「特大荷物コーナーつき座席」をご予約ください》と書かれている。
だが、実際にはそのルールを無視して勝手に荷物を置く者が後を絶たない。しかも、その多くは訪日観光客だと言われており、最近は各メディアでこの問題を取り上げている。
◆外国人による特大荷物スペースの不法占拠の現場を目撃
出張で東海道新幹線を月に数回利用する会社員の高田一平さん(仮名・42歳)も特大荷物スペースの不法占拠を目の当たりにしたことがある。
「昨年の夏ごろです。東京駅から乗車した若い白人カップルがスーツケースなど自分たちの荷物を車両の最後尾の座席と壁の隙間にある特大荷物スペースに置いていました。でも、何食わぬ顔して置いていたため、ちゃんと予約したのだろうと思っていたんです」
ちなみに白人カップルが座ったのは、車両の中央の座席。特大荷物スペースつき座席を予約していた場合、最後部座席に座るため、この時点で不法占拠の可能性が高かったが、利用したことがない高田さんはそこまで詳しく知らなかった。
新幹線はそのまま定刻通りに東京駅を出発。6〜7分で次の品川駅に到着したが、ここで乗り込んできた20代くらいの若い男性が一緒にいた連れの男性に「荷物置かれてるんだけど……」と困惑した様子で話す。
高田さんは最後尾から2列目の座席だったため、彼らのやりとりがはっきりと聞こえた。そこで外国人が特大荷物スペースを不法占拠したとわかったそうだ。
「連れの男性は『外国人が勝手に置いたんじゃね? 最近、そういうトラブルが多いって記事をネットニュースで読んだことがあるし』と話すと、『マジかよ……。どこのどいつだよ、そんなことした野郎は』と文句を言ってました。
でも、彼らは諦めるわけでも車掌さんに訴えることもしなかった。なんと勝手に置いていた白人カップルのスーツケースなどを特大荷物スペースから引きずり出し、デッキの通路脇に放置したんです」
◆自分たちの荷物がデッキの通路脇に放置され、騒ぎ出す外国人
荷物をどかしてから改めて自分たちの荷物を置き、何事もなかったかのように最後尾の座席に座った若者2人組。
すると、それからしばらく経った後、トイレに向かおうとした白人男性がここで自分の荷物がデッキに放置されていることに気づく。独り言のように何かを呟きながら騒いでいたそうだ。
その様子を眺めていた高田さんは、彼と目が一瞬合ってしまう。そのため、事情は全部知っていたが、「どうされましたか?」と英語で尋ねたという。
「白人男性は『荷物を勝手に別の場所に置かれた!』と文句を言っていたため、ここは事前予約が必要な荷物スペースですけど、当然予約されていたんですよね、と尋ねたんです。そしたら『予約はしてない』って答えたから、じゃあ置いちゃダメですよ。ルールなんですからと言ったんです」
だが、そう話してもまったく納得した様子はなく、「そんなルールは知らない!」と騒ぐ始末。そこで英文で書かれていた説明を指さした高田さん。そのうえで「あなたの国では、決められたルールや法律を破っても『知らない』と言えば許されるんですか?」とあえて聞いてみることに。
◆外国人だから「ルールを知らない」は通用しない
「そうしたら少しバツが悪そうに『そんなことはないけど……』とトーンダウンしたため、だったらルールを守りましょうよ。ここは日本ですし、荷物を盗まれたりはしませんから、と話しました」
結局、白人男性はスーツケースをそのままデッキに置き、バックパックなどの他の荷物は自分たちの座席上の棚に置き直した。なお、彼が特大荷物スペースから立ち去った後、もともと予約していた若者2人組は高田さんに向かって頭を下げていたそうだ。
「別に善意でやったというよりは、ルールを守らない白人カップルに私自身思うところがあったので。英語での説明書きがされている以上、知らないでは通用しないと思うんです。まあ、その白人男性は大柄でもマッチョでもなかったから私もビビらずに言えたっていうのもありますけどね(笑)」
事前予約が必要な以上、利用したければ前もって申し込んでおくべき。日本人だろうが外国人であろうが関係ない。決められたルールはしっかりと守ってもらいたいものだ。
<TEXT/トシタカマサ>
【トシタカマサ】
ビジネスや旅行、サブカルなど幅広いジャンルを扱うフリーライター。リサーチャーとしても活動しており、大好物は一般男女のスカッと話やトンデモエピソード。4年前から東京と地方の二拠点生活を満喫中。