
【動画】『聖なるイチジクの種』モハマド・ラスロフ監督インタビュー映像
本作は、イランで2022年に実際に起き社会問題となった、ある若い女性の不審死に対する市民による政府抗議運動の苛烈化を背景に、家庭内で消えた一丁の銃を巡って家族の顔があぶり出されていくサスペンススリラー。 第77回カンヌ国際映画祭で審査員特別賞を受賞し、先日発表された第97回アカデミー賞では国際長編映画賞にノミネートされた。
これまで手がけた数々の作品がイラン国家に対して反政府的だとして、逮捕・投獄されてきたラズロフ監督。本作撮影時も、警察に踏み込まれた場合はスタッフやキャストたちにも危険が及ぶ可能性が高かったため、自身が現場に入ることができなかったことが多かったと言う。
「近くにいて、オンラインで、撮影見ていたことも」「全てが制約に縛られていた」と当時の状況を述べつつ、脚本を書くときはいつもこの特殊な事情を考慮しながらストーリーを作っていたことや、ある家のセットの中に、どうしても“独房“のような場所を作りたかった理由のほか、「国境を越え、さまざまなジャンルを融合させることを意識」「批評家から非難されるかもしれないと思いながらも私はそれを大いに楽しみました、この自由さが私には楽しかった」と振り返り、そして「<この映画が完成することはないだろう>と よく自分に言い聞かせていました」「だから自分の好きなように 自由に物語を語るべきだと思いました」と当時の覚悟を明かしている。
本作撮影後に、懲役8年、むち打ち、財産没収の実刑判決を受けた監督は、2024年にイラン国外への脱出を決意。28日間かけてカンヌ国際映画祭に足を踏み入れ本作のプレミアに参加、審査員特別賞を受賞するという快挙を成し遂げている。
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