勝田貴元(トヨタGRヤリス・ラリー1) 2025年WRC第2戦ラリー・スウェーデン 2月13日(木)から16日(日)まで、北欧スウェーデンで開催された2025年WRC世界ラリー選手権の第2戦『ラリー・スウェーデン』に、TOYOTA GAZOO Racingワールドラリーチーム(TGR-WRT)からは3台のトヨタGRヤリス・ラリー1が出走し、全車が完走を果たした。
エルフィン・エバンス/スコット・マーティン組(33号車)は総合優勝を飾り、勝田貴元/アーロン・ジョンストン組(18号車)は2位表彰台、カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン組(69号車)は5位完走となって全車がトップ5入りを果たす好成績を収めた。さらに若手育成チームのTGR-WRT2からも1台が出走し、サミ・パヤリ/マルコ・サルミネン組(5号車)が7位完走となっている。
開幕戦ラリー・モンテカルロでワン・ツーフィニッシュを飾ったTGR-WRTは、勢いそのままにラリー・スウェーデンへと乗り込み、ヒョンデ・シェル・モービスWRTとの激しい主導権争いを勝ち取って前半からラリーをリードした。
そして迎えた最終日デイ4は、サービスパーク『ウーメオー』の北東エリアに展開する『ベステルビーク』のステージをSS16/17として2回走行した後、最終のSS18『ウーメオー』における観客ステージにて華々しくフィニッシュ。3本のステージの合計距離は67.32kmとなった。
この日のウーメオー周辺は早朝からやや雲が多く、気温はマイナス10度程度。ステージの路面は最終日もしっかりとしたアイスに覆われ、絶好のコンディションが保たれた。ただし、夜中に降った雪によりステージの一部路面は少量の新雪に覆われ、出走順が早いドライバーたちにとってはやや不利な走行条件にもなっていた。
土曜日のデイ3終了時点で、首位エバンスと総合2番手の勝田の差は3.0秒とわずかしかない。2台による激しいトップ争いは最終日も続き、ベステルビーク1本目のSS16では、勝田がベストタイムを刻んだことで、ふたりの順位が入れ替わった。
しかし、4.5秒の遅れを取ったエバンスは再走ステージ(SS17)で反撃し、勝田より8.2秒も速い圧巻のベストタイムをマーク。1本のパワーステージを残す最終盤で再逆転し、首位を奪還する。
そして、3.7秒差で迎えた最終のパワーステージにて、エバンスが2番手タイムの勝田に0.2秒差のベストタイムを記録し、差を3.8秒に拡げて今シーズン初優勝、WRCキャリア10勝目を飾った。なお、ふたりの勝敗を分けた3.8秒は、ラリー・スウェーデンの歴史において最僅差の決着となった。
一方、前日に総合5番手まで順位を上げていたロバンペラは、オープニングのSS16で3番手タイムを、SS17で5番手タイムを、パワーステージのSS18で4番手タイムを記録し、ポジションキープの総合5位でフィニッシュ。また、スーパーサンデーでも5位に入る結果となった。そしてTGR-WRT2から出場したパヤリは、最終日も確実性を最優先した走りで経験を積み重ね、総合7位でラリーを終えている。
陣営内の2台による激しい戦いの末、チームにとって最高の結果を得たヤリ-マティ・ラトバラ代表は、「今回のラリー・スウェーデンは信じられないような接戦となり、我々のドライバーふたりが優勝を争う最終日は、神経がすり減るような展開になった」とその緊迫を言葉にする。
「エルフィンと貴元の戦い方、そして彼らの精神的な強さに、私は本当に誇りを感じている。エルフィンは1本目のステージで首位を失った後、2本目のステージで反撃に転じていた」
「そして貴元は、すでに勝つための準備ができており、プレッシャーがかかる状況でもミスを犯さず、素晴らしいパフォーマンスを維持できることを示した」
「ラリー全体を通して上位のドライバーたちの間には数秒の差しかなく、このような戦いが3日間も続いたことは素晴らしいことだろう」
「そして何よりも、我々のチームが最初の2戦で120ポイントという最大限のポイントを獲得できたということは、これ以上は望めないほど最高のシーズンスタートを切れたということだ。次のサファリラリー・ケニアも今から楽しみだね」
2025年WRCの次戦は、アフリカのケニアで開催されるグラベルラウンド『サファリ・ラリー・ケニア』。3月20日(木)から23日(日)にかけて開催される予定だ。