テクニクスの最上位イヤフォン「EAH-AZ100」を試す 進化したマルチポイント接続が便利すぎ! 音質も妥協なし

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2025年03月17日 16:31  ITmedia Mobile

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テクニクスの最上位イヤフォンEAH-AZ100をレビューする

 2025年も既に多くの機種が登場しているワイヤレスイヤフォン。そんな中、日本でも発表直後から大きく注目されている、パナソニックのTechnicsブランドの完全ワイヤレスイヤフォン「EAH-AZ100」を実際に1カ月使ってみたので、レビューする。パナソニック直販サイトでの価格は3万9600円(税込み、以下同)。


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●マルチポイントが進化、接続時の「先勝ち」「後勝ち」を選べるように


 今回レビューするEAH-AZ100ではマルチポイント接続が進化しており、実際に使って特に進化を感じられた。本機種は後述の磁性流体ドライバーを採用したことによる高音質をアピールする機種だが、筆者はこのマルチポイント接続が最もうれしい機能だと感じた。


 中でもイチオシのアップデートが接続時の「先勝ち」「後勝ち」を選択できるようになった点だ。1台目のデバイスから音声を再生中に2台目のデバイスから音声を流した場合、「先に再生していた方を優先させる」と「後から再生した方を優先させる」をイヤフォン側から選べるようになる。


 ワイヤレスイヤフォンのマルチポイント接続で、接続時の挙動を選べる機種は少ない。通話に関しては2台目の機器に着信があった場合、着信音を鳴らすか否かの選択もできる。


 そして、テクニクスのワイヤレスイヤフォンの機能として便利と感じたのが、同社の製品ではおなじみになりつつある「3台マルチポイント接続」だ。これは3台の端末と同時に接続でき、着信を受け取れるというもの。この機能はEAH-AZ100だけでなく、2023年に発売されたEAH-AZ80、EAH-AZ60M2、EAH-AZ40M2でも利用できる。


 一般にマルチポイント接続といえば、2台の端末に接続してどちらからも着信を受け取れるもの。ここにもう1台接続できるようにした機能が、テクニクスの3台マルチポイント接続機能だ。


 特に会社支給の携帯電話を持つユーザーにとってメリットが大きく、ビジネスユーザーの利用シーンをしっかり想定していると感じた。コロナ禍を経てリモートワークの普及、各種講演やセミナーなどがオンライン化したこともあって、PCを使って通話するシーンが増えた。PCで会議している際に、常時2台の端末と接続できるのが便利で、プライベートと仕事用の端末両方の着信を受け取れる。


 セキュリティ対策やリモートワークの浸透を理由に、会社から携帯電話を支給されている人の数も増えている。2024年にMMD研究所が行った「法人向け携帯電話の利用実態調査」によると、仕事で利用する携帯電話のうち「会社から業務用の携帯電話を支給されている」と答えた方が、全体で31.5%とおよそ3分の1を占めた。また、大企業だけで見ると43.4%となり、会社から携帯電話を支給される傾向が強い。


 普段のマルチポイント接続+会社支給の携帯電話。この潜在需要にテクニクスは目を付けたのだろうと評価したい。


●AirPodsのように同じOSの製品でなくても、3台まで接続を切り替えられる


 ここで「AppleのAirPodsでも同じことができる」と指摘する人も多いだろう。しかし、この手の連携機能には端末の相性に制約がある。AirPodsの場合、同一のAppleアカウントにひもづくiOS(iPhone)、iPad OS、MacOSの端末間であれば、音声コンテンツの再生時にシームレスに接続先を切り替えられる。実質的なマルチポイント接続機能であり、iPadとAirPodsを接続していてもiPhoneの着信に応答したり、MacでWeb会議に参加したりできる。


 便利な一方、これは必然的に身の回りをApple製品で固めなければならず、汎用(はんよう)性という面では劣る。また、会社から支給されるiPhoneの場合、個人のApple IDが利用できない場合も多い。この場合、AirPodsを接続したからといっても、高度な連携機能は一部利用できない。


 一方で、テクニクスの「3台マルチポイント接続」は接続する端末のプラットフォームを選ばないことが大きな利点。iPhoneとAndroidスマホにWindows PCといった全てOSが異なる組み合わせでも問題なく接続できる。


 会社で使う業務用PCはWindowsのケースも多く、会社支給の携帯電話が必ずしもiPhoneというわけでもない。EAH-AZ100はそのような場面でもしっかり対応できる点が優秀すぎると評価したい。


 1カ月利用した限り、マルチポイント接続機能に関してEAH-AZ100は秀でていると評価したい。筆者もいろいろなメーカーのイヤフォンを使用してきたが、先勝ち、後勝ちの設定で端末間の意図しない接続の切り替えによる誤作動を防げる点はありがたい。


 特にタブレット端末を子どもの動画用端末として使う場合、イヤフォンをスマートフォンに接続したはずなのに、意図しないままタブレットの音声に切り替わってしまう状況を防げるのだ。


 3台接続機能は、接続先の環境を選ばない点で非常に助かっている。PCでもタブレット端末でも、サブスマホでも。アプリやOSのエコシステムに依存せず、あらゆる環境で使える点は他社商品にない強みだ。


 意外なところでは、2台のマルチポイント接続でLDACコーデックが利用できるのも地味ながらうれしい。機種によっては、マルチポイント接続の設定にすると高音質コーデックを利用できなくなることもあるため、音質を求める本機種ではありがたい仕様だ。


●ワイヤレスでもしっかり高音質、ノイキャンや外音取り込みも優秀


 EAH-AZ100はテクニクスの最上位機種というだけあって、高音質仕様のハードウェアを採用している。本機種には同社が13万2000円で販売していた有線イヤフォン「EAH-TZ700」とほぼ同じドライバーユニット「プレジョンモーションドライバ」が採用されている。


 このドライバーユニットは10mm口径のアルミ振動板に加え、振動板周囲を柔らかいエッジで支えるフリーエッジ構造を採用。今作のアピールポイントである磁性流体を潤滑油のように用いることで、ゆがみを抑えてより滑らかに振動板を駆動できるようにした。


 対応コーデックはハイレゾ対応の高音質コーデックLDACに対応し、次世代規格のLEAudioにも対応している。これによって、幅広い周波数帯域で色付けのないきめ細かな再生と広いサウンドステージを実現したとのこと。


 実際にEAH-AZ100を聴いてみると、完全ワイヤレスイヤフォンとは思えない高品質なサウンドに驚いた。特に量感のある低域、空間表現のうまさは特筆できる部分で、基本性能は前作のEAH-AZ80からしっかり進化したように感じる。


 高域のキラキラ感はやや抑え目ではあるものの、音の立ち上がりのよさとサウンドステージの広さから来る抜けのよさを備える。ボーカルの表現は柔らかく、つややかな表現が魅力的。全体的に「生き生きとした様子」を感じ取れるという表現が適切だと思う。ディップやピークの設定が非常に考えられており、メーカーのアピールする「生音」の雰囲気が伝わってくる。音楽の必要な部分を余すことなくしっかり表現する、いい音作りがされたイヤフォンだ。


 筆者はイヤーピースを COREIR コレイル BRASSに換装しているので、標準イヤーピースと比較すると高域がやや前に出てくるように感じる。少々低域が強いと感じる人におすすめの交換用イヤーピースだ。耳の奥に入ることもあって、より高いフィット感を得ることもできる。


 同社広報によると、EAH-AZ100の基本的なサウンドチューニングはLDACの設定で行っているとのことで、より高音質で楽しむためにはLDAC対応のスマートフォンや音楽プレーヤーと組み合わせたい。一方、iPhoneのAACコーデックでも十分高音質で楽しめたので、コーデックによって大きく音が変わることのない機種という印象だった。


 フィット感もより良好な仕上がりへと進化した。耳のくぼみ(コンチャ)にきれいに収まる設計としており、高いフィット感を備えている。先代のEAH-AZ80よりも本体がコンパクトになったことで、より多くの人にフィットするようになった。


 ノイズキャンセリング性能や外音取り込み機能も進化した。ノイズキャンセリングは特に低域の処理能力が向上したように感じた。AZ100にてアダプティブ処理が追加され、周囲ノイズ量に合わせて感度を自動調整できるようになっている。


 外音取り込み機能は周囲の音をより違和感なく取り込めるようになった。この部分はAppleのAirPods Proに引けを取らないレベルに進化しており、Galaxy Buds3 Proなどの好評な機種に匹敵する。もちろん、付けた状態での会話もしっかり行える。


 通話時の品質も抜群によい。EAH-AZ100では風切り音の抑制や利用者の声を拾う性能も高く、通話シーンでストレスを感じる場面はなかった。通話相手の環境音ノイズをAI処理で抑える「Voice Focus AI」も搭載。相手方のノイズが大きい場面でも、AZ100側の内蔵チップでAI補正をかけ、音声を聞き取りやすくしてくれる。これは普段の通話よりも、会場マイクを使ったZoomミーティングなどでその効果を体感できた。


 EAH-AZ100は音質重視の構成ながら、前述のマルチポイント接続をはじめ機能面にも抜かりはない。専用アプリも備えており、各種設定やソフトウェアアップデートはアプリから行える。各種モードの切り替え、イコライザーの設定の他、タッチセンサーのカスタマイズも可能。接続も簡単で、Google Fast Pairに加えてWindows PCのSwift Pairにも対応しており、煩わしい設定は不要で接続できる。


●機能面も音質も最高クラス 2025年最注目のワイヤレスイヤフォン


 本機種はテクニクスの最上位ワイヤレスイヤフォンとして、音だけでなく、機能面もしっかり作りこんでおり、どのような環境で使ってもしっかり使えると感じた。実売3万9600円と決して安くはないが、プライベートもビジネスもこれ1つでしっかり対応できると考えると、価格以上の価値を感じられる。


 パナソニックグループの商品だけあって、販路は日本のみならずアジア、欧州、北米などとかなり広い。日本市場はその中でも特に力を入れており、価格面だけでなく地方の家電量販店で試聴できるのもうれしい。ある程度の規模の量販店なら、実機を用いてお手持ちのスマートフォンなどを試せる。


 完全ワイヤレスイヤフォンに高音質を求める人はもちろん、ノイズキャンセリングやマルチポイント接続といった機能面も妥協できない。そんな欲張りなあなたの声にしっかり応えられる相棒がEAH-AZ100だと考える。中でもマルチポイント接続の機能性を求めるなら、テクニクスのイヤフォンをチェックしてみてはいかがだろうか。


●著者プロフィール


佐藤颯


 生まれはギリギリ平成ひと桁のスマホ世代。3度のメシよりスマホが好き。


 スマートフォンやイヤフォンを中心としたコラムや記事を執筆。 個人サイト「はやぽんログ!」では、スマホやイヤフォンのレビュー、取材の現地レポート、各種コラムなどを発信中。


・X:https://twitter.com/Hayaponlog


・Webサイト:https://www.hayaponlog.site/



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  • 端的に伝えるぞ、こうして長々とどうでもいい機能や背景についてダラダラ書くってのは、最大の魅力として推せるところが何もないって言っている様なものなんだ。詐欺の手口だな。
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