『佐藤さんと佐藤さん』(C)2025「佐藤さんと佐藤さん」製作委員会天野千尋監督の最新作『佐藤さんと佐藤さん』が、2025年秋に公開されることが決定。岸井ゆきのと宮沢氷魚がW主演を務める。
監督を務めるのは、2020年公開の映画『ミセス・ノイズィ』でその人間の機微を絶妙に描き、監督としての手腕が注目されている天野千尋。最新作となる本作では、“夫婦”をテーマに夫と妻はなぜすれ違うのかを描いていく。
佐藤さん同士が付き合い、結婚、出産を経て見えた「夫婦」のカタチ。結婚しても離婚しても苗字は変わらない。でも夫婦は常に変化していくもの。その変化にどう順応していくのか…。家事育児、日々のこと、そして未来のこと。夫婦の行き違いを真正面から描く。
オリジナルで本作を描いた天野監督は、「オリジナルの醍醐味は、果てしなく広がる自由な世界の創造主になれることですが、それはこの上なく孤独で苦しい道のりでもあります。だからこそ共に歩んでくれる脚本の熊谷さんの存在が大きな力になっています」と、2006年『はっこう』でPFF2006グランプリ、ゆうばり国際ファンタスティック映画祭審査員特別賞など受賞した熊谷まどかとの共作をふり返る。
さらに、今回佐藤サチ役に迎えた岸井ゆきのの印象を「岸井さんは、ひと言でいうなら『芯』の人です。芯がある人、という表現ではもの足りない、芯そのものという感じ。ひとつも嘘のない、誠実でまっすぐな芝居を見せてくれました」と語る。
また、佐藤タモツ役に迎えた宮沢氷魚を「宮沢さんはとにかく慈しみ溢れる人で、佐藤保という人物に愛情を注ぎ、大事に大事に育ててくれたと感じています。その温度は今もなお画面からも溢れてきて、私の心を温めてくれます」と見た目も中身も凸凹なふたりを演じた俳優に賛辞をおくる。
今回W主演の芯が強く明るい佐藤サチ役として参加した岸井ゆきのは、「どうして分かり合いたい人とこそすれ違い、分かち合いたいことも、ほんとは楽しいはずの会話も、余計なひと言や不要な思いやりによって手のひらからすり抜けていくのだろう」と、ふたりのもどかしい関係に想いを馳せ、「佐藤さんと佐藤さんの激しくて楽しくて切なくて嬉しい数年間の記録が、どこかであなたの人生と重なりますように」とコメント。
真面目でインドアな佐藤タモツとして参加した宮沢氷魚は、岸井との共演を「とてもチャーミングな方で、撮影初日からお互い心を開いて、タモツとサチをしっかりと演じられたと思います」と初めての共演ながら、息がぴったりだったことを明かし、「初めて脚本を拝読した時からニ人の佐藤さんの関係がどこかシュールで、でもリアリティに満ち溢れていて引き込まれました。夫婦であっても、苗字が同じでも、やはり他人同士。そんな二人の歩む人生をぜひご覧頂ければと思います」と本作の魅力を伝えている。
なお、本作は今年4月に開催される第49回香港国際映画祭Fantastic Beats部門への出品も決定している。
<コメント>
監督・脚本:天野千尋
本作で描かれる15年間で、ふたりの佐藤さんはゆっくりと変化していきます。子供から大人になり、社会に出て、それぞれの立場で役割を担っていく。ひとりは弁護士に、ひとりは主夫に。立場が違うと、眺める世界もちょっとずつズレてくる。そのうち相手の目にいったい何が映っているのかわからなくなる。理解できないと怒ったり、憎んだり、切り捨てたりする。佐藤さんに限らず、これは社会の中で生きる私たち誰もが経験することです。
「他者」をどう理解するか、どう折り合いをつけていくかを、私たちはずっと考え続けなければならないと思っています。
岸井ゆきの
どうして分かり合いたい人とこそすれ違い、分かち合いたいことも、ほんとは楽しいはずの会話も、余計なひと言や不要な思いやりによって手のひらからすり抜けていくのだろう。
私には夫婦の"普通"が分からないけど、家族というのはあまりにも普遍的で、それぞれがあまりにも特別なのだと思う。
佐藤さんと佐藤さんの激しくて楽しくて切なくて嬉しい数年間の記録が、どこかであなたの人生と重なりますように。
そして、見逃しそうな幸せをどうか見逃しませんように!
宮沢氷魚
初めて脚本を拝読した時からニ人の佐藤さんの関係がどこかシュールで、でもリアリティに満ち溢れていて引き込まれました。
岸井さんとは初めての共演でしたがとてもチャーミングな方で、撮影初日からお互い心を開いて、タモツとサチをしっかりと演じられたと思います。
天野さんはとても柔軟な方で、スタッフや役者と意見を交換しながら撮影を進められたので、
共に作り上げた感覚がとても強いです。
夫婦であっても、苗字が同じでも、やはり他人同士。そんな二人の歩む人生をぜひご覧頂ければと思います。
『佐藤さんと佐藤さん』は2025年秋、全国にて公開。
(シネマカフェ編集部)