F1併催戦は王者T8の鉄壁1-2に対し、伏兵が応酬。最終ヒートは中止に/RSC第2戦

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2025年03月17日 17:20  AUTOSPORT web

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シリーズ恒例となったアルバート・パーク・サーキットでのF1グランプリ併催イベント、RSCレプコ・スーパーカー・チャンピオンシップの第2戦『Melbourne SuperSprint(メルボルン・スーパースプリント)』
 シリーズ恒例となったアルバート・パーク・サーキットでのF1グランプリ併催イベント、RSCレプコ・スーパーカー・チャンピオンシップの第2戦『メルボルン・スーパースプリント』が3月13〜16日に開催され、名門トリプルエイト・レースエンジニアリング(T8)が、週末4戦中2ヒートでワン・ツーを達成する盤石の強さを披露した。

 唯一、その牙城を突き崩したのが“伏兵”キャメロン・ヒルとニック・パーカットのマット・ストーン・レーシング(MSR)陣営で、晴れ舞台のレース2ではチーム史上初となるワン・ツー・フィニッシュを成し遂げている。

 グランプリ開幕戦を迎える南半球オーストラリア大陸は、その“フェスティバル”ウイークを前にメルボルン市街に新設されるモーターウェイを封鎖し、開幕戦に続くデモンストレーションを実施。今季、新天地を求めたアントン・デ・パスカーレ(チーム18/シボレー・カマロ)と、前戦シドニーでレースウイーク完全制覇の開幕“クリーンスイープ”発進を決めたキャメロン・ウォーターズ(ティックフォード・レーシング/フォード・マスタング)が、それぞれの愛機を駆り出して盛大に第2戦のオープニングを飾った。

 しかしパドックでは、対照的にシリーズでの別離に関するニュースが駆け巡り、開幕のわずか1戦でブランシャード・レーシング・チーム(BRT)離脱を表明したアーロン・ラブの後任にアーロン・キャメロンが指名されることに。また、T8とはシリーズで一時代を築き、強豪への仲間入りに向け立役者となったクレイグ・ラウンズが、このタイミングでチームを離れGMファミリーの一員として残ることを発表した。

「トリプルエイトで過ごした時間には、良い感情と素晴らしい思い出しかない」と、そのT8の“顔”とも言うべき存在だったラウンズ。「レースチーム、エンジニアリング組織、そして何よりもすべてのレベルでここにいる人々に対して、私はただ尊敬の念を抱いている」

 現在50歳のラウンズは2005年にT8に加入すると、チャンピオンシップでは6回のランキング2位、そして祭典『レプコ・バサースト1000』では6度の総合優勝を記録。2018年にフルタイムから引退した後も、耐久カップ登録ドライバー兼メンターとして、若手ワイルドカード・プログラムのリーダーを務めてきた。

「これは非常に難しい決断であり、解決に多くの時間と思考を要した。私のトリプルエイトでの時間において、忠誠心はつねに重要な要素だったが、キャリアのこの段階では、これが私の将来にとって最良の決断だと考えている」

 これは来季2026年よりフォード陣営にスイッチするT8の決断によって引き起こされた別離になるが、ラウンズは今後もシボレー・レーシングのメンバーとして活動を続けることになる。

「形成期からチームの一員となり、今日のような強力なチームになるまで、その過程は私のキャリアのなかでもっとも充実した部分だった。一緒に素晴らしい成功を共有し、今、キャリアにおける大きな節目を迎えた。チーム内外で、この旅に参加してくれたすべての人に『ありがとう』としか言いようがないよ」


■「信じられない!」チーム初の快挙

 こうして始まった週末は、新王者ウィル・ブラウン(レッドブル・アンポル・レーシング/シボレー・カマロ)と僚友ブロック・フィーニーが火花を散らす展開となり、まずは後者が予選で連続ポールポジションを奪取。その後フィーニーは土日2ヒートの予選でも最速を射止め、都合4戦の最上位グリッドを独占することとなる。

 そのレース1は序盤からフィールド全体で激しいバトルが繰り広げられ、7周目にはBRTでデビュー戦に挑むキャメロンがターン3のグラベルにスタック。これにより3周に渡ってセーフティカー(SC)が発動する。

 再開後もアクションは続き、古豪ディック・ジョンソン・レーシング(DJR)移籍の2023年王者ブロディ・コステッキ(シェルVパワー・レーシング・チーム/フォード・マスタング)が、古巣のジャック・ルブローク(エレバス・モータースポーツ/シボレー・カマロ)と3番手争いで接触。

 残り2周となったところで、元T8配下のルーキーであるクーパー・マレー(エレバス・モータースポーツ/シボレー・カマロ)とMSRのパーカットがターン4で接触し、双方ともに大きくポジションを失うことに。

 こうした背後の混沌も尻目に、首位を行くフィーニーはポール発進の優位も活かして僚友ブラウンを退け、1秒強のリードを保ってフィニッシュ。3位にはコステッキ、ライアン・ウッド(ウォーキンショー・アンドレッティ・ユナイテッド/フォード・マスタング)、さらにウォーターズを抑え切った好調ヒルが表彰台を確保し、ウォーターズは22番グリッドから猛烈な追い上げを見せ6位に喰い込んだ。

「最高だよ。まだ木曜日なのに、ここにいる大勢のファンを見てみてよ!」と、昨年11月のアデレード以来の勝利を飾ったフィーニー。「グランプリに戻ってこられてうれしい。ここが大好きだ。ここ数年、本当にいい走りができているし、今日もそれに劣らない走りができた。(開幕の)シドニーでは何度も接戦だったが、チームはここでの勝利とワン・ツー・フィニッシュにふさわしい。ウィル(・ブラウン)は今日、信じられないくらい素晴らしい走りを見せた。僕らのチームワークで、トップの座に返り咲けて興奮している」

 続くレース2も波乱続発の荒れた展開となり、スタートでポールシッターを出し抜いたMSRのヒルがまずは首位に浮上する。しかし背後ではオープニングのターン5でウッドとルブロークがヒットし、ウォールに激突。SC明けの再開後もターン1に差し掛かる際にデビッド・レイノルズ(チーム18/シボレー・カマロ)にトーマス・ランドル(ティックフォード・レーシング/フォード・マスタング)が絡むなど、連続でのSC発動となる。

 この間隙に、首位攻防に気を取られたフィーニーを刺しパーカットが2番手に浮上すると、その後のチームメイト・バトルによる3番手争いを制したブラウンも従え、ヒルは待望のRSC初優勝を記録。パーカットとともにMSRに初のワン・ツーをプレゼントする結果となった。

「長い間、この目標に向かって努力してきたと言ってもいい」と笑顔で応じた勝者ヒル。

「今日はいい予感がした。スタートさえ順調に切れれば今日は勝てると分かっていたから、レース前はとても緊張したよ。信じられない、マット・ストーンがワン・ツーだなんて本当にクールだ。彼らは本当に努力してきたし、この結果にふさわしいね!」

 明けた土曜のレース3もSC介入の展開となるなか、スタートでふたたび僚友との勝負を制したブラウンが、ようやくの週末初勝利をマーク。最終日の日曜は雨量によりSC先導でスタートが切られるも、わずか2周で赤旗が出され、そのまま競技中止の判断が下されている。

「週末の予選が非常に悪く、会場に駆けつけてくれたファンやテレビで観戦してくれた皆には申し訳ない。最後もショーを披露したかったが、路面には水溜まりが多すぎた」と木曜のレース1を「チームオーダーで譲った」ことに不満も漏らしていた新王者ブラウン。

「時速80kmでは、ターン5や水溜まりのあるコーナーでは限界に近い状態だった。観戦した皆には残念な結果だが、結局、路面コンディションには抗えなかったね」

 これで開幕ロケットダッシュのウォーターズを7ポイント逆転、チームメイトのフィーニーにも49ポイント差をつけたブラウンが首位に立ったRSCの2025年シーズン。続く第3戦『ITMタウポ・スーパー440』は隣国ニュージーランドで4月11〜13日に開催される。

[オートスポーツweb 2025年03月17日]

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