PCI Express 5.0接続SSDの“本命”か? 超高速な「Samsung SSD 9100 PRO」2TBモデルの速度や温度をチェック

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2025年03月19日 06:11  ITmedia PC USER

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Samsung SSD 9100 PRO(2TB)の表面には、2枚のNANDが搭載されている。単純計算すると、1枚当たり1TBの容量を備えることになる

 Samsung Electronics(サムスン電子)製のPCI Express 5.0(PCIe 5.0)接続のM.2 SSD「Samsung SSD 9100 PRO」が3月下旬に発売される(8TBモデルのみ2025年下期発売予定)。シーケンシャルの読み出し速度は最大毎秒1万4800MBと非常に高速で、最大容量も8TBと大きめだ。


【その他の画像】


 容量のラインアップと想定販売価格は以下の通りだ。


・ヒートシンクなし


・1TB:2万7980円


・2TB:4万4980円


・4TB:8万4980円


ヒートシンク付き(Samsung SSD 9100 PRO with Heatsink)


・1TB:2万9980円


・2TB:4万6980円


・4TB:8万6980円


 発売に先駆けて、日本における発売元となるITGマーケティングからヒートシンクレスの2TBモデルを借りて試す機会を得た。超高速SSDの“実態”に迫ってみよう。


●従来モデルの最大“約2倍”の性能に


 まずは9100 PROのスペックをチェックしていこう。何といっても注目すべきは、最大連続読み出しが毎秒14GB超で、連続書き込みも毎秒13GB以上という点だ。これはPCIe 5.0 x4(4レーン)における理論上の上限値にかなり近い。


 PCI Express 4.0接続の従来モデル「Samsung SSD 990 PRO」と比べても、連続読み書きの速度は約2倍とかなりパワーアップしている。


 今回レビューする2TBモデルはNANDを2枚搭載する片面実装で、裏面には部品が実装されていない。


●ベンチマークテストは最新環境で!


 ここからは実際の読み書きパフォーマンスをチェックしていく。


 比較用として、ITGマーケティングからは990 PROの2TBモデルも借りている。カタログスペックで比較すると、9100 PROは消費電力が少し増えている。パフォーマンスが高くなるのはいいとして、発熱はどうなるのかは気になるところだ。テストの過程で併せてチェックしたい。


 今回はAMDの「Ryzen 7 9700X」と、Intelの「Core i7-14700K」「Core Ultra 7 265K」の3種類のCPUで構築した自作PCで両モジュールの“実力”をチェックする。いずれのSSDもPCIe 5.0 x4対応のM.2スロットに装着し、OSの起動用SSD(PCIe 4.0接続)は2番目のM.2スロットに装着している。


異次元の“速さ”を見せる9100 PRO


 まず、「CrystalDiskMark 8.0.6」を使って9100 PROの読み書き速度をチェックしてみよう。


 連続読み出し(SEQ1M/Q8T1)の速度を見てみると、Ryzen 7とCore i7の環境ではそれぞれ14.5GB、毎秒14.2GBとほぼ公称値の超高速ぶりを見せた。一方で、Core Ultra 7の環境では毎秒約12.4GBと十分に超高速ではあるものの、公称値には届いていない。


 一方、連続書き込み(SEQ1M/Q8T1)については、どの環境でも毎秒13.3GB程度の公称値通りだった。いずれにしても、現時点におけるコンシューマー向けSSDとしては最速といっていいだろう。


 ランダムアクセスはどうだろうか。Q32T16のテストでは読み出しが毎秒7GB超、書き込みが毎秒6GB超と、PCIe 4.0 x4のSSDにおけるシーケンシャル並みのパフォーマンスを発揮している。Q1T1のテストではCore Ultra 7環境において読み出しが毎秒101.03MB、書き込みが毎秒303.42MBと、Ryzen 7のシステムより速かった。


990 PROも十分速かったが……


 続いて、CrystalDiskMark 8.0.6を使って9100 PROと990 PROの速度を比較してみよう。このテストはCore Ultra 7環境でのみ行っている。


 結果は以下に示すグラフを参照してほしいが、連続読み出しは2倍にこそ届かなかったものの、990 PROの毎秒7.13GBから毎秒12.4GBとかなり高速化している。連続書き込みは毎秒6.82GBから13.23GBと、990 PROのほぼ2倍だ。PCIe 5.0 x4の帯域をしっかりと使えている。


 一方、ランダム(Q32T16)の読み込みでは、毎秒6.4GBから毎秒7.68GBと約20%高速化、ランダム(Q1T1)は毎秒98.9MBから毎秒101MBと微増だった。


 990 PROも十分に高速だったが、特にシーケンシャルについてはいい感じで“突き放せている”ようだ。


●ゲームを想定したテストでもパフォーマンスを確認!


 3Dグラフィックスのベンチマークアプリとして知られる「3DMark」には、「Storageテスト」なるテストがある。これは「データロード」「ゲームの録画」「インストール」「データの保存/移動」など、実際のゲームアプリにおけるストレージの読み書きを模擬的に行うことで、ストレージのパフォーマンスをチェックするというものだ。実使用に近い読み書きを行うベンチマークなので、例えば「990 PROから9100 PROに乗り換えた場合に期待できる性能向上」をイメージしやすい。


 Core Ultra 7環境の環境では、990 PROから9100 PROに取り換えるとスコアが「3492」から「3942」に伸びた。Ryzen 7環境でも同様に「3217」から「3699」とスコアアップしている。


 帯域幅のグラフを見てみると、Ryzen 7環境で平均15%の性能向上が見られた。ゲーム環境では、「Battlefiled V」の読み込みが毎秒1094MBから毎秒1573MBと1.5倍近く高速化している。ゲームの移動でも、990PROが毎秒3273MBに対して9100PROは毎秒4711MBと1.43倍速い。


 このテストにおける「アクセスタイム」(レスポンス)も比較してみよう。平均を取ると、Ryzen 7の環境において990 PROが平均55μsだったのに対して、9100 PROでは48μsとなった。帯域幅と同じように、ゲームの応答性も改善している。


●気になるモジュールの「温度」もチェック!


 PCIe 5.0接続のSSDといえば、気になるのは発熱だろう。


 今回、CrystalDiskMark 8.0.6の64GiBを9回計測した後の温度と、「TxBench」で全域連続書き込みを行って30分後の温度を、モニタリングソフトの「HWMonitor」を使って計測した。


 できるだけSSDを発熱させるために、マザーボードのヒートシンクは使用したものの、オープンフレームでグラフィックスカードは取り付けず、風を当てない環境で測定した。結果は、一番高い温度でも「Sensor 1」の72度、Core Ultra 7の環境は元々大き目のヒートシンクが付いていたこともあり、温度は60度とかなり抑えられた。これぐらいの温度なら、冷却を過度に気にする必要はないだろう。


 温度の様子は、サーモグラフィーカメラでも確認したので参考にしてほしい。


●高速で発熱も控え目、これぞ「PCIe 5.0 SSDの本命」


 Samsung Electronicsとして初となるPCIe 5.0 SSDとなる9100 PROをテストしてきた。使う前のPCIe 5.0 SSDのイメージというと、やはり「発熱がすごいのでは?」という所だったが、今回テストしてみてイメージが変わった。


 エアフローを考慮しなくても、マザーボードに付属するヒートシンクでも十分に冷却できているので、多くの環境ではそこまで温度を気にする必要はない。もちろんケースに入れてグラフィックスカードも挿せばもう少し温度が上がるかもしれないが。その時はケースのファンでの冷却も見込めるだろう。


 何といっても、魅力的なのは読み書きの速度だ。毎秒14GBの連続読み込みと毎秒13GBの連続書き込みは、ここ最近増え始めたPCIe 5.0対応のM.2スロットを備えるマザーボードのポテンシャルを十分に生かせる。


 最近のゲームは大容量化が進んでいるので、発売は先になるが8TBモデルがあるのも心強い。9100 PROは“2025年マシン”にふさわしいSSDになるに違いない。



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