
「B−CASカード」について、「『ちょっと待って!』テレビを捨てるときは気をつけて 『知らなかった』『結局なんのためのカードなの?』」という記事を2月に配信しました。
2000年のBSデジタル放送のスタートにあわせて誕生した「B−CASカード」は、地上デジタル放送、BSデジタル放送、110度CSデジタル放送の番組の著作権保護、有料放送、自動表示メッセージ、データ放送の双方向サービスなどに利用されています。クレジットカードサイズのカードのほか、コンパクトサイズのミニカードも発行されています。
記事内で、「新しいテレビを購入すると必ず『B−CASカード』がついているのですか?」という質問に、「B−CASカード」を供給・運営しているビーエス・コンディショナルアクセスシステムズは「4Kテレビなど、B−CASカードが同梱されていない製品もあります」と回答しました。
また記事に寄せられたコメントに、「そういえば年末にテレビを買い替えたがB−CASカードはついてこなかったし、挿すスロットもなくなってたな」「内蔵式の(取り出し不可)のACASが搭載されるようになってもうすぐ10年だから、この記事でも触れるのが親切というもの」と指摘があったほか、「ACASって何者なの?」という声がSNSにも投稿されています。
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ACASは、4K・8K衛星放送開始に合わせて開発されたチップ
そこでACASとは何かを調べてみると、2018年の4K・8K衛星放送開始に合わせて開発されたチップでした。なぜ新しく開発されたかというと、B−CASは4K・8K衛星放送に対応していなかったからです。(ACASは、B−CASの機能を含みますが、B−CASカードがなくなるわけではありません)
B−CASはカード方式でテレビに利用者が差しこんで使います。いっぽうACASは不正改ざんを防止するために機器にチップが内蔵されます。そのため有料放送を視聴するには、機器ごとの方法でACAS番号を確認して受信契約の手続きをします。
テレビを廃棄する場合は、B−CASはカードを抜いてビーエス・コンディショナルアクセスシステムズに返却するか金色のチップ部分に鋏を入れて破棄します。機器に内蔵されているACASは、受信契約の契約先にACAS番号を連絡して登録内容を消してもらいます。どちらのCASも何もせずにテレビを捨てると、拾った人が有料放送をあなたの契約で見ることができてしまうことになります。
またACASは4K・8K衛星放送に対応している以外に、「ダウンロード(アップデート)機能」があり、改ざんなどに対応できるようになっているほか、B−CASカード同様に「2004年4月から導入されたデジタル放送のコピー制御の仕組みを担保」(通常の視聴時も暗号化情報を解除するためにCASが必要)などの機能もあります。
もともとどちらのCASも、1995年に設立された各放送事業者や受信機メーカーで構成される「一般社団法人電波産業会(略称:ARIB(アライブ))」がつくった規定に準拠した運用をしています。B−CASカードは、「ビーエス・コンディショナルアクセスシステムズ」が供給・運用をおこなっていますが、ACASはメーカーが販売・供給する各機器に部品として内蔵されています。またACASが正しく運用されているか、改ざん等がないかを「一般社団法人新CAS協議会」が管理しています。
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(まいどなニュース/Lmaga.jpニュース特約・太田 浩子)