参院予算委員会で答弁する石破茂首相=19日午前、国会内 日本政府は、ロシアのウクライナ侵攻を巡る米ロ首脳の電話会談について「停戦協議で大きな進展はなかった」(政府関係者)とみており、今後の動向を注視する。先進7カ国(G7)など国際社会と結束して即時停戦を働き掛ける方針だが、実現は容易ではないとの見方が広がる。
トランプ米大統領とロシアのプーチン大統領の電話会談について、林芳正官房長官は19日の記者会見で「今後の展開を引き続き注視する必要がある」と指摘。「米国をはじめとする各国の外交努力を後押ししながら、国際社会と緊密に連携して取り組んでいく」と強調した。
米ロ両政府は停戦協議のため「専門家グループ」を立ち上げる方針。日本外務省幹部は「もう一段先に進むといい」と交渉進展に期待を寄せた。一方、協議がロシア寄りに進んだ場合は覇権主義的な動きを強める中国などに対する「誤った教訓」(石破茂首相)となりかねない。東アジアの安全保障環境に及ぼす影響への警戒感も漂う。
今回の米ロ合意はエネルギー施設を対象にした限定的な攻撃停止が柱。ロシア側が米側との協議によって時間稼ぎをする間に、地上戦を続けて支配地域を拡大させるとの見立てもある。外務省関係者は「戦況が有利なロシアにとって悪いシナリオではない」と分析。別の幹部は「停戦は簡単ではなく時間がかかるだろう」と語った。