欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会は3月19日(現地時間)、デジタル市場法(DMA)に基づき、米Appleに対して特定の相互運用義務を順守するための措置を定めた2つの決定を採択したと発表した。この決定は、AppleのiOSプラットフォーム上での革新的な製品開発を促進し、欧州の消費者にとっての選択肢を増やすことを目的としているとしている。
欧州委員会は、AppleがDMAの相互運用義務の特定の側面を順守するために取るべき措置を明確にした。
今回決定された措置は、Appleに対し、主に以下の2つの改善を求めるものだ。
iOSの接続機能に関する措置
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スマートウォッチ、ヘッドフォン、テレビなどの接続デバイスメーカーやアプリ開発者に対し、iPhoneの機能へのアクセス改善(スマートウォッチへの通知表示など)、より高速なデータ転送(P2P Wi-Fi接続、NFCなど)、より簡単なデバイス設定(ペアリングなど)を提供する。これにより、あらゆるブランドの接続デバイスがiPhoneでより良く動作するようになり、端末メーカーは新たな市場参入機会を得、欧州の消費者のユーザー体験が向上するとしている。
開発者による相互運用性リクエストのプロセス改善
iPhoneおよびiPadの機能との相互運用に関心のある開発者に対し、技術文書へのアクセス改善、タイムリーなコミュニケーションとアップデート、相互運用性リクエストのレビューにおける予測可能性の向上など、迅速で公正な対応を提供するためのプロセスを改善する。これにより、開発者はiPhoneやiPadと相互運用する革新的なサービスやハードウェアを欧州の消費者に提供する能力を加速させることができるとしている。
これらの最終的な措置は、2024年12月に開始された公開協議におけるAppleとの広範な協議および第三者からの意見に基づいて策定された。
Appleは同日、この発表を受け、「本日の決定は、われわれを官僚主義で縛り付け、欧州のユーザーのためのイノベーションを遅らせ、同じルールに従う必要のない企業にわれわれの新機能を無料で提供することを強いるものだ。これはAppleの製品と欧州のユーザーにとって悪いことだ。われわれは、欧州委員会がAppleとユーザーの懸念を理解できるよう、引き続き協力していく」という声明文を複数のメディアに送った。
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これらの決定には法的拘束力があり、Appleは決定の条件に従って指定された措置を実施する必要がある。ただし、これらの決定はAppleの防御権を完全に尊重し、独立した司法審査の対象となる。
欧州委員会は同日、米Alphabetに対してDMA違反に関する予備的見解を通知した。そちらはまだAlphabetに申し開きの猶予があるが、Appleに関する決定は、DMAをどのように順守すべきかを具体的に示すものであり、義務の履行方法を明確にするものだ。
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