米Googleは3月17日(現地時間)、早期の山火事発見と軽減を目的とした衛星システム「FireSat」の最初の衛星が打ち上げられたと発表した。
このプロジェクトは、Google Researchと米衛星製造会社Muon Spacが、米非営利団体Earth Fire Allianceの創設パートナーとして協力して進めている。最初の衛星打ち上げコストの一部は、Google.orgが創設したイニシアチブ「AI Collaboratives: Wildfires」が賄った。打ち上げは、米SpaceXのロケットFalcon 9で行われた。
このイニシアチブは、AIを活用して山火事の壊滅的な影響を防ぐという目標に取り組んでいる。
Google ResearchのClimate AI部門のプロダクトディレクター、ジュリエット・ローテンバーグ氏は、自身がカリフォルニアの山火事で避難した経験から、より良い山火事検出の必要性を痛感していたという。当時の衛星画像は12時間ごとにしか更新されず、火災当局の持っているデータも乏しかったと同氏は語る。
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FireSatの全コンステレーションが数年以内に稼働すると、わずか5×5メートルの火災を、20分以内に検出できるようになる見込みだ。
Googleは2020年に最初に開始した山火事対応の取り組みを基にFireSatを開発した。この取り組みでは、AIと衛星画像を使用して山火事の境界線マップを作成し、Google検索やマップを利用する人々が地域の山火事の規模と場所の概算を確認できるようにするとともに、近隣のコミュニティに安全を確保するための情報を提供している。
現在の衛星の中には約5分ごとに画像を撮影するものもあるが、火災が数エーカーの大きさになるまで発見できないとGoogleは説明する。また、多くの山火事は山岳地帯の落雷から発生するが、そのような場所では飛行機やドローンが常に画像を収集しているとは限らず、火災が制御不能になるまで気づかない可能性がある。
FireSatはAIを利用して、世界中のあらゆる場所の画像を過去の画像と比較し、近くのインフラや地域の気象などの要素を考慮して火災の有無を判断する。実際の火災と環境内のランダムな「ノイズ」を区別することが課題であり、センサーの問題やピクセルのずれなどのノイズと実際の火災との線引きが必要だった。
インタビュー当時、最初のFireSat衛星はSpaceXの打ち上げ場所に到着したばかりでした。そしてつい昨日、Google Researchチームのメンバーは、ロケットと衛星が空に打ち上げられるのを見守りました。
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Googleは、「FireSatは単なる緊急対応ツールではなく、温室効果ガス排出量を削減するための素晴らしいツールでもある。このコンステレーションが気候変動に対応しながら、その削減にも貢献することは本当に素晴らしいことだ」と語った。
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