安田淳一監督 (C)ORICON NewS inc. 2024年の映画賞を席けんした『侍タイムスリッパー』の安田淳一監督が21日、都内で開催された一般財団法人日本ファッション協会主催の「日本クリエイション大賞2025/第22回シネマ夢倶楽部表彰」の表彰式に出席した。
【動画】映画『侍タイムスリッパー』予告編 安田監督は、新しい時代の映画や才能、意欲的な活動をした監督や俳優を表彰する「推薦委員特別賞」を、俳優の山口馬木也とともに受賞。さらに、『侍タイムスリッパー』は共催の「第17回東京新聞映画賞」にも選ばれた。山口が体調不良のため欠席したため、山口の分までトロフィーを受け取り、三度スピーチを行った。
「正直な話、今回初めて日本ファッション協会様の存在を知った」という安田監督は、「今、改めて思うのは、映画『侍タイムスリッパー』でも大変お世話になった故・福本清三さんの言葉です。『一生懸命頑張っていれば、どこかで誰かが見ていてくれる。』今回は、日本ファッション協会の皆さま、そしてシネマ夢倶楽部の皆さまが見ていてくださったのだと実感し、心から感動しております」と語った。
山口の代わりにトロフィーを受け取った2度目のスピーチでは、「撮影中、私は“山口馬木也という俳優と映画を撮っている”という感覚ではなく、まるで江戸時代からタイムスリップしてきた侍本人と映画を撮っているような錯覚を覚えました。それほど素晴らしい俳優です」と、山口を絶賛。来年のNHK大河ドラマ『豊臣兄弟』に戦国武将・柴田勝家役で出演することを引き合いに出し、「今後ますます飛躍されて、将来的には僕の映画には出てくれなくなるかもしれませんが(笑)、今後とも山口さんの応援をよろしくお願いします」と、呼び掛けた。
『侍タイムスリッパー』は、安田監督にとって自主映画3作目。幕末の会津藩士が、現代の時代劇撮影所にタイムスリップ。行く先々で騒ぎを起こしながらも、磨き上げた剣の腕だけを頼りに、撮影所の「斬られ役」として生きていくストーリー。
脚本・撮影・照明・編集・キャストやスタッフ、機材の運搬まで、すべて監督がこなし、八面六臂の活躍を見せた安田監督。時代劇の本場・東映京都撮影所の協力を得て撮影された本格的な時代劇は、2024年8月に公開後、話題が話題を呼び、都内1館から全国375館まで拡大上映される大ヒットを記録。日本アカデミー賞最優秀作品賞をはじめ、数々の映画賞にも輝いた。新たに「第17回東京新聞映画賞」も加わることになり、安田監督は改めて受賞の喜びと成功の秘訣を語った。
「よく『情熱と熱意で映画を作り上げた』と言っていただくのですが、僕は、映画を作っている人で『情熱も熱意もない人』を見たことがありません。ですが、情熱や熱意だけでうまくいくものでもありません。自分の失敗を反省し、成功例から学び、論理的な思考を持って戦略を立てることが大事だと考えています」と、「情熱」だけでなく「戦略」も重要であると強調。何役もこなす自身の映画制作スタイルを「零細企業レベル」と表現しつつも、「戦略的な考え方を持つことで、日本アカデミー賞をはじめ、こうして素晴らしい賞をいただける機会に恵まれました」と胸を張った。
さらに、「東映京都撮影所や映画館関係者、観客の皆さんの支え、映画人の心意気と矜持(きょうじ)、何よりも幸運、幸運、幸運に恵まれまくって、今日この日を迎えることができました」と感謝を述べ、今後も謙虚な姿勢を忘れずに良質な娯楽作品を作り続けると決意を述べていた。
■「第22回シネマ夢倶楽部表彰」一覧
ベストシネマ賞:
第1位『ソウルの春』(配給:クロックワークス)
第2位『BISHU〜世界でいちばん優しい服〜』(配給:イオンエンターテイメント)
第3位『ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ』(配給:ビターズ・エンド ユニバーサル映画)
シネマ夢倶楽部賞:株式会社アウラ(字幕グローカルソリューションによる40年以上の実績に対して)
推薦委員特別賞:安田淳一(監督作品:『侍タイムスリッパー』)、山口馬木也(出演作品:『侍タイムスリッパー』)、高橋ユキノ(出演作品:『つゆのあとさき』)
第17回東京新聞映画賞:『侍タイムスリッパー』(監督:安田淳一)